イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

思い出の店で夕食 山で雨に降られたあとで、泊まったのはなんと17年前

 8月13日は、シビッリーニ山脈、ポルケ山(Monte Porche、2233m)の山頂を目指して歩き、あと一息というところまで登ったものの、

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Monti Sibillini 13/8/2021

空が黒雲に覆われ、あちこちで雨が降り始め、雷さえ鳴っていたので、

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登頂はあきらめて、山を下ることにしました。わたしたちが登ろうとした頂はむしろ晴れていたのに、引き返して、暗雲立ち込める来た道の方へと夫が歩いていくことにしたのは、羊の群れを先導しているらしい牧羊犬の姿が見えたので、羊の群れを避けるためでもあったのですが、

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結果的には、「この犬たちは安心で人には危害を加えない」という羊飼いの言葉を聞き、犬の様子を見て、雨に降られながら、若干の距離は置きながらも、羊たちと共に、山を下っていくことになりました。

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 給水場まで下ったとき、次々にやっって来ては、並んで水を飲む羊たちが、かわいらしかったです。

 この日は、山を下るのが遅くなったので、帰り道にあるフォリンニョ市のコルフィオリート(Colfiorito)の店で食事をしようと、夫が電話で予約しました。先日、登山からの帰りに、やはりコルフィオリートを通りかかり、夫が好きなピザも食べられるこの店でと思ったら、もう空席がなかったためです。

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Hotel Ristorante Pizzeria Lieta Sosta, Foligno (PG), Umbria


 店は、ホテルでもあり、ピザも食べられるレストランがあるHotel Ristorante Pizzeria Lieta Sostaです。

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 屋内席でも食べられるとのことだったのですが、屋外席にしてもらいました。

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 運んできてくれたパンがおいしそうだと、夫がパンやグリッシーニを味見していました。

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 まずは夫のピザが先にテーブルに運ばれてきました。最近、登山からの帰り道などに、いろいろな店でピザを食べてみる夫ですが、この店のピザはおいしかったそうです。

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 たくさん歩いておなかがすいていたけれど、夜は炭水化物は避けたいと、わたしは肉料理とサラダを頼みました。豚肉は焼き加減もよく、おいしかったのですが、「味つけはしてある」と給仕の若者が言う肉には塩が、サラダにはオリーブオイルと塩が、わたしにはひどく少ないように思えて、もっとたくさんかけてあればと思いました。味つけをあらかじめするのは、感染防止のためなのでしょうが、若者の口ぶりから、袋入りの塩とオリーブオイルを頼むのをつい遠慮してしまいました。

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 食事中に日が暮れて、空がほんのりとピンク色に染まり、たそがれていきました。きれいな三日月も見えて、うれしかったです。食事を終えようとする頃から、ぱらぱらと雨が降り始めたのですが、幸いテーブルの大半は、天幕が覆ってくれていました。5枚目のレストランの写真は、食事を終えて、駐車場に戻るときに撮影したものです。

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 前回コルフィオリートで食事ができる店を探したときは、このLieta Sostaで、「うちには席がありませんが、近所にやはりピザも食べられるレストランがありますよ」と教えてもらい、幸い空席があったその店で食べました。

 けれども、ピザもサービスも今ひとつだったので、夫はこのリエータ・ソスタ(Lieta Sosta)で食べたいと、そのときに考えたのだと思います。店の名前は、「うれしい滞在」という意味で、実はわたしたちは、この宿にかなり以前に一度宿泊したことがあり、わたしはそのときに、夕方遅くに着いて、コルフィオリートの湿地帯の自然公園をかろうじて少しだけ見られたこと、宿の主人が白髪の紳士で親切だったこと、居心地がよかったことを、詳細こそ記憶にないものの、ずっと覚えていました。そうして、「うれしい休息の場所」とも取れる宿の名前と共に、懐かしんではいたのですが、コルフィオリートはペルージャから食事に出かけるには遠く、宿泊するには近すぎるために、もう長い間訪ねたことがなかったのです。この日の晩にレストランを訪ねると、あのときと同じ紳士と思われる男性が今も元気でてきぱきと客をさばき、「それは、わたしですよ」と言っていて、ああ今も元気で仕事をされているのだと、とてもうれしかったです。

