イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

湖を船でシクラメン咲くポルヴェーセ島へ、トラジメーノ湖

 9月22日、イタリアでは秋分の日だった水曜日の夕方、船に乗って、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)の三つの島のうち、最も大きく自然が豊かなポルヴェーセ島(Isola Polvese)を訪ねました。

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Isola Polvese sul Trasimeno, Umbria 22/9/2021 19:13

 日の入りが午後7時11分、島を発つ船の最終便が午後7時20分で、ピンクの美しい空と湖の間を、島からサン・フェリチャーノの港へと戻りました。

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16:43

 島をゆっくり歩けるようにと、午後4時半にサン・フェリチャーノを出発し、4時40分に島に着いたとき、いつになく大勢が港にいるのに驚きました。ペルージャの高校生たちが学校の遠足か何かで、島を訪ねていたのだと、後から島の店の人に聞きました。

 港の近くの葦が生い茂る岸辺に、シラサギ(garzetta)アオサギ(airone cenerino)がいることに、夫が気づいて教えてくれたので、撮影しました。見つめ合っていたのでしょうか、それとも、にらみ合っていたのでしょうか。この後まもなく、アオサギの方は葦の茂みの中に隠れてしまいました。

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16:54

 いつもは、湖を岸辺に沿ってぐるりと一周してから、島の高みを通る道を歩くのですが、この日は、島で開催中だった展覧会を訪ねようと、まずは、その会場である元修道院へと、中世の城塞のそばを通って、歩いて行きました。

 この写真は、その途中で後ろをふり返って撮影しました。この後、展覧会場に着く前に、寄り道をして、かつて一度宿泊したことがある宿のバールで、ジェラートを購入して、食べました。

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17:29

 展覧会も興味深かったのですが、会場である元修道院の2階など、ふだんは見られない角度から、島を眺めることができたのも、うれしかったです。

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17:48

 展覧会場を出たあとは、島の北西の端へと向かいました。見晴らしのいい階段を下っていきます。

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17:50

 例年はもっぱら、島の北東の岸辺に咲くのを見かけることが多い自生の秋咲きのシクラメン(ciclamino selvatico)が、今年は、北西の岸辺近くにも咲いていたので驚きました。

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18:05

 夫が北西の端近くの石の浜へと歩いていったので、わたしも後を追いました。浜から北を見やると、遠くにマッジョーレ島とミノーレ島が、小さく並んで見えています。右手に写る黄色い野の花を、この秋は路傍や山、野原や畑など、これまでになくしばしば、あちこちで見かけます。

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18:24

 日の入りや船の便までにはまだ時間があるからと、かなり長い間、二人で浜の岩に腰を下ろして、日の光を浴びながら、波打つ湖や風景を眺めていました。

 海と違って、湖の波が打つ方向は風の向き次第であるために、波が岸と並行ではなく、斜めに寄せてくるのも、おもしろいです。

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18:34

 日が傾いて、日の入りや船の出発時刻が近づいてから、再び歩き始めました。まずはこの、やはり島の北西の端の近くにある、タイタニック気分を感じさせてくれる展望台へと登って、見晴らしを楽しみます。

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18:40

 いつもは、岸辺をぐるりと回って、島の南東にある港へと戻るのですが、今回はまずはこうして東の岸辺に沿って歩き(この写真は、傾く夕日を撮ろうと、後ろをふり返って撮影したものです)、

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18:52

途中から島の高みへと登る道を歩いて、元修道院の傍らを行く道を通って、港へと戻ることにしました。

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18:58

 日が沈むのが7時11分、最終便が出るのが7時20分だったので、夕日が見えて、しかも港から遠くないところで夕日を見送ろうと、そういう場所を求めて歩きました。

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19:03

 そうして、ジェラートを購入した店のあたりがちょうどよさそうだと、その近くから沈む夕日を見送りました。

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19:10

 船の出発時刻が迫っていたので、夕日を見送ったあとは、急足で港へと向かいました。

 時刻表では、サン・フェリチャーノからポルヴェーセ島に午後7時10分に船が着いて、10分後、7時20分に島から再び乗客を乗せてサン・フェリチャーノへと戻ることになっていました。ところが、この日の夕方はサン・フェリチャーノで乗る客が誰もいなかったためでしょう、午後7時10分頃に、港へと近づいていたわたしたちの目の前で、向こうからやって来た船が港に止まらずに、そのまま向きを変えて、サン・フェリチャーノへと戻っていってしまいそうだったので、慌てました。まだ出発時刻まで7分あったこともあり、わたしたちを見て、船は港に止まり、乗船することができましたが、その後すぐ、本来の出発時刻を待たずに出発しました。一瞬、最終便に置き去られてしまうかと思ったので、船に乗れたときは、ほっとしました。

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19:21

 帰りの船ではいつものように、遠ざかっていくポルヴェーセ島の方をいつまでも眺めて、船の後を追いかけるカモメたちの飛ぶ様子とにぎやかな鳴き声、夕景を楽しみました。

 ポルヴェーセ島は、公共の船で行くことができるのは、例年、春分の頃から秋分の頃にかけてだけで、今年の運航の最終日は9月26日日曜日でした。

 この日、9時22日は朝11時過ぎに、職場にいた夫から電話があって、その可能性があるとは知っていたものの、その電話で、翌23日木曜から26日日曜まで、リミニから来る友人たちと過ごすことになることが分かり、島に行くならこの日しかないと、夕方ポルヴェーセ島に行くことになりました。その後すぐに9月24日が納付期限だった自動車保険の更新を済ませ、ついでに9月末が納期限だったゴミ処理税を払い、しかも晩にはいつもの友人たちとの夕食の約束がある中での慌ただしい島行きでしたが、島を訪ねて、自然や散歩を楽しむことができて、本当によかったと、今写真を見返して、改めてそう思いました。

