夕日燃えてゆく湖とカンムリカイツブリ、トラジメーノ湖

　今日は午後８時過ぎに、5月19日は自転車選手たちが先を競って走った、トラジメーノ湖（Lago Trasimeno）の南西の岸辺に沿って走る道を、

Lago Trasimeno al Tramonto, Umbria 1/6/2021
南の湖畔にあるサンタルカンジェロの桟橋へと、車で進みました。
Sant'Arcangelo, Magione (PG), Umbria
　細い雲の層にちょうど雲が隠れてしまう頃に、目指す桟橋に到着すると、オレンジ色の日の光が周囲の空と湖を照らしています。

　桟橋の右手、東の方を見やると、地平線近くの空と雲が桜色に染まり、その空と雲、緑の木々が、湖面に映っています。

　幸い、太陽は、すっかり隠れてしまったすぐあとに、

雲の下の方から、顔を出し始めました。
　肉眼では、オレンジがかった黄色をした丸い夕日の輪郭がはっきり見えて、卵の殻を割ったときに、下に落ちていく黄身のようでした。

　上の写真で、桟橋の先端のすぐ向こうに写っているのは、キャンプ場となっている岬で、そのずっと奥には、トスカーナ州のアミアータ山（Monte Amiata）の特徴ある頂が小さく見えています。冬には、このアミアータ山近くに沈んでいた夕日が、夏至が近づいた今では、

南の湖畔にあるカスティッリョーネ・デル・ラーゴ（Castiglione del Lago）の町並みのシルエットのその右手に沈んでいきます。
　雲から出てきた夕日が、明るい金色の光を、空と湖に投げかけています。

　カスティッリョーネ・デル・ラーゴの右手に見える細長い島は、ポルヴェーセ島（Isola Polvese）です。
　先日島を歩いたときは、しばらく訪ねない間に、島の木々や植物を整備するというよりはむやみやたらに伐採してしまっていて、オリーブの木々の近くに植わっていたラベンダーやローズマリー、杉並木や広場の脇にあったキョウチクトウの並木がなくなってしまい、あんなに花が美しかったのにと残念でした。そんなふうに、島のあちこちが丸坊主になってしまっているのが、視力がいい夫には、これだけ離れた位置からでも見えたそうです。

　いったんは丸い黄身の全体、姿がすべて見えた夕日は、そのあと、雲の筋の向こうに隠れながら沈んでいきました。

　幾筋もある細い雲の間から差す夕日の光が、燃えさかる炎のようで、太陽が地平線に近づくにつれて、空の色が赤みを増していきます。

　沈もうとするその直前には、太陽の形がきれいに見えて、日の光で雲が桃色になりました。

　東を見やると、空が桜色になり、中世の城塞と町並みが美しいサン・サヴィーノ（San Savino）の左奥に、ミジャーナがあるテッツィオ山（Monte Tezio）が青く霞んで見えています。

　再び北西の空と湖を見やると、湖も、空と雲と同様に、深いピンク色に包まれ、そのピンクの湖を、１羽のカンムリカイツブリ（svasso maggiore）が、どういうわけかいつになく、頭と首を前方に突き出すようにして、前へ前へと進んでいきます。
　久しぶりにトラジメーノ湖で、夕日をゆっくりと見送ることができて、うれしかったです。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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