7月9日には、ボロンニョーラの村はずれにある標高約1130mの給水場から、なだらかな道を歩いてファルニョ渓谷の川を遡り、最後にひどく険しい斜面を登って、ファルニョの山小屋(1811m)まで登りました。一方、標高1340mのピントゥーラからも、この山小屋に向かう砂利道があり、現在は車での通行が禁止となっていますが、トレッキングコースでもあるため、歩いてであればファルニョの山小屋まで行くことができます。このトレッキングコースなら標高差も少なく、前回よりも短時間で楽に登っていけるので、山小屋からさらに近くの高峰の頂上も目指せるはずだと、昨日の朝は、わたしが夫に提案していました。
夫はまたもパラッツォ・ボルゲーゼ山やポルケ山へと登りたいと考えていたようですが、最近2度登ったばかりでしたし、出発地点に近いカステッルッチョでは、午後4時頃から雷雨になるという天気予報が出ていました。それで夫も賛成してピントゥーラに行ったのですが、途中で通りかかったフィアストラ湖周辺も、このピントゥーラも、予想していたよりもさらに混雑しています。わたしが提案した道も大勢が歩きに向かっているようでした。そこで、7月に夕食を食べたレストランで、昼食のパニーノを購入したとき、夫が店主に、人が少なそうな登山道を尋ねて、教えてもらったのです。
ここまでは下方に白く見えるトレッキングコースを歩いてきたのですが、目指していたのは、前方の斜面の高み、山の中腹を斜めに覆う森の上を通るトレッキングコースです。
このまま歩いていったら、後から登るのが大変だから、ここから少しコースを逸れて、上方にあるトレッキングコースを目指して歩いていこうと夫が言いました。実は、この時点では分かりづらかったものの、夫がこのとき提案した上の方の道へいくトレッキングコースも存在したのです。でも、案内標示がいっさいなく、また、これまで歩いてきたトレッキングコースをそのまま行けば、木々が影を落としてくれる上に、前方の斜面は日かげになっています。一方、夫が言う道は日当たりがよくて暑そうです。そこで、低い場所を進むトレッキングコースで、森を抜けたあとに、なだらかに見える斜面があり、トレッキングコースもあるようだから、このまま進んで、その先の傾斜のゆるやかなところで、高みを走る道を目指して登ろうと、わたしが言いました。
ところが、そのわたしが言っていたトレッキングコースも、やはり案内標示がいっさいなく、結局、恐ろしく急で分かりにくい道を、ひどく苦労しながら登ることになりました。
先方に見えていたはずの夫の姿が見えなくなったので、先に行ったのかと思って、足場の悪い急な斜面を歩いていたら、途中で別方向へと向きを変えていた夫の声がかなり上の方から聞こえます。
わたしには来た道を戻るより、このまま上へと登る方がずっと楽に思えたのですが、夫が戻るようにと言って聞かないので、仕方なく、再びこわい思いをしながらしばらく引き返し、夫のいる方へと登っていきました。
急な傾斜を登る途中で、昼食のパニーノを食べました。アドリア海の海も見えて、眺めがすばらしかったです。
ようやく目指していた道にたどり着けたときには、本当にほっとしました。上の写真中央よりやや右手に、出発地点だったピントゥーラの建物や駐車場が写っています。
このあとは、この歩きやすい砂利道を、見晴らしを楽しみながら登っていきました。かなり先を歩く夫のそのさらに向こう、道の左手にある高みが、ベッロ山(Monte Berro、1608m)の山頂であったことは、
http://www.sibillini.net/il_parco/gps/mappaSisma.jpg
うちに帰って登山地図を確認して、初めて分かりました。上の地図は、わたしが持つ登山地図ではなく、2016年のイタリア中部地震後、通行可能な車道やトレッキングコースを記したシビッリーニ山脈国立公園(Parco Nazionale dei Monti Sibillini)のサイトの地図で、上記リンク先のPDFの情報は、随時、最新情報に更新されています。
ベッロ山の頂上付近で道が右へと曲がってからも、そのなだらかな坂道を夫はどんどん登っていきます。
ふり返ると、以前に登ったピッツォ・ディ・メータ山(Pizzo di Meta)の向こうに、やはり以前に登頂したことがあるモンテ・サン・ヴィチーノ山が見え、青い海やアンコーナのコーネロ山も見えて、眺めがすばらしかったです。
