イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

美しい夕焼けの中下るアクート山

 昨日、日曜日の夕方は、テッツィオ山の北北西にそびえるアクート山(923m)の頂上まで、初めて登りました。

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Monte Acuto, Umbertide (PG), Umbria 13/6/2021 20:06

 ひどく暑い日でしたし、わたしもワクチン接種の翌日で、あまり無理な登山はしない方がいいと考えてはいたのですが、午後5時過ぎになって、夫が急にラヴェルナに行って歩きたいと言い出したのです。ラヴェルナに向かう途中で、もう遅いからと、はるかに近いアクート山に登ることにして、午後6時に標高529mのガレーラ(Galera)から出発しました。

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 途中、急な登り道がいくつもあり、夫がどんどん登っていくので、わたしは息を切らしながらついて行きました。そうして、ようやくたどり着いた頂上からの見晴らしがすばらしいので感嘆しました。

 山の東側には、テベレ川が流れる平野が広がっています。冒頭の写真の右手には、テベレ河畔にあるウンベルティデ(Umbertide)の町並みが写っています。

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 南には、夫が生まれ育ち、また、改築中の家やオリーブ園があるテッツィオ山(Monte Tezio、961m)がそびえています。古代にエトルリア人とウンブリア人が住み分けていた、その境界線となっていたテベレ川沿いにそびえる山であり、標高はそれほど高くないものの、周囲に高い山がないため見晴らしのいいテッツィオ山は、そのために古代には警備や通行のための要所であり、神殿があったのですが、アクート山も同様に、古代において警備の要所であり、頂上には紀元前4〜6世紀に神殿が築かれたとのことです。

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 午後6時から2時間かけて登頂し、日が長くなったとは言え、午後9時10分前には日が沈んでしまうからと、夫よりかなり遅れて登頂したわたしは、頂上の案内看板を読む余裕もなく、山を下り始めました。夫の提案で、夕日や夕焼けが見えるからと、登ったときとは違う道を通り、まずは南の方、テッツィオ山が見える方へと、なだらかな坂道を下っていきました。

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 ふり返ると、夕日が雲に隠れ、地平線に近づいて、オレンジ色がかってきた空と、幾層にも連なる青い山並みが見えます。

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 時折、右や左への曲がり角があり、西へと歩いていると、夕日が隠れて、その放つ光だけが見える時もありました。

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 わたしたちが昨日歩いたのは、案内看板の地図を撮影した上の写真に、黄緑色で矢印を書き込んだトレッキングコースです。

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 白い野バラが美しいからと撮影しようとしたら、白い蝶がいて、カメラを向けても、じっとそのままバラの上にいてくれました。

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 北西へと向かう道を下っていると、こんなふうに進行方向に、夕日や茜色に染まっていく空が見えました。

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20:43

 日の入りの頃には、再び夕日を背にして南へと下っていたのですが、後ろをふり返って、エニシダ(ginestra)の間に沈んでいく夕日を見送りました。

 ピンクに染まっていく空や黄色いエニシダの花が海のように斜面を覆っているところがあり、立ち止まって写真を撮っていたら、オオカミやイノシシ、そして、牧羊犬に出くわす危険があるからでしょう、もっともなことに、夫に戒められたので、そのあとは写真は撮らずに、ひたすら出発地点へ向かって歩きました。

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21:17

 昨日、家を出る前に確認すると、昨日のペルージャでの日没は午後8時50分とのことでした。ですから、午後9時過ぎに登山の出発地点に戻ったときには、もう薄暗くなっていました。

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17:54

 実は、この塔がある出発地点近くの家では、羊の群れを飼っているらしく、ちょうどわたしたちが出発地点に車で到着しようとするとき、たくさんの羊たちが牧羊犬に率いられて進んでいっていたのです。夜になって羊の群れが近くに戻ってきていたら、牧羊犬が吠え立てて襲いかかるかもしれないと考えたからか、夫は木の棒と石を拾って手に持って歩いていました。この写真で前方に見える塔のあたりが、登山道の出発地点で、前方に見えるのがアクート山です。

