イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

パリのロダン美術館とバラと考える人、『神曲』を思い地獄見やるダンテがモデル

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 庭園を彩るバラも美しいパリのロダン美術館(Musée Rodin)を、わたしが夫と訪ねたのは、2016年6月のことです。

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Musée Rodin, Paris, France 12/6/2016

 ロダン(1840-1917)の代表作、『考える人』(Le Penseur)のブロンズ像も、

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この庭園の高みに設置され、

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雨の日に訪ねたわたしたちが歩いていると、庭園のバラと緑の向こうに、まずは雨に煙る姿が見えました。

 ロダンの手になる名高い彫刻はまた、美術館内にもあって、

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様々な角度からじっくりと見て鑑賞ができるように、設置されていました。

 閑話休題。今年、2021年は、イタリア語の父、ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri、1265-1321)の没後700周年を祝う記念の年です。


 そのため、年を通じて様々な催しが企画されているのですが、昨年、3月25日ダンテの日(Dantedì)と定められたこともあって、この日の前後には特に多くの催しがあり、テレビでも関連番組が多数放映されました。

 毎週土曜に放映される番組、『Le parole della settimana』では、ダンテの日のずっと前から、毎週、その前後にニュースなどで焦点となった3人の有名人について、ゲストたちが地獄・煉獄・天国のどこに送るかを問われて、理由と共に答えるコーナーがあるのですが、3月27日には、ダンテとその代表作である『神曲』(La Divina Commedia)にインスピレーションを得てつくられた芸術作品を紹介していました。



 そして、その説明で、この考える人のモデルは、『神曲』の創作にあたって熟考するダンテであり、

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そもそもは、地獄の門(La Porte de l'Enfer)の上部に配され、地獄で苦しむ人々を、身を乗り出して観察し、『神曲』の創作のために考えるダンテを表す像として造られ、彫像の題名も、『La Poète』(「詩人」、イタリア語ではIl Poeta)だったと知って、驚きました。

 その説明があるのが上の映像の冒頭部で、司会者もゲストも全員が驚いているので、イタリアでも知る人の方が少ないのではないかと思います。

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 そうと聴いて写真を見ると確かに、『地獄の門』の上部に据えられ、地獄で責め苦に遭う人々のただ中にあり、そうした人々の様子を見やるかのように体を乗り出している像は、あの『考える人』です。

 ロダン美術館のサイトにも、フランス語と英語で、その説明が書かれ、音声案内を聞くこともできます。該当ページへのリンクは、以下のとおりです。

- Musée Rodin - collections - Le Penseur 🇫🇷
- Musée Rodin - Collections - The Thinker 🇬🇧

 ダンテの功績については、特にイタリア語や文学において果たした役割がよく知られています。また、過去記事を確認すると、例えば昨年見たテレビ番組でも、後世の多くの芸術家が『神曲』における地獄の描写をもとに、作品を創作したという話は聞いていたのですが、


現代美術の傑作とされるロダンの彫刻、『考える人』や『地獄の門』までもが、国を越え、時を越えて、『神曲』が創作の源にあると知って、改めて驚きました。

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 ちなみに、2016年6月12日に、わたしたちが短いパリ滞在の中で、このロダン美術館を訪ねることになったのは、

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飛行機でパリに着いた翌日の朝、どしゃ降りの雨が降り始めたおかげです。

 歩いている途中に突然降り始めた雨が、どんどん激しくなっていくので、夫は最初に見つけた傘を売る露店で、折り畳み傘を購入しました。開いてみたら中がさびだらけではあったのですが、パリ観光の初日に、雨からしっかりと守ってくれました。雨が降る前は、夫は庭園を訪ねたいと言っていました。

