イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

大聖堂建造時も時を告げた時計と鐘つき人形、オルヴィエート

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 オルヴィエート(Orvieto)で、郊外の日本料理店で寿司を食べ、崖下周遊トレッキングコースの南半分を歩いたあとは、一目見ておこうと、歴史的中心街を大聖堂まで歩きました。

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Duomo di Orvieto, Orvieto (TR), Umbria 9/10/2021

 北風に吹き払われて、白い軽やかな雲はあるものの、その向こうに見える空の青が深くてきれいです。わたしたちは、ふだんは、崖下周遊コースの一周を終えてから、あるいは夕日を見送る前後にオルヴィエートの大聖堂(Duomo di Orvieto)に来ることが多く、そのために夕日に赤らむ、あるいはたそがれの空の下の大ドゥオーモを見ることが多いのですが、晴れた青空の下の大聖堂もやはり美しいなと感嘆しました。

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 大聖堂が建つ広場からのぞけるこんな小路にも、何とも言えない風情があります。入ろうとしたら、彫刻の顔の御仁に何か言われるのではないかという、そんな雰囲気もあります。

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 夫は、寒いから、このまままっすぐ駐車場に行って帰ろうかと言っていました。それなら、大聖堂の正面の左手を歩いた先にある階段を下れば近道なのですが、なぜか夫は、来た道、つまり大聖堂通りを、モーロの塔へと引き返していきます。

 通りの気になる店を訪ねるいい機会になると思い、夫について行くと、ところが、職人がつくるおもちゃの店の案内表示があり、夫はその矢印に従って、横道に入っていきます。

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 最初はわたしは、そのまま大聖堂通りを歩いていくつもりで、夫を見送ったのですが、これだけ人が多いと、はぐれる可能性が高いと思い、しばらくしてから夫が行った方向へと歩いていきました。するとどこか違う時代に入り込んだように思わせる通りがあります。夫が見当たらないので電話すると、店には入らずに先ほどまで歩いていた通りに戻ったとのことなので、わたしも来た道を引き返すことにしました。

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16:03

 そうやって、大聖堂通りへと歩いていると、大聖堂広場に建つマウリッツィオの塔(Torre di Maurizio)の上部、屋根の上の鐘と鐘つき人形が目に入りました。

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11/12/2020

 オルヴィエート大聖堂の建造には、1290年から16世紀後半まで、約3世紀を要し、このマウリッツィオの塔の時計は、大聖堂の建築現場で働く労働者たちの勤務交代時間を正確に刻む時計をと、1347年から1348年にかけて作られたそうです。1348年には、鐘を鋳造したブロンズを使って、鐘を打つ機械人形が作られたのですが、高さ165cmのこの機械人形は、現存し今もなお機能する最古の時を告げる機械人形であるとのことです。

 オンライン記事をあれこれ参照しながら、マウリッツィオの塔の説明を上のように書いていたら、「現存し今もなお機能する」と大聖堂博物館サイトの記事には書かれているものの、土曜に撮影した時計の時刻が合っていないことに気づきました。そこで、ひょっとしたらこれは、大聖堂広場から見て、塔の側面にある時計を写したからで、広場から見える面の時計は、正しい時を告げているのかもしれないと、

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Torre di Maurizio, Orvieto (TR), Umbria 11/12/2020 15:40

去年の12月に大聖堂の前から撮影したマウリッツィオの塔の写真を探して、見つけてはみたのですが、この日午後3時40分に撮影した写真に写る時計も、やはり指す時刻が正しくありません。

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17:33

 同じ日に、午後5時半すぎに撮影したこの写真でも、時計は同じ時刻を指しているので、どうも針が止まっているものと思われます。

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8/1/2021 15:47

 かと思うと、その約1か月後、1月8日の午後3時過ぎに撮影した写真を拡大してみると、

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どうやら正しい時刻を指しているようです。ひょっとしたら12月には、クリスマスの飾りつけの準備に追われて、あるいは感染下の規制対策に忙しくて、時計が止まっていたことに気づくのが遅れただけかもしれません。

