2010年 02月 10日
第36号(2)「聖パウロの愛の賛歌」(イタリア語の音声・映像へのリンクあり)
3. 聖パウロの愛の賛歌 (イタリア語の音声・映像へのリンクあり)
愛と言うと、つい自分が愛されることばかり求めてしまいがち、自分と愛する人のことだけ考えてしまいがちな中で、上記のナンシーさんの言葉に心を打たれました。目を覚まされたと言った方がいいかもしれません。

~『新約聖書』の聖パウロの「コリントの信徒への手紙 一」13章2~3節
「たとえ、人々の異言、天使たちの異言を語ろうとも、愛がなければ、わたしは騒がしいどら、やかましいシンバル。たとえ、預言する賜物を持ち、あらゆる神秘とあらゆる知識に通じていようとも、たとえ、山を動かすほどの完全な信仰を持っていようとも、愛がなければ、無に等しい。全財産を貧しい人々のために使い尽くそうとも、誇ろうとしてわが身を死に引き渡そうとも、愛がなければ、わたしに何の益もない」
(日本語訳は、日本聖書協会の『聖書 新共同訳』から引用しました。)
私が特に好きなのは、この直後に続く部分です。次のリンク先の映像では、その部分がイタリア語で、聖パウロ(San Paolo)を演じる俳優の口から語られています。まずは聞いてみてください。46秒目から1分20秒目にかけてが、私の好きな言葉です。
* -are動詞は語尾を-ante と変えて、現在分詞を作ります。本来 interessante という形容詞は、動詞 interessare の現在分詞だったのです。

その他、重要な動詞として、credere「信じる、思う」、 sperare「望む、希望する」が出てきています。pazienza と共 に、動詞 sopportare「我慢する、耐える、辛抱する」も覚えておいてください。一度教会でミサの最中に神父さんが、「結婚50周年を迎えた夫婦にその秘訣(segreto)を尋ねたら、この一言だと言われました。」と前置きして語ったその秘訣が “Sopportatevi!”でしたが、この言葉は「(あなた方、)お互い(の欠点や失敗)を我慢し合いなさい。」という意味で す。名詞 fine は「終わり」という意味の女性名詞で、イタリア映画では最後に画面に「FINE」(終わり、THE END)と書かれ ていることもよくあります。
ちなみに、イタリアで日本のアニメが放映される場合は、ふつう歌はすべてイタリア語で新しい歌が作られ、製作者なども イタリア語で書かれ、番組内の音声はイタリア語に吸き替えられています。ただし、製作者や出演者名、「つづく」と最後に 画面に出る文字などが日本語のままである場合があります。日本のアニメを愛するイタリア人の中には、この「つづく」が「終わり」(FINE)の意味だと思い込んでいる人がよくいます。
上記の語句を頭に入れてから、もう一度、文字を追いながら音声を聞いて、聖パウロが「愛」をどのように定義しているか理解するよう努めてください。
さて、それでは訳を見てみましょう。
「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない。」(訳は、日本聖書協会の『聖書 新共同訳』から引用。)
最後の“L’amore non avrà mai fine.”についてだけ、もう一言。avrà は動詞 avere の直説法未来で主語が三人称単数の際の形です。
渡辺和子さんが、著書の中で、この一節の中の「愛」を「私」に置き換えたような生き方ができたら、人柄であれたら、と書かれています。人からは「愛、優しさ」を求めながら、自分自身はどうなのか立ち止まって反省する際にも、教えてくれる ことの多い言葉です。渡辺和子さんの著書に興味のある方は、第25号をご覧ください。カトリック教の精神を日々の在り方に即して、分かりやすい言葉で説明しているのですが、何より生きる勇気を与えてくれます。特に信者を対象としておらず、 宗教の勧誘もせず、ただ読者と一緒に望ましい生き方を模索している謙虚な筆者の言葉が身にしみて、私が大好きな作家の一人です。

結婚式を教会で挙げるにあたって、夫も私も一つずつ好きな聖書の一節を選ぶことができたのですが、私は迷わずこの一節を選びました。そこで、式の途中に友人が読み上げ、神父さんも説教の中に取り入れてくれました。そういうわけで私にとっては思い出深い一節でもあります。


二度とない人生だから
二度とない人生だから
・『愛蔵版 タンポポの本』 詩 - 坂村真民、画 - 殿村進 (春陽堂書店、2007年刊)
終わりに


坂村真民さん、愛媛県が誇る詩人ですね~
今では、坂村真民記念館がありますよね(^_-)-☆
この方の言葉は、優しくてそして力強いと思います♡
バレンタインの精神、まさにそのものです♡
コロナ禍でのバレンタインでしたが、愛があればどんなことでものりきれるそう言う風に感じたなおこさんの記事でした(*^_^*)
坂本真民さん、今は記念館もあるんですね。愛媛では、詩集を贈り物にいただく機会も多く、言葉を引用される先生方も大勢いて、詩や絵によく励まされました♪
皆が自然にもつ慈しみの心、大切にしていける世の中でありますように♪