 わたしの記憶もあいまいですが、夫もあまり覚えていないようで、なぜフォリンニョに宿泊したのだろう、いったいいつだったのだろうと、帰り道は二人であれこれ思い出そうとしたのですが、分かりませんでした。

 そうして、今日思いついて、答えが分かるだろうというあてもないままに、まだフイルムカメラを使っていた頃のアルバムを見たり、古い手帳を見返したりしていたら、幸い、そのときの旅程が、手帳に詳しく書いてあるのを見つけることができました。

 2004年6月12日土曜日の晩ですから、なんと今から17年も前のことです。夫と出会ったのが2003年の冬で、つきあい始めたのが2004年の春ですから、つきあい始めて、まだ数か月の頃でもあります。朝、シビッリーニ山脈に行って、ノルチャやカステッルッチョの高原を訪ね、フォーチェやモンテフィオリートを散歩したあと、コルフィオリートをドライブし、このリエータ・ソスタに泊まったようです。当時わたしは、ペルージャ外国人大学の外国人へのイタリア語・イタリア文化教育を専攻とする学士号取得課程の2年生に編入していました。手帳を見ると、前日、6月11日金曜日までは大学の授業があり、翌週からは試験期間に入って、試験勉強に忙しかったため、二人でゆっくり週末を過ごそうと、土曜の晩はコルフィオリートに泊まることにしたのでしょう。

 おそらくはコルフィオリートに到着して宿に着いたのが、記憶にあるように遅くて暗かったため、当時はフイルムカメラだったこともあり、シビッリーニ山脈の写真はあっても、コルフィオリートの写真は残念ながらありません。翌日は詩人、レオパルディの生地、アドリア海岸のレカナーティを訪ねたあとで、サン・セヴェリーノ・マルケを散歩し、夜はトルジャーノで、夫の友人の誕生日会に参加したようですから、驚くほどに内容がてんこ盛りで、移動距離も多い週末であったようです。

 閑話休題。なんと17年も前に一泊していた、そうして、いい宿だったという思い出と印象をずっと持っていた宿で、久しぶりに食事をすることができて、そうして親切と覚えていた白髪の紳士が、今も現役で元気で働かれているのを見られて、うれしかったです。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:お気に入りの場所やお勧めスポット・お店を教えて!
Commented by nonkonogoro at 2021-08-29 09:46
古い記録から この地に訪れたときのことが
分かって良かったですね。
お付き合いはじめの ラブラブ時代だったのですね~
(naokoさんちは 今でもラブラブモードでしょうが)

過去の出来事が
すっきり思い出せたときは 心地良いですよね。
ブログを始めてからは たいていのことを記録してありますし 旅先での写真は真面目に残してあるのですけれど
探し出すのに時間がかかることも多いです。
Commented by pet2love-nature at 2021-08-29 13:46
斜面の羊さん達の群れの写真にテンション上がりました♪
羊飼いと牧羊犬、、国は違うけれど、ハイジの世界やん、なんて思っちゃいました。
牛の放牧の先導とかは昔、牧場で働いていたときにさせていただいていた事あるのですが、(ジャージ牛オンリーでした。)羊さんは新鮮です。いろんな毛色や種類の羊さん達がいるんですね。
自分的にはやはり羊のショーンのモデルになったサフォーク種好きです。

美味しそうなパンやピザですね。
黄色っぽいパンは何が練り込んであるのでしょう?

