イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

高峰へと尾根目指し歩けば眺めすばらしく驚きの出会い、シビッリーニ山脈

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 イタリア中部地震から5年、ウッシタからカサーリを通って、ロトンド山へと登っていく道路が、最近復旧したと知り、金曜は久しぶりに、標高1800mの高みまで、シビッリーニ山脈を車で登りました。

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Monti Sibillini 10/9/2021

 すると、カサーリ付近を通り過ぎた頃から、上の写真左手に見えるボーヴェ北山(Monte Bove Nord、2112m)の切り立つ雄壮な岩壁を、しばしば目にすることができました。そして、上の写真のあたりまで来ると、下方にはかつて登ったパーニコ渓谷(Val di Panico)が広がり、前方には、わたしたちが車で登るロトンド山の斜面の右手に、9月3日には、ピントゥーラ・ディ・ボロンニョーラから2時間歩いて登らないと見えなかった山々の頂が、見えてきました。

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 7月9日には、ファルニョ渓谷を通り、最後には急斜面を登り続けて、4時間20分後にようやくたどり着いたファルニョの山小屋(Rifugio del Fargno、1811m)のすぐ近くまで、今回は車でくることができたのですが、途中から砂利道になり、でこぼこがかなりひどいところがあって、こんなに道が悪いとは覚えていませんでした。ウッシタ(Ussita)から、途中一度風景を見るために駐車して、少しだけ歩いた時間も含めて、約1時間かかりました。

 夫が見やっている前方には、

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下方に7月に歩いて登ったファルニョ渓谷(Valle del Fargno)が、渓谷の向こうには、最近しばしばわたしたちの山歩きの出発地点となっていたピントゥーラ・ディ・ボロンニョーラ(Pintura di Bolognola)が小さく見えています。

 ファルニョの山小屋(1811m)からは、上から2枚目の写真で、左に見えるピッツォ・トレ・ヴェスコヴィ山(Pizzo Tre Vescovi、20192m)の山頂へと登っていくこともできたのですが、激しい風が吹いていて、そのトレッキングコースを登ると、風に吹かれることになってしまうため、

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山小屋から右手、すぐ上の写真で一段と高く見えるピッツォ・ベッロ山(Pizzo Berro、2259m)の方へと伸びるトレッキングコースを進んで、左手にアンブロ渓谷が見下ろせるところまで、歩くことにしました。空は曇り、天気予報では、午後4時頃から雨がぱらつき始め、午後5時からは雷雨となるとのことでした。

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 斜面をゆく細道をさらに進み、後ろをふり返ると、下方にはパーニコ渓谷(Val di Panico)やその向こうのネーラ渓谷(Valnerina)が見晴らせます。

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 すぐ右手には、ボーヴェ北山(Monte Bove Nord、2112m)の岩壁がそびえています。

 さらにしばらく進むと、先方から二人の登山者が歩いてきます。道が細いので、こちらに歩いてきた二人が、わたしに道を譲ってくれたのですが、そのとき夫が、その登山者の一人に、「ぼくたち、知り合いではありませんか」と言うではありませんか。サングラスをかけた登山者は、わたしの後から来る夫を見て、「ルイージ!」と声を上げます。

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 その声を聞いてから、登山者の顔を見て、わたしにも分かりました。なんと夫のいとこ、クラウディオではありませんか。

 マルケ州カメリーノに住むクラウディオが、シビッリーニ山脈をよく訪ねることは、時々互いの家族を訪問し合って話す際に聞いていたのですが、シビッリーニ山脈は広大で、山はいくつもあります。まさかこんなふうに、歩いている途中に出会うとは思いもしなかったので、お互いに驚きました。せっかくなので、彼といっしょに歩いていたお友達に、記念写真を撮ってもらいました。わたしはおかしな格好をしていますが、左足は地面が高くなっているので下ろすことができず、わたしがまっすぐ立つと後ろの夫が見えない上、道が細かったので、3人並ぶのは難しかったのです。思いがけず久しぶりに会えて、うれしかったです。

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 ひとしきりおしゃべりをして、登山情報も教えてもらってから、わたしたちも、クラウディオたちも、それぞれの目指す方向へと歩いていきました。山の側面を進むトレッキングコースを歩き続けて、ようやく左右の渓谷を見渡せる尾根道までやって来ました。上の写真で右手に見えるのは、ピッツォ・ベッロ山の山頂なのですが、朝8時半にうちを出発したというクラウディオと友人は、このピッツォ・ベッロ山を登ろうとしたものの、天気が崩れ始めたのを見て、引き返したのだそうです。「午後2時になって歩き始めるとは、いったいどういう登山者だろうと思っていたら、まさか君たちとはね」と言われたのですが、わたしたちがいつもよりさらに遅く出発したのにはわけがあって、わたしたちがオンラインで見つけることができた最新情報には、ウッシタからカサーリ、ロトンド山への道は、7月から通れるようにはなったものの、それは週末のみで、しかも金曜日は午後2時から8時までのみ通行が可能と、書かれていたのです。それでゆっくりとうちを出て、さらに寄り道をして、ウッシタのバールで尋ねてはじめて、もう工事が終わって、いつでも通れるようになっていたと知ったのです。