関連記事へのリンク
- 今度は友と山の冒険 それで自動車保険・ゴミ処理税を払ってきました (2021/9/22)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2021-10-07 12:56
カモメって人懐こいんですよね~。
私も以前、海でこういう船で移動をした時
ずっと付いてきました。
中には人の手から食べ物を直接もらう子までいて。
イタリアのカモメも日本と同じかんじなのでしょうか。(笑)。

ヌートリア。動物園にいるようです。
海狸鼠って書くのでなんだか笑っちゃいました。
ただ、今、輸入禁止のリストの中に入っているようで
国内にその数を増やさないようしているとか。
なので野生はいないのかもしれません。
Commented by tokotakikuh at 2021-10-07 13:47
島の中は、人が住んでいますか?
修道院があると書かれてますね

昔から、修道院は
こうした、陸から閉ざされた場所が多いのでしょうか?

日の入り
今、日本は6時にはすっかり沈んでいます
私は、日の出は、容易く見れますが
日の入りは、見ることが少ないのですよ
こうした広大な湖や海、或いは平地へと沈む
夕日・・観たいです

Commented by milletti_naoko at 2021-10-07 16:09
メイフェさん、夫によると、船が通ったあとは、水面に上がってくる魚がいるので、そう言う魚をねらうのだとのことなのですが、実際のところはどうなのでしょうね。なんと人から食べ物をもらうカモメまでいたなんて! トラジメーノ湖のカモメは、人が近づくとすぐに飛び去ってしまいます。

台湾ではヌートリアが動物園にいるんですね。確かに姿がタヌキにもネズミにも似ているような。教えてくださって、ありがとうございます。イタリアにいるヌートリアも、かつてよそから連れてこられて、野生化したヌートリアであるようです。
Commented by ciao66 at 2021-10-07 16:12
船に乗って島に渡るというのはいいですね。
島に置いて行かれそうになった時はビックリなさったでしょうが!
船上から見える夕焼けはとても風情が有りますね!
Commented by milletti_naoko at 2021-10-07 16:16
zakkkanさん、元修道院は今は環境や科学の教育や会合などの場に生まれ変わっていて、春から初秋にかけては旅行客を対象にした施設が他にもいくつかあるのですが、冬は島の管理をする人たちの他は、わたしたちがジェラートを購入した宿を経営する家族が、年中住んでいることを聞いています。

修道院は人里から離れたところに建てられることもあれば、町中に建てられることもあり、ポルヴェーセ島はかつては大勢の人が住んでいて、この修道院はその頃に建てられたものです。

日本ではもう日の入りが午後6時前なんですね! わたしたちも日の入りが早くなるこれからは、夕日を見送れる機会がぐんと少なくなってしまうことと思います。京都にお住まいの、わたしの古くからのブログのお友達で、よく琵琶湖の夕景を見に行かれる方がいらっしゃるのですが、その夕景がよくトラジメーノ湖の夕景に似ているなあと感じることが時々あります。機会があればぜひ。
Commented by milletti_naoko at 2021-10-07 16:29
ciao66さん、ポルヴェーセ島はサン・フェリチャーノから近く、10分間の湖の風景を楽しみながらの船旅で、訪ねられるのがうれしいところです。

わたしは、ひょっとしたら、向きを変えて港に船をつけようと考えていたのではないかと思ったのですが、夫によると、あれは絶対島には寄らずに行ってしまうつもりだったと言います。最終便は7時20分なのに、確かにその5分前には船が出発してしまったような気も。あの頃は出発時刻まで待っても誰もいない日が続いたためかなと思いますが、それにしても乗ることができてほっとしました。

そうなんです。船から見える夕焼けもいつも楽しみなんです。
Commented by katananke05 at 2021-10-08 13:53 x
船に乗って島をたずねるということは いかにも旅をしているという気分を 味わえますね〜
滋賀の方にいったときは 湾をクルーズするのに カモメの餌を売っていて(かっぱえびせん)
それをめあてに カモメがいっぱい 船によってきて
餌のふくろをもっているひとを
見定めていましたよ〜
そのカモメの目は 結構怖いでした〜

船便の最終便、、それこそ乗り遅れたら 大変ですね〜
日本だと誰もいなくても 時刻までは停泊してますけどね、、
イタリアらしいわ〜 

廃墟はだいすき、、
しずかで 美しい風景〜
夕焼けもとってもきれい〜
Commented by milletti_naoko at 2021-10-08 17:26
katananke05さん、10分間の船旅ですが、いつもとは違う角度から湖や湖畔の風景を楽しみながら、島に行くことができます。なんとかっぱえびせんをカモメの餌として販売しているとは! カモメはかなり速く飛ばないと船に追いつけないでしょうし、それは必死の形相だったことでしょうね。

ありがとうございます♪ 夕日と夕焼けがとてもきれいでした。
by milletti_naoko | 2021-10-06 23:32 | Umbria | Comments(8)