1.イタリア再始動の夏 ワクチン接種進み、感染減少
欧州およびイタリアにおけるデルタ株の感染への懸念こそあるものの、春からの長きにわたる厳しい規制と着々と進むワクチン接種のおかげで、イタリアでは、感染が減少し続け、
https://coronavirus.gimbe.org/
直近2週間(6月9日〜23日)における住民10万人あたりの新規感染者数(上の表の横軸)が30人を下回る州が過半数となり、直近1週間(6月16日〜23日)の前週比の感染件数増加率(上の表の縦軸)も、最も数値の高いカラブリア州で0.6%にとどまり、大半の州で0.2%以下となっています。
イタリアにおける感染減少やワクチン接種状況、規制の解除について詳しくは、ニューズウィーク日本版の姉妹サイト、World Voiceに寄稿した次の記事をご覧ください。
また、ワクチン接種がいかに新型コロナウイス感染症感染の危険を減少させるかについて詳しくは、イタリアでワクチン接種を受けた1400万人を対象にした追跡調査の結果を紹介した次のブログ記事をご覧ください。
今号の学習教材は、イタリアのこうした現状を伝えるテレビニュース、TG3のツイートです。
https://twitter.com/Tg3web/status/1408043126439227397
ツイートの文章の前半を見てみましょう。
"I numeri della pandemia in Italia continuano a migliorare. Ma preoccupa la diffusione della variante delta, molto contagiosa. Cruciale, in questo quadro, il ritmo della campagna vaccinale."
知らない言葉がある場合でも、イタリア語における派生のしくみを知っていると、また、よく似た英語の単語を知っていると、すでに自分が知っている言葉をもとに見当をつけて、だいたいこういう意味ではないかと推察しながら、読んでいくことができます。
"I numeri della pandemia in Italia continuano a migliorare. Ma preoccupa la diffusione della variante delta, molto contagiosa. Cruciale, in questo quadro, il ritmo della campagna vaccinale."
numero「数、数字、番号」、continuare a +動詞の不定詞(原形)「…し続ける」は、初級の方もしっかり覚えておきましょう。preoccupare「…を心配させる」は、この代名動詞 preoccuparsi「心配する」を使った、Non si preoccupi. 「どうかご心配なく」、Non ti preoccupare./Non preoccuparti.「心配しないで、心配しなくていいよ」という表現が、日常でもよく使われます。
次に、この文章の鍵となる感染症の関連用語を押さえましょう。以下、太字で示してあるのが、感染症や感染に関わる言葉です。
"I numeri della pandemia in Italia continuano a migliorare. Ma preoccupa la diffusione della variante delta, molto contagiosa. Cruciale, in questo quadro, il ritmo della campagna vaccinale."
pandemiaは「パンデミック、世界的流行、感染爆発」で、varianteはこの文脈では「変異株」を意味します。diffusioneは、辞書には「普及、流布」などとあり、「広くいきわたること」という意味なのですが、ここでは「変異株」について語っているのですから、「蔓延」という意味です。contagiosoは、英語の形容詞、contagiousから類推された方もおいでかもしれません。名詞、contagio「(病気を)移すこと、伝染、感染」から派生した形容詞、contagiosoは「感染性の、伝染する、伝染しやすい」という意味で、文中では、contagiosaと語尾が-aで終わっているのは、この形容詞が修飾する名詞、varianteが女性名詞の単数形だからです。
vaccinaleという単語が、vaccino「ワクチン」という名詞から派生した形容詞だと、お気づきになりましたか。
イタリア語ではこんなふうに、名詞に接尾辞-aleがついて派生した形容詞が多数あります。

派生語と言えば、1文目のmigliorare「改良される、好転する、快方に向かう」も、形容詞 buonoの比較級、migliore「よりよい、より優れた」から派生した動詞です。イタリア語には、こんなふうに名詞に接尾辞-areがついて派生した動詞も多数あります。
vaccinare「ワクチンを接種する」も、同様に名詞 vaccino「ワクチン」に接尾辞-areがついて派生した動詞で、vaccinazioneは、この動詞に接尾辞-zioneがついて派生した名詞です。動詞に接尾辞-zioneがついて派生した名詞も、イタリア語には多数あります。
さらに、cruciale「決定的な、重大な」という最後の文の鍵となる言葉を押さえて、もう一度、文章を読み直して、意味を考えてみましょう。 "I numeri della pandemia in Italia continuano a migliorare. Ma preoccupa la diffusione della variante delta, molto contagiosa. Cruciale, in questo quadro, il ritmo della campagna vaccinale."
「イタリアにおけるパンデミックの数値は、よい方向に向かい続けている。しかし、非常に感染しやすいデルタ型の変異株の蔓延が懸念されている。こうした状況の中で、ワクチン接種キャンペーンの迅速さが極めて重要となっている。」(「 」内は石井訳。意訳となっている部分あり。)
ツイッターでは字数が限られている上、特に重要なことを強調するため、最後の文は文法的には破格な構文となっていて、述語動詞が省略されています。
2.紫陽花美しいボルセーナ
今回も、ブログから記事をいくつかご紹介します。よろしかったらぜひご覧ください。

イタリアで最も美しい村の一つ、ラッツィオ州のボルセーナ(Bolsena)は、紫陽花(ortensia)の村で、例年今の時期は、村の通りと湖畔を、さまざまな品種の色とりどりの紫陽花の花が美しく彩っています。
わたしが1回目のワクチン接種を受けた会場は、人や文化を尊重して企業を経営するブルネッロ・クチネッリが再建したソロメーオ(Solomeo)にありました。記事では、ワクチン接種会場の様子と、接種後に散歩した美しい村をご紹介しています。
地方ニュースによると、現在ではカステッルッチョ(Castelluccio)の高原に、ヒナゲシの花もかなり咲き始めているようです。次の記事は、1週間前、緑や黄色い花が高原を覆い、道端や山の斜面の色とりどりの野の花、見晴らしが美しかった高原の様子をご紹介しています。
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3.3月以降にブログに移行したバックナンバーのご紹介
以下に、第129号を発行した後に、このブログに移行した記事へのリンクを添えておきますので、よろしかったらぜひお読みください。
- 第41号 「復活祭(Pasqua)、お知らせ ~ブログを始めました~ 」 (2010/4/6)- 第43号 「楽しく歌おう『Carletto』、学生の語る『イタリア』」 (2010/4/24)- 第66号 「イタリア建国150周年祭、今わたしたちにできること」 (2011/3/18)- 第67号 「物語を読む、春の訪れ、イタリアの地震報道」 (2011/4/7)- 第107号「歴史・美術記事を読む〜フィレンツェドゥオーモびっくり情報」 (2016/2/29)
イタリアでは雨が降らない猛暑の日が続き、空がサハラ砂漠から来た砂のベールに覆われた日が続いています。新型コロナウイルスの感染も、感染が収まってきたように見えるヨーロッパでさえ、デルタ株の蔓延による感染の増加が心配されている状況です。どうか皆さん、くれぐれもお体を大切にお過ごしくださいませ。
*追記:今号をブログに移行するにあたっては、次の号で紹介している新しいデ・マウロのイタリア語基本語彙辞典に基づいて、
記事の説明中の単語を、次のように色分けしてあります。
・基本語彙2000語(現代イタリア語で使われる語彙の86%を占める)
・次いで使用頻度の高い3000語
・上のいずれにも該当しないものの、イタリア人話者がよく使うと知覚している約2500語
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Articolo scritto da Naoko Ishii
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