17年越しの宿なんて素敵ですね。
そこに変わらずあって、同じ人が出迎えてくれるなんて運命ですね。


Commented by ciao66 at 2021-08-29 17:32
水飲み場に駆け寄るヒツジの一枚が、ほほえましい感じもして、ナイスショットですね!
もう一枚、雲の中に浮かんだような三日月も印象的でした。

昔の記録を紐解いて、懐かしい記憶がよみがえってきて良かったですね!当時の手帳がちゃんと残っているところが素晴らしいです。
Commented by meife-no-shiawase at 2021-08-29 22:55
山のお天気は変わりやすいといいますが
向こうに見える雲は雨雲ですがそのもっと向こうは晴れているようにみえますね。
ご主人さま、待って~!雨雲が迫っています~!と
声をかけたくなるようなお写真ですね。笑。

ひつじたち、可愛い~♪
このお水は湧き水を利用しているのでしょうか。

ご主人様はピザに厳しそうですね。
ご自身でも焼かれるので舌が肥えていそうです。

17年前とは!そしてその時と同じスタッフさんがいらっしゃったとは。
なおこさんの嬉しいお気持ちが伝わってきました♡
Commented by milletti_naoko at 2021-08-30 16:00
のんさん、ありがとうございます。ブログのおかげで、あれはいつだったか、そうして、具体的にはどんなことがあったかが、思い出せることって、多いですよね。

ずっといつだったろうと思っていた旅が、いつのどういう旅か分かって、すっきりしました。それにしても、17年前のことだったとは!
Commented by milletti_naoko at 2021-08-30 16:18
えりーさん、なんと牛の放牧の先導をされたご経験がおありなんですね! 羊の群れは牧羊犬に吠えかかられることが少なくないので、ふだんは遠口から眺めることが多いのですが、この日会った群れの牧羊犬は、羊飼いから人に対しては皆おとなしいと聞き、羊飼いともいっしょに歩いたこともあって、いつもよりはかなり近い位置でいっしょに歩きました。

国や山は違えど、ヤギや羊、牛や馬が、イタリアでもあちこちの山に放牧されています。

黄色っぽいのはウコンだろうかと思うのですが、店の人に聞かずじまいだったので、定かではありません。

今も同じ紳士が元気で、そうして笑顔で働かれているのを見て、うれしかったです。
Commented by milletti_naoko at 2021-08-30 16:24
ciao66さん、ありがとうございます。最初はわたしたちの姿に遠慮しているように見えた羊たちが、しばらくすると少しずつ駆け寄ってきて、水を飲んでは去っていって、かわいらしかったです♪

あの頃はかなりていねいに字も書いてメモを取っていたなあと、反省しました。おかげで、さもなければ、分からないままでいた謎も解けました♪
Commented by milletti_naoko at 2021-08-31 05:06
メイフェさん、そうなんです。最初は遠くにだけ見えていた黒雲が、近くにも迫ってきて、けれども、山を下ってしばらくしたら、また空が晴れたりしました。

羊たち、かわいらしかったです♪ 給水場の水は、どこか近くにある湧き水を利用しているのだと思います。

ありがとうございます。近年は感染下でもあり、今もお元気でいる姿が見られて、うれしかったです♪
Commented by sunandshadows2020 at 2021-09-01 08:11
レストランの塩と胡椒の件で思い出しました。
バターもお願いしないと持ってきてくれなく、アメリカのサービスの慣れた我々にはとても不便を感じました。
お塩まで頼まなければ持ってきてくれないのですね。
pizzaはそれぞれの土地により味が違うのでしょうね。
トマトやチーズの味も土地により違うのかもしれないなと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2021-09-02 17:23
お転婆シニアさん、朝食ではイタリアでもパンにバターを塗るのですが、昼食や夕食ではパンはそのまま何も塗らずに食べるので、もし昼食・夕食についてのことでしたら、そのためではないかと思います。

普段であれば、サラダを注文すると、オリーブオイルや塩、酢などを瓶ごと持って来てくれて、客が味つけできるようになっているのですが、感染下ではこんなふうに、あらかじめ店が味つけしてあったり、袋入りの塩やオリーブオイル、酢を添えたりすることも少なくありません。「味つけしてありますが、よかったら酢を持ってきますよ」と言われて、オリーブオイルと塩は、まだ味を見ていなかったこともあって、頼み損ねてしまい、後からでも頼めば、もっとおいしく食べられたなと思いました。

ピザの味や生地は今では地域差もありますが、店や職人による差の方が、多いように思います。
by milletti_naoko | 2021-08-29 06:15 | Viaggi | Comments(10)