イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

天国のジェラートおいしいダンテ没後700年記念

 この夏、7月・8月だけ販売される特別限定版のジェラート(gelato)Paradiso「天国(篇)」を、まだ6月末ではありますが、昨日初めて食べました。

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 今年は、イタリア語の父、ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri、1265-1321)の没後700周年を記念して、さまざまな催しが企画・開催されています。

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 そうして、ジェラート会社のアルジダ(Algida)が、今年は偉大な文人、ダンテを称えて、『神曲』(Divina Commedia)を構成する3部、地獄篇(Inferno)煉獄篇(Purgatorio)天国篇(Paradiso)の名を冠したジェラートを、それぞれ2か月の期間限定で販売してきています。



 けれども、この3篇のイタリア語の題名そのものは、「篇」という言葉を含まず、ダンテがウェルギリウスと共に、業苦に苛まれる人々の様子を目の当たりにし、時には言葉も交わしながら旅していく地獄(inferno)や人々が罪を贖う煉獄(purgatorio)、そして、ベアトリーチェにいざなわれて訪ねる天国(inferno)と、死後の世界の場所そのものを指す言葉です。

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 さて、地獄(Inferno)ジェラートが販売された3月・4月は、ウンブリア州、中でもわたしの住むペルージャ県は感染が深刻で、規制も厳しく、ジェラートが食べたいからバールに行くというような状況ではありませんでした。

 煉獄(Purgatorio)ジェラートの販売は、5月・6月で、夫は一度食べたことがあるのですが、わたしは食べられずに終わってしまいました。町を歩いているときは、やはりおいしい自家製のジェラートを売っている店で食べることになりますし、山を歩き終わってから、どこかのバールで買って食べるとなると、夕食前になりがちなので、夫は食べても、わたしは食べないことが多いのです。

 ちなみに、この上のジェラートの看板は、テルミニッロ山に行こうとした日に、わたしたちが立ち寄ってコーヒーを飲んだ、レオネッサのバールの前に立っていたものです。このバールでも、そして、帰り道に立ち寄ったカッシャのバールでも、煉獄ジェラートは売り切れてしまっていました。

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 ですから、昨日、日曜日に、午後5時にうちを出て、ラヴェルナ(La Verna)に向かう途中で立ち寄ったバールで、まだ7月になっていないのに、天国ジェラートが売られているのを見たときは、さっそく購入して食べてみました。

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 トスカーナもホワイトゾーンですから、バールの店内で食べることもできたのですが、すでに店内で食べている客が4人いましたし、やはり屋外の方が安心だからと、店から少し離れたところにあるベンチに座って、ジェラートを食べました。

 わたしが冒頭の写真を撮ろうとしている間に、先に食べ始めた夫が、「このジェラートは、一口食べてから撮った方がいいよ」と言うので、夫がかじったジェラートを見て、なるほどと思い、助言に従って撮影しました。ただし、袋に焦点を当てると、ジェラートがぼけてしまいます。

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 全体をホワイトチョコレートが包んでいるその内側には、さらにルビーチョコレートの層があり、そうして、その中のジェラートはピスタチオ風味で、色もきれいで、とてもおいしかったです。好奇心から食べてみたのですが、このジェラートなら、おいしいので既製品でもまた買って食べてみたいなと思いました。

 店で職人が作る新鮮なジェラートも、わたしたちが食べる小さいサイズなら、ジェラート屋で2.50ユーロ前後で、好みの味を選んで食べられるので、値段がほとんど変わらない既製品のジェラートをバールで購入するのは、普段であれば、自家製ジェラートを作って売る店がない山の中や人が少ない小村にいるときくらいなのです。



 興味のある方は、こちらの商品紹介映像もご覧ください。この『神曲』ジェラートは、アルジダのジェラートの中の、Magnumシリーズの一つとして売り出されています。このMagnum、イタリア語での発音は「マンニュム」に近い音になるので、発音が気になる方は、映像の音声によく耳を澄ましてみてください。ボローニャやエミリア・ロマーニャなどの地名にも含まれるgnという子音は、舌の中央を山のように盛り上げて、口蓋にべったりとつけて発音する音で、標準イタリア語の伝統的な発音では、母音に挟まれるときは、二重子音になります。

 このgnの発音については、詳しくは次の記事をご参照ください。


*翌朝の追記:昨晩は記事を書き上げるのが遅くなったので、言及しませんでしたが、ジェラートの看板にも、ラヴェルナへと向かう夫の車のフロントガラスの右手にも、サハラ砂漠から飛んできて、長い間イタリア中部の上空を覆っていた砂の痕がはっきりと見えています。サハラ砂漠からイタリアに飛んでくる砂について、興味のある方は、こちらの記事をご覧ください。


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Buono il Magnum Paradiso :-)
Purtroppo, non sono riuscita a mangiare né il Magnum Inferno
né il Magnum Purgatorio, ma ora che siamo in estate e
possiamo andare al bar a comprare il gelato (zona bianca!),
forse potrò mangiarlo anche altre volte.
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LINK

