イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

眺めみごと宮殿の名持つ岩山登り、シビッリーニ山脈 パラッツォ・ボルゲーゼ山

 8月6日金曜日は、ボルゲーゼ宮殿という名を持つ岩山、パラッツォ・ボルゲーゼ山Palazzo Borghese、2145m)を目指して、シビッリーニ山脈(Monti Sibillini)の山を登りました。

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6/8/2021 15:18

 上の写真で登っていく夫の左手に見えるのが、パラッツォ・ボルゲーゼ山です。

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15:24

 垂直の岩壁が中世の宮殿のようだから、「ボルゲーゼ宮殿」と名づけられたのではないかと言われています。数年前にも登ったことがあって、こんなふうに歯のような形の岩が列になって並ぶ、その間を通って、その後はさらに、緑の草原を登っていきます。

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http://www.sibillini.net/il_parco/gps/mappaSisma.jpg

 昨日は、この辺りを歩いていたとき、冷たく激しい風が吹き荒れていたこともあって、標高2145mの頂上までは行かなかったのですが、その代わり、標高2047mのサッソ・ボルゲーゼ峠(Passo di Sasso Borghese)を通り過ぎて、さらに高みへと登りました。今地図を見ると、標高2090mほどの高さまでは登ったのではないかと思います。

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12:28

 出発地点は、給水場、Fonte di San Lorenzo(1402m)です。8月に入ったため、平日の金曜日にも、近くの路傍に車が数台並んでいました。

 上の写真は、夫が車を駐車した辺りから撮影したもので、左にパラッツォ・ボルゲーゼ山が見えています。けれども、山の傾斜がひどく急なので、そのまま左には向かわずに、まずは前方に見える森を右へ右へと登っていきます。

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12:59

 この森は、ブナの木々が影を落としてくれて涼しいのはありがたいのですが、歩き始めで体力があるときとは言え、かなり急な登り道が長い間続きました。この森を出たら、後はずっと日かげのない道が続きます。傾斜の急な斜面を登り続けて疲れた上、バールで購入した昼食と念のためにと運んでいた1.5リットルの水が重たかったこともあり、この森を出る前に、食事をすることにしました。

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13:25

 森を出て、右手下方に見える山小屋、Capanna Ghezzi(1570m)の上を通るトレッキングコースを歩いていくと、右手に少しずつカステッルッチョの高原が姿を現し、やがては中心街を頂く丘も見えてきます。

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13:50

 登り道がゆるやかなので、助かったと思いながら歩いていたら、こんなに急な登り道も時々あります。

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13:59

 登りきると、前方に小さく、パラッツォ・ボルゲーゼ山の頂上が見えてきました。ここで夫が、写真の右手の山すそ、わたしたちが歩いていかなければいけないトレッキングコースの近くに、羊の群れがいることに気づきました。羊飼いもいるのですが、牧羊犬も数匹います。

 そこで、犬たちを避けるために、左手に見える丘、Colle Abieri(1800m)を登って、羊たちよりもかなり先の方で、登山道に戻りました。羊の群れからの距離を取るために、上の写真で左端に写る斜面の方に向かって歩いていき、羊たちがいる側とは反対側の斜面を歩いて登っていきました。

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14:06

 丘の上からは、カステッルッチョ・ディ・ノルチャ(Castelluccio di Norcia)の高原と中心街のある丘、そしてその向こうに連なる山がきれいに見えます。

 このあとは、すばらしい眺望を楽しみ、野の花に励まされながら、冒頭の2枚の写真に写っているパラッツォ・ボルゲーゼ山の山頂近くまで、ひたすら登っていきました。いつしか激しく冷たい風が吹くようになり、高みを歩いている間じゅう、ずっと吹き続けていたのですが、風は幸い、山の斜面に向かって吹いていたので、安心して歩くことができました。

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15:19

 来た道をふり返ると、奥の方にはカステッルッチョの高原が広がり、手前に見える森の下方には、砂利道の行き止まりにある給水場や、その手前に駐車してある夫たちの車が見えていました。