 というわけで、次回オルヴィエートで大聖堂広場を訪ねたときには、マウリッツィオの塔の時計が指す時刻と鐘の音に気をつけてみるつもりでいます。

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9/10/2021

 閑話休題。夫とはぐれて電話で話し、夫はすでにもとの道、つまり大聖堂通りに戻って、モーロの塔に向かっていると聞いて、わたしも夫が歩いたという道筋を通って歩いていきました。

 凝灰石の石で造られた街並みを緑が彩って美しいなあと思いながら、左手の小路を見やって撮影し、さらに進んでいきます。

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 モーロの塔が見えてきました。陶器がすてきだなあと思ったのに、行きは人があまりにも多くて撮影できなかった街角を、このときは人が少なかったので、すぐ手前にいる人たちが通り過ぎてから撮影しました。そうして、このさらに先へと歩くと、塔の近くで待ってくれていた夫の姿が見えました。

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 それから、夫と二人で、駐車場へと歩いていたら、近道を通っていれば、すぐ着けたであろう場所を通りかかりました。大聖堂の側面と鐘楼が見えています。


 途中で、2年前に食べたジェラート入りミニパネットーネがおいしかったジェラート屋に寄って、ジェラートを食べました。わたしはいつものように、イチゴとストラッチャテッラのジェラートにしました。とてもおいしかったです。通りにも店にも人が大勢いるのを見て、ほっとしました。

 マウリッツィオの塔は、何か特別な機会にだけ訪ねることが可能で、そういうときには、塔のてっぺんまで登って、時を刻む古い時計の機械仕掛けを見ることもできるそうですから、いつかそういう機会があれば、ぜひ訪ねてみたいと思っています。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ciao66 at 2021-10-13 21:20
大聖堂が建つ広場からのぞける小路の描くカーブが絶妙ですね!
マウリッツィオの塔の時計の屋根の上に有る人形がいいですね!
下から見ると小さなものに見えるでしょうが、アップで拝見するとデザインが良く判りました。
観察眼が鋭いですね!
次回行かれた時には時刻は合っているでしょうか??

Commented by milletti_naoko at 2021-10-14 00:25
ciao66さん、確かにおっしゃるとおり! まっすぐではないのでまた、アーチや小路の見え方も、一段と興を誘うのでしょうね。

ありがとうございます。わたしもこの塔の人形、横道から歩いて見えたため、屋根の上の部分がよく見えたので、初めて意識したのですが、形も歴史もおもしろいなあと思いました。この人形のベルトに書かれているという言葉もまたおもしろいのですが、また機会があれば、ご紹介したいと思います。

次回訪ねたときは、忘れずに時刻を確認するつもりでいます♪
Commented by meife-no-shiawase at 2021-10-14 17:56
観た感じはとっても小さいのに
165センチもあるなんて私より大きいです。
それが今も残っているなんて・・・そして今も時を告げているなんて感動ですね。
時間はどうなんでしょう?止まっているのか合わせていないのかな・・・
また是非、確認をされたら教えて下さい。

なおこさんも映画ご覧になったんですね!
でもあの街の中をほんとにあんなスピードで
ジェイムスボンドは走ったのでしょうか?(笑)。
ああいうのはどうやって撮影しているんでしょうね・・・。
あのシーンだけでもまた観たくなりました。
Commented by milletti_naoko at 2021-10-14 19:52
メイフェさん、わたしもそんなに大きいのだと知って驚きました。高いところにあるので、大きく作らないと下から見えないということもあるのでしょうね。まさに人と同じ大きさです! 参照した記事の中には、ペスト禍の最中にあって、大聖堂の建造が続けられたということについても言及があったのですが、その当時の鐘つき人形が今も残っていて、機能するとは! 下からでは難しいのですが、もし動いて鐘を鳴らすとしたら、その一瞬もぜひ見てみたいです。

ようやく見ることができました! とんでもないスピードで爆走しているので驚きましたし、あの銃弾の連発の場面、ユネスコ世界遺産にもなっている世界建造物を傷めないようにという配慮はしていたでしょうから、どんなふうに撮影したかも気になるところです。マテーラの魅力も隈なく映し出されていて、あの場面は、はらはらしたものの、いいなあと思いました。
by milletti_naoko | 2021-10-12 22:24 | Umbria | Comments(4)