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:5月9日はアイスクリームの日
Commented by 3841arischan at 2021-06-29 10:46
なおこさん、期間限定で出る市販のジェラート、
お写真見るからに美味しそうです❤
イタリアでジェラートと言うと、お店での手作りを想像しますが
私も、ミラノのホテルの近くのバールで限定品ではないものの買って食べたことがありますが、結構美味しいのでビックリしたことがあります!
やっぱり、ジェラートの国だなぁ~❤とその時思いました(o^^o)
Commented by django32002 at 2021-06-29 16:58
ジェラート、美味しそうですね!
暑い季節はなんと言っても冷たいものに限ります。
ロゴがなんだか日本の「Morinaga」に似ているような・・・?
Commented by meife-no-shiawase at 2021-06-30 01:10
ご主人さまのアドバイス。
本当に外側は真っ白なのに食べたらキレイなピンク♪
これはとっても美味しそうです。

アイスクリームの看板に載っているのが
どれも美味しそうです~。
どれも食べてみたい~。
右下のチョコレートがうずまきみたいになっているのが
気になります。笑。
Commented by tokotakikuh at 2021-06-30 14:15
ご主人様の・アドバイス・。・👍!!
流石・決まってますよ
こうなってますか??
ジェラード
イタリアに来た以上、絶対「食べてくださいね」
添乗員の彼女は言いましたよ

ローマの休日・・
あのイメージです・・日本ではね
確かに・甘い・・甘すぎますが
うまいです(笑)
Commented by nonkonogoro at 2021-07-01 08:43
Paradiso

たしかに
かじった後の画像の方が
より美味しさが伝わってきます。
食べたいなあ。。。

私は日頃アイスの買い置きはしませんが
旅先では アイスやソフトクリームを食べています。

子供の頃
父がアイスクリームメーカーの器具を買ってきて
攪拌しながら ミルクセーキを固めたような
アイスクリームを作ってくれました。
当時はまだ冷凍庫はなく
おまけに その器具には コードがついていて
冷蔵庫のドアを開けっぱなしにしていたという
奇妙な光景を覚えています(笑)

Commented by sunandshadows2020 at 2021-07-02 23:16
確かに2、5ユーロは少しお高いかなと思いましたが3重構造でリッチに見えます。
パラディソは名前が良いので売れそうですが、他の2点はどうだったでしょうか。
勿論ダンテで七百年の歴史と銘打ってありますが。
我が夫はCorona ビールを好みますが、コロナ感染中、このビールの売れ行きが減り製造も一旦止まったように聞きました。
コロナ感染とは関連性なくともこんな調子のこちらなのでそちらでは如何だったかなと、ふと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2021-07-05 17:14
アリスさん、市販のジェラートの高さに最初は驚いたのですが、手作りのジェラートに負けまいと、品質やおいしさにきっとこだわっているのでしょうね。

珍しさから食べてみたので、とてもおいしくて、うれしかったです。
Commented by milletti_naoko at 2021-07-05 17:19
django32002さん、夏はジェラートがおいしいですよね。Mで始まる業者が、Mをデザイン化しようとすると、どうしてもどこかしら似てくるのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2021-07-05 17:23
メイフェさん、食べ始めたらきっと夢中になって、撮影のことまで気が回らなかったと思うので、貴重なアドバイスでした♪

三つの層の三つの味が楽しめて、しかもきちんとそれぞれの味が調和していて、でも独立した味としても楽しめて、とてもおいしかったです♪ チョコレートの渦巻きもおもしろいですね。
Commented by milletti_naoko at 2021-07-05 17:28
zakkkanさん、食べる前までは、どう撮ったらきれいに撮れるかなあとあれこれ構図や明暗を考えたりしたのですが、食べ始めたらたぶん食べるのに夢中になったと思うので、カメラを片づける前に夫がくれたアドバイス、ありがたかったです。

甘さはイタリアでも店や風味によっていろいろなので、ひょっとしたらzakkkanさんが食べられたお店とジェラートが、ことさらに甘かったのかもしれませんね。
Commented by milletti_naoko at 2021-07-05 17:37
のんさん、袋を見ても、きっと白は、無垢で清純な白い天国に満ちる光なのでしょうね。一口かじって色を見てびっくり、食べておいしくてにっこり。おいしかったです♪

日本のソフトクリームもおいしいですよね。こちらでは食べられる機会がほとんどないので、懐かしいです。

なんとお父さまがアイスクリームをご自宅で作られたとは!
Commented by milletti_naoko at 2021-07-05 17:49
お転婆シニアさん、地獄はウンブリア州では感染が深刻だった時期に発売され、まだ気温も低かったので、意識しないうちに季節が過ぎ去ってしまったのですが、煉獄は夫が食べて気に入って、その後あちこちでアルジダのジェラートを販売する店を見つけるたびに、あるかどうか聞いていたのですが、どこも売り切れていたので、やはり人気があったのだと思います。

ビールについては、それほど製造や販売が深刻な時期があったんですね! イタリアでは、おそらくcoronaという語がもともと王冠やロザリオを唱えるときに使う数珠のようなものなどを指す言葉として存在して、日常生活で使われることもあって、coronaはcovid-19という意味では、かなりくだけた、言葉遣いに留意していない会話の中でまれに使われるだけで、ウイルスのことはcovid(-19)あるいはcoronavirusと言っています。関連のニュースや会話を聞く機会も多かったのですが、わたしが耳にしたのはニュースで一度、そして義父が一度言うのを聞いただけで、そういうわけで、ひょっとしたらイタリアでは、そもそもCoronaという単語、名前だからとウイルスに結びつけて考える人が少ないかもしれません。ニュースでcoronaという言葉をよく耳にするのは、英国王家についての報道があるときです。
by milletti_naoko | 2021-06-29 07:20 | Gastronomia | Comments(12)