イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ゆずりあい・妥協とコルバーラ湖夕景とレストラン

 最近仕事がひどく忙しいこともあって、わたしは最初夫に、夕食をいつもの湖畔のレストランで食べて祝おうと提案しました。6月16日は、ボルセーナの町と湖畔の紫陽花がちょうど美しい時期なので、これまで2度ほどボルセーナで祝ったことがあり、今年もそろそろ咲く頃だから、有給休暇を取るからいっしょに行こうと、言ってくれたのは夫です。その夫も、最初は夜はトラジメーノ湖のいつもの店で食べようと言っていたのですが、紫陽花の鉢を買って、さあ出発しようというときになって、「ただ車をひたすら運転して湖まで行っても、今日は天気が悪いだろうし、ピザを食べる食欲もないから、オルヴィエートかどこかに寄り道して帰ろう」と言い出しました。

 トラジメーノ湖で夕焼けを見て、お気に入りの店で祝えないのは残念でしたが、夫が言うように、確かに2時間ドライブして行っても、夕焼けが見られるとは限らず、運転するのは夫ですし、疲れてもいることでしょう。というわけで、帰りは、行きがけに見て気になった村を訪ねてジェラートを買って食べたあと、

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16/6/2021 19:51

ちょうど通り道の近くにあるからと、テベレ川のダム湖であるコルバーラ湖(Lago di Corbara)を見晴らせる丘の上の村、チヴィテッラ・デル・ラーゴ(Civitella del Lago)に立ち寄りました。わたしは、湖に映る夕空がきれいだろうと思い、夫は夕食が食べられるいい店が見つかるかもしれないと思い、それぞれの思惑と共に、二人で村をしばらく散歩しました。

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 村には、バラが咲いていて、座りながら湖の夕景を愛でることができる、こんなすてきなベンチがいくつか並んでいました。

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 そうして、ベンチが並ぶ展望台の右、さらに見晴らしのいいところにはテーブルが並んでいて、近くのバール兼ピザ屋で注文すれば、そこで食べられるようになっています。日の入りにはまだ早い時間に着いたので、ここで夕食が食べられれば美しい夕焼けが見られるだろうと思いつつも、ピザだけが食べられるこの店で食べるのはどうもと、わたしはためらいました。あなたが食べたいなら、わたしはジェラートを食べたばかりで空腹は感じていないから、食べずに夕焼けを楽しむつもりだと言ったのですが、夫は一人だけ食べる気にはなれず、わたしを無理に誘う気にもならなかったようです。

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 そうして、先のテーブルが並んでいたところよりもさらに右に行くと、湖や夕景の見晴らしがすばらしい通りがあって、地元料理のレストランのテーブルが並び、客たちが、これはおいしいと言いながら食べています。こういう店の方が、何か自分がこれだと思う一皿だけを頼みやすいので、わたしはここがいいなあと思い、夫もそれでもいいよとは言ったものの、あまり気が乗らず、やはりピザが食べたかったようです。

 結果的には、上方の雲から出てくる夕日が湖を照らすであろう風景を目にすることなく、さらにペルージャの方へと戻りながら、夕食が食べられる店を探すことにしました。そうして、わたしたちが車で出発してまもなく、道路脇の木々の向こうで、雲がひときわ赤くなるのがちらりと見えたので、もしコルバーラ湖を見られるテーブルに座っていたら、きっと美しい夕焼けが見られたのではないかと思います。

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 その後わたしたちは、午後9時前にトーディの町から少し離れたレストランで、夕食を食べました。そこそこにおいしくはあったのですが、トイレにトイレットペーパーがなく、女性用のトイレはドアが閉まらなかったり、メニューや食事が運ばれてくるまでに、それぞれひどく時間がかかったり、頼んだ肉がひどくかたく焼かれていたりしたこともあり、結果的には、確かにこの店であれば、ピザもそれ以外の料理も食べられたのではありますが、あのとき、あの夕焼けが美しく見えていたテーブルで、ピザでも何でもいいから食べておけばよかったなあと残念に思ったのでありました。

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20:11

 あのときは二人とも、お互いに「もし食べたいんだったら、その店でもいいよ」とは言ったものの、どちらも相手に遠慮して、「じゃあ、この店で食べよう」とは言わなかったのです。これは、地元料理のレストランがある通りから撮影した写真で、今になって考えると、ここからの眺めはすばらしくても、レストランのテーブルからは空しかおそらくは見えなかったことでしょう。