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 雨に降られたのは大変でしたが、ロダン美術館を訪ねることができたのも、そして、こんな美しい夕景を見ることができたのも、雨のおかげです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by chikusai3 at 2021-04-22 05:42
naoko様
『新曲』のことは以前に書いていらしたのですね。この本を半世紀ほど前に翻訳本で読みました。地獄編は面白く読めたのですが、煉獄編、天国編になるとだんだんとつまらなくなり、途中で放りだしたような気がします(ベアトリーチエの名だけは、今でもはっきりと覚えているのですが)。
ロダンの作品は日本でも沢山見ることが出来ます。作品は一体だけでなく何体でも作成するのですね。ロダンの著作も読んだことがありますが、映画でカミーユ・クローデルとロダンの奥さん、ロダンとの三角関係(葛藤)を知ってから、ロダンを嫌いになっちゃいました。 竹斎でした^^;
Commented by tokotakikuh at 2021-04-22 15:05
イタリアも、芸術の街ですよ
私が、初めてヨーロッパの地を訪ねたのが
ミラノでした
街を歩いていると、鳥肌が立ちましたよ
あまりにも、芸術が生きたそのままの姿でみて取れたこと

パリ
恐らく、ヨーロッパの旅の最終地にしている場所です
コロナで、今年もスルーです
恐らく、この先、私が容易くいけなくなると
覚悟してますから

リアルな姿を楽しみに見せてくださいね
Commented by milletti_naoko at 2021-04-22 17:01
竹斎さん、『神曲』の影響が後世に、現代の思いもかけない作品にまで及んでいることをお伝えしようと書いた記事なのですが、ロダンとカミーユの話、初めて知って、今ざっと読んで驚きました。わたしも嫌いになりそうです。

『神曲』を読まれようとされたとはすばらしいです。登場する人物が、古代ギリシャからダンテ生存当時までの長いヨーロッパの歴史に登場する人々で、地獄篇はともかく、煉獄篇・天国篇になると、日本ではまったくなじみのない人物や聖人が多い上、こちらでもやはり『地獄篇』が最もおもしろいという声を聞く声が多く、確かに様々な先生による文学の授業でも、もっぱら地獄篇の詩篇ばかり学んだように思います。
Commented by milletti_naoko at 2021-04-22 17:22
zakkkanさんが初めて訪ねられたヨーロッパの町はミラノだったんですね! 先日ちょうど、このミラノの隠された美や歴史・魅力を紹介する番組があって、興味深かったです。

パリやフランス、隣国ではありますが、わたしたちもしばらくはまだ訪ねることが難しいように思います。旅や留学中は慌ただしく、記事にできていない写真もあるので、またいつかご紹介できればと考えています♪
Commented by sunandshadows2020 at 2021-04-23 22:51
ロダンの彫刻、考える人はサンフランシスコの美術館、Palece of Legends of Honor にあり、地獄の門はスタンフォード大学の美術館の庭に設置してあります。我が家から近かったので数回見に行っていて説明は読まなかったものの、地獄の門の上の人は考える人とそっくりだと夫に話したことを思い出しました。
折角のパリが雨だったとは残念でしたがなおこさんの捉え方で、雨だったからその後の夕陽が綺麗だったと切り替えが素晴らしいと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2021-04-24 06:00
お転婆シニアさん、どちらもお宅からそう遠くないところにあって、何度も見に行かれたことがおありなんですね! 考える人はもともとは…という話は、ロダン美術館では作品説明に書かれているのですが、調べてみると、日本の美術館では言及していなかったり、一説としているところも少なからずあるようです。おお、観察されて、ご自分で気づかれていたんですね!

ありがとうございます。夫は庭園が好きなので、ロンドンに行っても京都に行っても、いえ、どこに行ってもまず庭園や植物園が見たい人なので、雨のおかげでかえって、庭園に終始せず、いろいろなところを訪ねられた上に、ロダン美術館にきれいな庭園もあったので、夫も満足したのではないかなと思うんです。
by milletti_naoko | 2021-04-21 23:25 | Francia & francese | Trackback | Comments(6)