 この尾根道では強い風が吹きつけていたため、夫がこの尾根道の右の斜面を少し下って、風が吹かず、見晴らしを楽しみながら昼食を食べられるところを見つけました。そして、昼食休憩が終わった頃に、雨がぱらつき始め、空が黒雲に覆われ、周囲で雨が降り始めている様子だったため、来た道を引き返すことにしました。写真は昼食後、しばらくしてから撮影したものです。引き返そうと言っていたはずの夫は、わたしが登山地図などを片づけ、レインコートを取り出して着ている間に、ピッツォ・ベッロ山の方へと、さらに尾根道を歩き続け、この写真にはかなり小さく写っています。

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 そこでわたしも、夫と同じように、このかつては道しるべがあったらしき跡が残る場所まで歩きました。ここまで来ると、9月3日には、昼食を食べた山小屋もある244番トレッキングコースから、アンブロ渓谷をはさんで正面に見えていたプリオーラ山(Monte Priora、2332m)の頂上も、左手に大きく見えてきます。

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 そして、この道しるべがある岩の上に立つと、下方にアンブロ渓谷(Valle dell'Ambro)、そして、9月3日に見えていた渓谷に細く切り立つ岩壁の後ろ側を見ることができました。奥に霞んで見えるなだらかな斜面の、右手の高みが、8月20日に頂上まで登ったアマンドラ山(Monte Amandola、1707m)です。

 上の写真で下方に見える家、Casale Rinaldi(1602m)に今度は行ってみたいと夫は言うのですが、実は今では、いとこによると、ポルケ山やパラッツォ・ボルゲーゼ山への道も、わたしたちが8月13日に歩かざるを得なかった車道が復旧され、途中まで車で行けるようになっているようで、アンブロ渓谷も、道が復旧されて、妙な登り下りをせずに歩けるようになってから歩いて行きたいと、わたしは思うのです。ここまで歩いた頃には雨はやんでいたので、実は夫は、「今からあの家まで下ろうか」と言っていたのですが、出発前に天気予報をあらかじめ調べていたわたしが、雷雨になる恐れもあると言い、このあとは来た道を引き返しました。

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 引き返していくわたしたちの前方、上の写真で右手に見えるのがロトンド山(Monte Rotondo、2102m)で、その左手に見えるなだらかな三角の山は、てっぺんに十字架があり、地図にはロトンド山の十字架(Croce di M. Rotondo、1926m)と書かれています。

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 さらに進むと、目の前にピッツォ・トレ・ヴェスコヴィ山の山頂が迫ってきます。

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 このあとは、ファルニョの山小屋へと歩いていきました。右手からも雷が遠くの方に聞こえ始めました。

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 ふり返ると、もうピッツォ・ベッロ山が遠ざかり、山頂付近が暗い雲に覆われています。

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 雲間から差す光が神秘的で美しい風景を見やりながら、山小屋まで登って、駐車していた車まで歩き、それから、ペルージャへの帰途につきました。

 ロトンド山の高みへの道が午後2時まで通行止めだと思い込んでいたためもあり、出発が遅れ、悪天候のために約2時間、8千歩前後のみの山歩きとなりましたが、思いがけず夫のいとこにも会うことができ、すばらしい眺めを、車内から、そして歩きながら、見ることができてうれしかったです。

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Per caso o per desitino? Sui grandi Monti Sibillini
camminando, abbiamo incontrato Claudio,
cugino di mio marito sul sentiero dal Rifugio di Fargno
verso il Pizzo Berro!
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2021-09-12 23:10
すごい偶然ですね!
こんな広大な自然の広がる中で身内にお会いになるなんて~!!!

今日のお写真は高所恐怖症の私にはちょっと怖いものも。笑。
道は緩やかに見えますが横を見るとかなり急ですよね!?
すごいです。
Commented by milletti_naoko at 2021-09-13 05:03
メイフェさん、山は広いし、たとえ同じ場所を歩いたとしても、すれ違う可能性が高いので、まさかこんなところで出会うとはと、本当に驚きました!

わたしも高所恐怖症なので、道が本当に細い上に砂利道で滑りやすいところ(幸い今回は一か所だけでした)と、夫の提案で昼食を食べた急斜面では、はらはらしました。
Commented by yuta at 2021-09-13 06:49 x
標高1,800mまで車で、そこから歩いたのでは、
かなり高いところを歩いたのでしょう。
目の前に広がる雄大な景色圧倒されます。
偶然の出会いも良かったですね。 ^~^
Commented by tokotakikuh at 2021-09-13 14:38
お写真から拝見するに
人と出逢う確率???(* ´艸`)クスクス
本当に、偶然ですね
あるのですね・奇跡の様な出来事が((´∀`))ケラケラ

山あるき
そうですか・車を利用しての
半日・トレッキングですね
素敵な大自然を見ていると、いやなことが吹っ飛びます
ね・・(* ´艸`)クスクス
Commented by ririrouzu at 2021-09-13 19:14
山の風景は日本の山とは、全然違うのが
よくわかりました!
木漏れ日の中を歩いていくのが、
山登りと思うので。
Commented by milletti_naoko at 2021-09-14 06:53
yutaさん、おかげですばらしい見晴らしを最初から楽しみながら歩くことができました。思いがけずいとこに会えて、うれしかったです♪
Commented by milletti_naoko at 2021-09-14 07:01
zakkkanさん、まさかと驚きました!
今回は歩いた距離はわずかでしたが、それでもすばらしい眺めが楽しめました♪
Commented by milletti_naoko at 2021-09-14 07:04
ririrouzuさん、イタリアにも森が美しい山は多いのですが、ここは牛や馬の放牧のために、木が育たないんです。
by milletti_naoko | 2021-09-12 22:21 | Marche | Comments(8)