“Carletto, Carletto e sii buono, ma è mai possibile che ti debba dire
sempre le stesse cose? Eh? Ooh!”
題の『Carletto』は、男性名 Carlo に縮小の接尾辞-etto がついたもので、「小さい愛しいカルロ」と、(相手が子供ですから)対象が小さいことを踏まえ、愛情を込めて呼ぶ表現です。
buonoは「おいしい」という意味でご存じの方が多いと思いますが、第一義は「(道徳的にみて)よい、りっぱな、おとなしく従順な」という意味です。“siibuono”の sii は動詞 essere の命令法で、相手が tu のときの形です。ですから、息子に向かって、「いい子にしなさい!」と言い聞かせているわけです。
訳してみましょう。
「カルレット、カルレット、いい子にしなさい。
おまえにいつも同じことばかり言わなきゃいけないなんて
どういうことだ。パパの言うことが分かるか? おい!」(「 」内は石井訳。以下も同様。)
2、3行目の1文は、かなりの意訳になっています。直訳すると、「しかし(ma)おまえにいつも同じことばかり言わなければいけないなんてことがあるだろうか(è mai possibile che)」。
“è possibile che ...”「...ことがありうる、可能である」のような非人称構文では、文の主語は、che に導かれる主語節 になります。そして、可能性や義務を表す非人称構文では、主語節内の動詞が接続法となります。だから、“che ti debba dire...”と、che 以下の主語節内で、補助動詞 dovere「...しなければならない」が、直説法現在の devo ではなく接続法現在 の debba となっているわけです。
では、このイタズラは、具体的には何なのでしょうか。本文には、“l’ho fatta nel letto”とあります。「ぼくがやら かした」(ho fattoは動詞 fare「する」の直説法近過去で、主語が io のときの活用形)内容は、l’とある部分で、この l’は語尾の母音が省略されていますが、省略されている語尾の母音がお分かりですか。
省略されているのは、母音の a です。これは、 “l’ho fatta”と、動詞 fare「する」の過去分詞 fatto の語尾が-a と変わっていることから分かります。la ho fatta ⇒ l’ho fatta」と、発音しやすいように語尾の母音が省略されています。la はもちろん、女性名詞の単数形を受ける指示代名詞です。
文法的なことを言わなくとも、イタズラが何かは皆さん、ご想像がおつきかと思います。
小さい子供がふとんの中でやらかして、親を困らせることと言えば……
そう、おねしょです。代名詞の la は、pipì(幼児語)あるいは piscia(俗語)を指しています。どちらも「おしっこ」という意味で、女性名詞 です。
この歌が収録されている CD は、日本ではまだ販売されていないようです。ただ、子供の楽しく明るい歌声を聴きながら、イタリア語を学習されたいとか、小さいお子さんがいて、お子さんもご自身も楽しく聞けるメロディーの歌を何度も聞いてイタリア語を勉強したいという方には、次のアルバムがおすすめです。リンク先ページに歌の一覧があり、気になる歌を視聴することも可能です。