 上から2枚目の写真に写った、巨大な歯のように見える岩が並ぶ門の間を通ってから、寒く感じるほどの暴風が斜面に遮られて弱いところを探して、腰を下ろし、昼食の残りを食べました。

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16:05

 食後、さらに、どこまでも続く登り道を歩いて、ようやくサッソ・ボルゲーゼ峠(Passo di Sasso Borghese、2047m)に到着しました。

 岩の門ははるか下方となり、その向こうにすぐカステッルッチョのある丘が見えて、奥には高原が広がっています。

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16:06

 せっかくなので、この稜線の向こうにある風景を眺めたいと考えて、なおも山を登りました。

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16:13

 登りきると、前方にはポルケ山(Monte Porche、2233m)の山頂が迫り、

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右手には、サッソ・ボルゲーゼ(Sasso Borghese、2119m)、そして、右後方の緑の山の向こうには、青い海も遠くにぼんやりと見えています。

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16:28

 冷たい風が吹き荒れる中、さらに歩いていくと、サッソ・ボルゲーゼの左に、なんとシビッラ山(Monte Sibilla、2173m)が見えています。

 シビッリーニ山脈の名の由来となった、頂近くの洞窟にかつて巫女(sibilla)が住んでいたというシビッラ山は、夏でも野の花が一面に咲き、見晴らしもすばらしいので、わたしは最近ずっと行きたいと思っていたのですが、登山口がペルージャから遠く、登山自体にも時間がかかるため、泊まりがけでないと行くのが難しく、夫には、登山客が多いだろうと言われて、登るのをあきらめていました。そのシビッラ山が、思いがけずこんなにも近くに見えて、うれしかったです。

 標高2千メートルを超えるこの辺りの斜面には、エーデルワイスの花もあちこちに咲いていました。このあとは、しばらく周囲を歩き回り、それから山道を下って、車を近くに置いていた給水場まで戻ると、もう午後7時になっていました。

 帰り道に寄ったレストランで夕食を済ませ、うちに戻ると午後10時半で、何より、片道の標高差が約700mで、1万8千歩以上歩いたので、帰ったらすっかり疲れ果てていたため、昨晩は、記事を投稿する余裕もなく、就寝しました。イタリア時間で昨夕投稿した記事は、実は山へとうちを出る前に書き上げていたのですが、日本時間で日付が変わる前に投稿しようと考えていたものの、歩いている間はその余裕がなく、レストランに腰を下ろしてから、ようやく書いていた記事を投稿することができました。

 エーデルワイスほか、登山中に見かけた花などの写真は、また次の機会に、ご紹介できればと考えています。

関連記事へのリンク / Link all'articolo correlato
↑ 当記事の登山中に見たエーデルワイスの写真をご紹介しています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by sunandshadows2020 at 2021-08-08 13:07
美しい山道ですね。今すぐハイキングブーツ履いて行きたくなるほどです。高度もあり大変なトレッキングだったのでしょう。戻られたのは10時半、お疲れなのはよく分かります。
ゆっくりお休み下さいね。
Commented by milletti_naoko at 2021-08-08 18:42
お転婆シニアさん、地図の左手に黄緑で下線を引いているMadonnna della Cona(1496m)に駐車場があって、ここから歩いた方が標高差は少なくて済むのですが、夫は今回歩いた道の方が好きなのだそうです。今は通行止めになっていますが(小さい赤丸が数珠つなぎになっているところです)、もともとは山小屋、Rifugio "La Baita"まで車で行くことができて、その標高が地図からすると1600mはあるのではないかと思われるので、この道路が開通したら、かなり行くのが楽になりそうです。登山客も増えるとは思われるのですけれども。