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21:17

 幸い野生動物や牧羊犬に出会うこともなく、無事出発地点に戻ることができました。西の空を見上げると、アクート山の上に、三日月が見えて、うれしかったです。

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Tramonto e panorami sulla Valle del Tevere
dalla cima del Monte Acuto
dove sorse un santuario tra il VI e IV sec. a.C.
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関連記事へのリンク
- 考古学・登山ガイドと行くテッツィオ山、ペルージャ
- イタリア最古の民族

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:お気に入りの場所やお勧めスポット・お店を教えて!
Commented by tokotakikuh at 2021-06-15 16:35
イタリアの小さな国旗がはためいてますね

白い蝶が、白い花を好みましたか?(笑)

三日月が綺麗
そろそろ、新月ですね・・
Commented by meife-no-shiawase at 2021-06-16 00:49
すごい!
羊がたくさん。かなり遠くの方までいますもんね。
ちゃんと揃って歩いて行っているのもすごいです。

昨日の山のお写真には私も高所恐怖症なので
ちょっと膝がガクガクっとしました。
ご主人さまが山に向かって立っていらっしゃるお写真も
思わず、気をつけてーって思っちゃいます。

遠くにたくさんの山々。かなり高いところなんですね。
Commented by milletti_naoko at 2021-06-16 03:30
zakkkanさん、イタリアでは、こんなふうに山頂近くに十字架があることは多く、その十字架にイタリアの国旗が掲げられているのは、特にロックダウン以降は見かけることがよくあるのですが、この十字架はかなり大きく、しかも険しい斜面のすぐ近くに立っているので、いったい誰がどうやって旗をつけたのだろうと、気になるところです。

茜色の光の中、白い野バラで食事中の白い蝶、そうして藤色の空に浮かぶ三日月、きれいでした♪ 日の入りの頃やその後に見える細い月は、これから少しずつ満ちていく月なんですよ。
Commented by milletti_naoko at 2021-06-16 03:39
メイフェさん、羊って集団行動がきちんと取れるというか、移動するときは、みんな一団になって、どどっと同じ方向に向かって歩いていったり走っていったりするので、見るといつも驚きます。

本当にこわいところでは写真を撮る余裕がなかったんです。メイフェさんも高所恐怖症でいらしたんですね。すみません。でも、眺めはすばらしかったです。夫は近くを歩いていて、そんな危ないところに行かない方がと思うことがよくあるんですが、それはきっと、わたしがこわがりなせいでもあります。

クッコ山は山頂は標高1566mなのですが、夫が駐車した駐車場が標高1197m、わたしたちがこの日歩いたこの丘の一番高いところは、標高1242mとのことです。
Commented by yuki0901671 at 2021-06-16 07:16
おはようございます!

ご夫婦揃って山登りがお好きなんですね。
私は中学生のころは奥多摩や丹沢の山に
登ってましたが、それ以来登山とは無縁な
生活です・・・
Commented by milletti_naoko at 2021-06-16 14:56
yuki0901671さん、おはようございます!

夫といっしょに登るうちに、、わたしも山を歩くのが好きになりました。なんと中学生の頃から、そんなにあちこちの山に登られていたんですね! いつか再び山に呼ばれることがあるかもしれませんね。
Commented by sunandshadows2020 at 2021-06-17 23:24
暑い日だったから、そして夕陽を眺められるからと午後5時過ぎの出発に我が家では無理な時間帯に新鮮さを感じます!
日差しの角度から見慣れた景色も新たに感じられた事でしょう。
自然が手の届くところにある、そしてその美しさも羨望の限りです。
Commented by milletti_naoko at 2021-06-20 01:16
お転婆シニアさん、イタリアは日中は暑い上に日差しも強く、夕方に出発すれば夕景が見えて、帰る頃には涼しいという利点もあるんです。

生まれ育った山のすぐ近くだからこそ、夫も最近になってから登ったばかりの山で、テッツィオ山をまったく違う角度から見られて、そうして見晴らしがすばらしいので感嘆していました。
by milletti_naoko | 2021-06-15 07:05 | Umbria | Comments(8)