 夫が食べたそうにしていたピザ屋のテーブルなら、とびきりの眺めが楽しめたはずで、ふだん肉や魚料理を頼んでも、パンはほとんど食べないのと同じで、ピザを頼んでも、もっぱら具ばかりを食べて、ピザの生地は残すというてもあったなあと思ったのでありました。今後の反省として書いてありますが、コルバーラ湖の美しい夕景を、高みから眺めることができて、うれしかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:お気に入りの場所やお勧めスポット・お店を教えて!
Commented by meife-no-shiawase at 2021-06-18 12:26
なおこさん、ご結婚記念日、おめでとうございます。
お二人の優しさが伝わってくるお話です♡
お店を決めるのって難しいときがありますね。
でもいつも一緒に山を歩いたり街を散策したり
とても素敵なご夫婦だと思っています。
これからも仲良くお幸せに♡
Commented by 3841arischan at 2021-06-19 08:11
結婚記念日、おめでとうございます(^^♪
お互いに遠慮してのレストラン選び、
夫婦って、いつまでたっても、この遠慮が大事なのでは?
と時々思う私です~
そうでないとせっかくの時間、ケンカになってしまい
美味しい料理どころか?時間を無駄にしてしまうことの方が悲しくなる?ことがあるからです!自分への戒めです!
レストランは残念でしたが、波風たたない素敵な時を過ごされたようなので良い時間でしたね~♡
なおこさんの記憶には、この美しい夕陽が今年の結婚記念日の記憶としていつまでも残るのでは?と思います♡
Commented by bondgirl333 at 2021-06-19 12:18
結婚記念日おめでとうございます。
譲り合いできる方々が結婚を維持出来るのですね。

来年も素敵な景色が見られますように^_^
Commented by milletti_naoko at 2021-06-20 05:31
メイフェさん、お祝いの温かいお言葉をありがとうございます。
いっしょにこうして過ごせるときが多くて、ありがたいです。夫もわたしも、本来この日にするべき仕事を前後に回したので、前と後が大変ではありましたが、それでもこうやって過ごせるときを持つことの大切さを、夫が、そうして昔むかしダブリンの英語学校で出会ったイタリア人のクラスメートたちが教えてくれたように思います♪
Commented by milletti_naoko at 2021-06-20 05:35
アリスさん、ありがとうございます。
お互いを思いやることがやはり大切ですよね。生まれも育ちも好みも考え方も、人は皆それぞれに異なるのですもの。

おっしゃるように、あのままどちらかの言うように湖畔のどこかの店で食べていたら、どちらかにひょっとしたらわだかまりが残ったかもしれないので、そういう意味では、あれできっとよかったのでしょうね。ありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2021-06-20 05:39
bondigirl333さん、ありがとうございます。
わたしは30代後半、夫は40代で、二人ともすっかり大人になってから出会ったので、自分の生き方や好みや習慣というのがそれぞれにもうできていたので、お互いに妥協できるところを見つけて、譲れることは譲って、せっかくいっしょにいられること、過ごせるときを大切にしたいなと、けんかも少なからずするのではありますが、そんなふうに思います。

自然の美しい風景にたくさん出会えるのも、夫と出会ったおかげで、感謝しています。
Commented by tokotakikuh at 2021-06-20 14:28
( ´艸`)
夫婦
他人以上、身内未満
その意味を継続するには
双方が、一番許せる範囲内を妥協することでしょうか?(* ´艸`)クスクス

愛と、慈しみと、何よりも、健康
その時間の中で、眼で・耳で・楽しい時間を
出来る限り、共有してくださいね
Commented by milletti_naoko at 2021-06-20 15:30
zakkkanさん、ありがとうございます。大先輩のお言葉、しっかり胸に刻んでおきます。そう言えばずっと昔、結婚50周年を迎えた夫妻のお祝いのミサで、結婚を長持ちさせる秘訣は「互いに大目に見て我慢することだ」と聞いたことがありました。

今共にいられるこのときを大切にしたいと思います。
by milletti_naoko | 2021-06-18 06:36 | Umbria | Comments(8)