今期の学校の授業は、同僚の先生とあれこれ考えて必死で作り出したシラバスをもとに進めているのですが、暮らしの中で日本語を使えることが目的の授業でもあり、教科書は
『まるごと』を主として使っています。
また、文法などの説明や練習問題を補足するためには専ら、
第3週のシラバスには、時間や営業時間を尋ねて答える表現や買い物に必要な表現・大きい数字など、日本で生活する上で早いうちに学んでおくことが必要だろうと思われる学習内容を盛り込んでいたのですが、該当する内容が『まるごと』では教科書のかなり後になってから登場する上、売り場を尋ねる会話など、見つからないものもあったため、まるごとのかなり後の課や上述のいろいろな教科書を使って教えたのですが、「今度はこの本を…」、「今度はこの課を…」と、あっちに飛んだりこっちに行ったりして、慌ただしいところもありました。
それで、日常生活での行動を語る動詞の学習が中心となる第4週・第5週のシラバスでは、多少学習順序が異なってしまっても、主として『まるごと』を使い、動詞を学習する課を教科書に載っている順に教えていこうと考えて計画を立てたのですが、第4週で予定していた「余暇の行動を語るのに必要な動詞・表現」や「いっしょに…ませんか」「…ましょう」という勧誘表現を、『まるごと』ではそれぞれ第11課、第12課にで学ぶことになっていて、順に進めようとすると、4日間の授業で6課進めなければいけないことになり、それは無理があるだろうから、第5週に持ち越そう、状況を見て多少順序を変えることは許容されていることだしと考えていました。
Perugia, Umbria 5/11/2021
さて、昨日の朝もやはり、日本語の教室から見える空は、右手は青空が広がっているのに、左手はかなり雲に覆われていました。そこで黒板には、生徒とも話して、「晴れ/曇り」と書きました。まだひらがなやカタカナも完全には定着していない状況ですが、かなり読んだり書いたりすることができていますし、生徒は視覚的記憶に長けていて、漢字の学習に関心が高いため、授業がさらに先に進んでから、また将来日本で生活を始めてから、認識できる漢字が増えて、意味が分かり、また部首や知っている漢字から、知らない漢字や言葉も推測できるようにと、今回はかなり早い今のうちから、できるだけ漢字を使って板書をし、ただしひらがなで読みを添えるようにしています。
昨日は予定していた学習内容が多買ったので、月日と曜日の表現は、会話練習と復習のあとでホワイトボードにだけ書いて、さあさっそく授業を進めていこう、食べ物の好みや朝ごはんで食べるものについて理解・表現できることが目標である『まるごと』の第5課を、課の最後にある作文で終えようと考えていました。
ところが、「あなたの あさごはんについて えと ぶんを かきましょう」という課題を指示する文を生徒が読んでいたときに、「あきごはん」と生徒が読んでしまったことから、『まるごと かつどう』の82ページを見て、「はる なつ あき ふゆ」と四季を表す言葉を確認し、このページを開いたついでに、月日の言い方や、やはり「5日」である「こどもの日」に言及していたら、1時間目が終わってしまいました。
3/11/2021
四季を表す言葉と共に、日本の祝日や年間行事を写真と共に説明してある『かつどう』のこのページは、実は11月3日にも見て、生徒にいくつか読んでもらって、日本の秋の祝日などについて、話をしていました。
ちなみに、日本語で月日を表す表現のうち、1日から10日までの特殊な言い方については、月が改まったのを機に、先取りでもあるため、前日の11月2日にさっと学んだばかりで、「今日は何月何日ですか」と尋ねたら、生徒が「みっか」は覚えていなかったこともあり、日本の祝日を写真と共に紹介する『かつどう』の先述のページで、11月3日は「文化の日」であることを話し、「みっか」が少しでも頭に残ればと、「三日月」や「三日坊主」についても、絵も添えて板書をし、説明していました。
そうして、このとき紹介した「文化の日」の「文化」という言葉を生徒が覚えていたので、昨日の授業中に、教科書の「えと ぶんを かきましょう」という文を目にした生徒が、この「ぶん」はどこかで見ましたよねと興味を持ちました。そこで、「え」と「と」はすでに学習していて、「書きます」という動詞表現も学ぶときが迫っていることから、また、生徒の希望から、「読んでください」「聞いてください」「見てください」などと、教室での口頭の指示を、わたし自身が日本語ですることが多い上に、『まるごと』の教科書やリスニングの音声での指示に「読みましょう」「聞きましょう」「書きましょう」と言う指示が多いことから、こうした表現や動詞に生徒はすでに関心を抱いていました。
と言うわけで、「文」の意味を説明したあとで、「…ましょう」という勧誘表現を説明したHoepliの教科書、106ページの説明を読み、それからホワイトボードに、これまでにすでに授業に出てきた動詞、そうして、わたしや『まるごと』の授業の指示でよく出てくる動詞のマス形を、生徒に思い出させながら意味と共に書いていきました。そうして、ここで2時間目が終わったので、
3時間目の授業で、上から順に「ましょう」を使って誘うにはどう言えばいいかを、生徒にイタリア語で問いかけながら、板書していきました。
「昼ごはんを食べましょう」と誘うには、日本語でどう言いますか。 「バールでコーヒーを飲みましょう」と誘うには、どう言いますか。
と、こんな感じで、既習の言葉や表現を交えながら、生徒が日本語で誘うための表現を考えて言えるように、質問を繰り返しながら、こうして、板書した動詞を使って誘うことができるように学んで、3時間目が終わりました。
結果として、実は昨日学習を予定していた『まるごと』の第6課「どこでたべますか」については、シラバスの予定にもある「食」「飲」の漢字の読みと意味を学ぶ問題しかせず、形容詞や料理の名前など、シラバスでは後に学ぶ予定であったり、楽しいけれども後に回せる内容であったりするために、今は後は飛ばして触れずにおいて、形容詞を重点的に学習する第6週のシラバスの内容を進める際に取り上げることにしました。
というわけで、予定と準備していた内容とはずれて違いましたが、この後すぐに、『まるごと』の第9課「なんじに おきますか」に進み、第4週のシラバスの主軸となる日常生活の行動を表す動詞やそうした動詞を使う表現をたくさん学び、さらに「…時…分に」という表現も学んで自分の1日を語ることが、ちょうど1週間の授業が終わり、週末になってしまう前にできるようになって、結果的にはとてもよかったです。
わたしが日本語の個人授業で教えている生徒の中には、わたしのブログを楽しみに読んでくださっている方もいて、「授業の様子も知りたいです」と言ってくださっている上、わたし自身も後からふり返って確認できるいい覚え書きとして、記事を書いています。
これまでは、学校で日本語の授業があっても、今教えている時間数の半分、あるいは3分の1であったため、授業や通勤時のこと以外を話題にする時間的余裕があったのですが、今回は授業時数が週に30時間とひどく多いために、準備もあって、日々の大半が授業とその準備に費やされてしまい、なかなか他のことを記事にすることができずにいます。週末の間に余裕を持って準備し、授業のペースがつかめてきたら、もっとゆとりができて、学校や通勤以外を話題にした記事も書けるようになると思うのですが、今はこういう状況です。 Articolo scritto da Naoko Ishii
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