ただ、登っても登っても、向こうの風景はなかなか見えず、そのためか、夫はひたすら登っていきます。そこで、わたしは、疲れたから腰を下ろしてしばらく休むと言ったのですが、夫があと少しだけ歩けば、景色が変わるよと言うので、あと少しだけならと、さらに歩き続けました。
すると道を曲がった先に高原が現れ、上の写真で右手奥の方に、またもや、シビッラ山が見えます。と言っても、パラッツォ・ボルゲーゼ山から見るのとは反対側の斜面が見えています。そして、写真の左端には、アブルッツォ州の双子山、ジェメッリ山(Monti Gemelli)も見えています。7月の旅行では、この二山の間にある美しいサリネッロ渓谷(Gole del Salinello)を歩きました。
風景を見やりつつ、休憩をしようと腰を下ろし、リュックサックから登山地図を取り出して、夫と二人で、自分たちがいる場所や周囲に見える山の名前を確認しました。上の写真の草原の奥の方に一段高いところがあるのですが、地図を見て、それがアマンドラ山(Monte Amandola、1707m)だと分かりました。よく見ると、十字架も立っています。その山頂まで行けば、ジェメッリ山やシビッラ山ももっと良く見えるだろうと、空はかなり曇ってきたのですが、アマンドラ山頂まで歩いて、それからピントゥーラに戻ることにしました。
さらに歩くと、右手に左から、ピッツォ・トレ・ヴェスコヴィ山(Pizzo Tre Vescovi、2092m)、アクート山(Monte Acuto、2035m)の山頂が見えてきました。暗い雲に覆われた空からわずかに差す日の光が当たるところが緑色になり、何か神秘的で荘厳なものを感じました。
そのまま平坦な道を歩いて行けばいいのかと思ったら、わずかではありますが、一度しばらく斜面を下ってから、再び登らなければいけませんでした。登り道の途中でふり返ると、右手にアマンドラ(Amandola)の中心街が小さく見えていました。
山頂付近からは、手前にプリオーラ山(Monte Priora、2332m)、そのすぐ向こうにシビッラ山(Monte Sibilla、2173m)が見えて、うれしかったです。
このあと、夫はかなり長い間、双眼鏡で何かを見続けていました。この夫が立つ場所より、さらに奥の方まで歩けば、下方にある渓谷も見られたことが、今地図で見て分かりました。このときは、シビッラ山の向こう、カステッルッチョではかなりの悪天候であるように見え、アマンドラやボロンニョーラには、雨が降るという予報は出ていなかったものの、山の天気は変わりやすいため、雷雨に遭わずにすむように、わたしは一足先に山を下ることにしました。しばらくすると、やはりアマンドラ山頂を後にした夫が、わたしのすぐ後ろまでやって来ました。
予定を変更して、標高はそれほど高くない山を歩くことになりましたが、眺めがすばらしく、2千メートルを超える高峰を間近に見ることもできて、夫もわたしもうれしかったです。万歩計を見ると、22425歩歩いていました。
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Mentre salivamo si vedevano anche la costa e il mare adriatico e
alla cima del Monte Amandola abbiamo potuto ammirare
i Monti Gemelli, il Monte Sibilla e il Monte Priora.
Faticosa ma con molti panorami stupendi,
passeggiata bellissima sui Monti Sibillini.
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↑ この結婚記念日の登山の記事にも、冒頭の写真をはじめ、プリオーラ山らしき山が何度か見えているのですが、また時間のあるときに、確認できればと思います。
Articolo scritto da Naoko Ishii
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