温かいお言葉、ありがとうございます。
Commented by 3841arischan at 2021-08-09 06:47
なおこさん、冒頭のボルゲーゼ山のお写真、素晴らしくて感動しました\(^o^)/
私は、なおこさんのように、何時間も歩くトレッキングは、とても無理なので(体力的に歩いてないから!)、見させていただいて嬉しいです(^-^)
スイスの山に行くまでは、正直、山にはほとんど興味がなかったのですけど、1度でもあのお山に行ったら、山の気持ち良さと申しますか?、山の景色が大好きになりました♡
自分の足では、登れないのにこう言うのもなんですが・・・
そちらは、羊がいるので、牧羊犬もいて、それを避けるというのも必要だから、歩き慣れてないといけませんね!
たくさんの高山植物も、いつも拝見するのが凄く楽しみで、またのお写真こころ待ちにしていますよー(^-^)
エ―デルワイスは、8月にならないとなかなか見れないとスイス旅で聴いたのですけど、2000mを越える山だと、イタリアでも咲いてるのですね☆お隣の国なんだから当然だとは思いますが・・・(^^♪
Commented by tokotakikuh at 2021-08-09 14:04
トレッキング・それとも、登山でしょうか?

ご夫婦で同じ、趣味をお持ちだから
このレースに癒される、時間を持たれるのでしょうね

それにしても
山の名に「宮殿」とつける?
ヨーロッパらしいですね

日本は、山岳
山には神が宿ると申しますから
おのずと、ネーミングにもそれらしくものが
あるのですよね
Commented by milletti_naoko at 2021-08-09 17:06
アリスさん、ありがとうございます♪
わたしも夫とつきあうまでは、山は遠くから見るだけだったので、夫のおかげで山登りの楽しさや自然の美しさを知ることができました。アリスさんのスイスのアルプスの写真、風景も花も美しいですね♪

標高が高いところまで車やロープウェーで登って、風景や登山気分を楽しめるところが、イタリアにも日本にもあちこちにありますので、機会があればぜひ。

スイスではエーデルワイスは8月ですか。おそらくはアルプスの標高の高い山に自生するので、フランスアルプスでも咲いているのを見たことがあります。ピエモンテアルプスでは、今のところは植物園で見ただけで、自生する花をまだ見つけられていないのですけれど、アブルッツォのグラン・サッソにも、自生のエーデルワイスが咲くところがあるそうです。
Commented by milletti_naoko at 2021-08-09 17:18
zakkkanさんのコメントを機に調べたら、日本のサイトで違いを説明する文には、登山は山頂を目指すとありますが、辞書で「登山」を調べると、別に山頂を目指さなくてもよいし、わたしも山を登れば山登りだと思うので、そういう意味では、登山でありかつ、風景も楽しんでいるという点ではトレッキングでもあるのかなと思います。

登りたいところが一致せず、予定とは違う山を登ったのですが、風景もすばらしく、充実した1日となりました。

山の名前に「宮殿」は、イタリアでも珍しいのではないかと思います。シビッラ山やシビッリーニ山脈は、山の山頂近くの洞窟に神のお告げを人々に知らせる巫女がいたという点で、日本の山の名の根本にある考えに通じるものが何かあるようにも感じています。
Commented by meife-no-shiawase at 2021-08-11 08:19
なだらかには見えますが標高2000メートルって
考えてみたらかなりすごいところにいらっしゃるのですね!
お写真よりも実際は登るのは結構たいへんなのではないでしょうか。
なおこさんもかなり体力があるほうですね!すごい!

でもこんなに美しい景色を観ながら・・・
身体だけでなく心も健康になりそうです。
私も山に行きたくなりました~!!!
Commented by milletti_naoko at 2021-08-12 01:15
メイフェさん、もともとカステッルッチョの高原自体が、2千メートル級の山に囲まれた、標高1350mの高みにあるので、登り続けると、かなりの高さに到達することができます。ファルニョ峡谷と違って、最後に突然急な登り道があるのではなく、緩やかな長い登り道の途中に、時々急な道があるので、最後は足が痛むほど歩きましたが、登りやすかったです。

登っている間も、登って到着した場所からも、見晴らしがすばらしかったです。メイフェさんもぜひ!
by milletti_naoko | 2021-08-08 07:17 | Marche | Comments(8)