イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

移民泣かせの滞在許可証とイタリア人が配偶者なら要注意の法改正、World Voice連載

 外国人であり、かつ、ヨーロッパ連合加盟国出身ではない日本人のわたしたちが、イタリアに長期滞在するには、滞在する地域の警察署に行って、滞在許可証を申請しなければいけないのだけれど、申請も受領もなかなか大変らしい。2002年4月から1年間イタリアに語学留学することを決意して、その準備のために、あれこれ調べていたら、この滞在許可証(Permesso di Soggiorno)の取得が、イタリア生活最初の大きな難関らしいと分かりました。


 それで、用心に用心を重ねて、日本を発つ前から、必要そうな書類をあれこれ準備したのですが、幸い、最初に暮らしたのがマルケ州の静かな小村であり、また、通ったのが小さな学校であったおかげで、滞在許可証の申請手続きができる町までの移動や同伴も、語学学校の人が率先して引き受けてくれて、まずは難なく申請し、受領することができました。そうして、半年マルケ州の小さな語学学校で学んだあと、さらに半年通うことに決めていたペルージャ外国人大学でも、大学の内部に、語学講座や学位取得過程に通う生徒・学生のために滞在許可証の申請を受け付けて発行もしてくれる警察の派出所があったおかげで、あまり苦労せずに、申請して受領することができました。ペルージャ外国人大学で申請した滞在許可証を受け取ってみたら、出生地が川崎で、日本のパスポートの記載があるのに、わたしの国籍がなんとブラジルとなっていたので、ひどく驚き、結局再申請しなければいけなかったのも、今となっては懐かしい思い出です。



 その後、就職してからは、就労用の滞在許可証、結婚してからは、EU市民の家族用滞在証(Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE)の申請・受領のために、ペルージャの警察署(Questura)に足を運ぶこととなり、早朝から列に並んで待ったり、必要な書類が分からず困ったり、警察と市役所で言うことが違ってたらい回しにされたりして、苦労することとなりました。

 そうして、イタリア人の夫と結婚してから5年後に、EU市民の家族用滞在証を更新して、その有効期間が無期限となったのですが、最近の法改正で、2023年8月3日までには、ICカードの滞在証に切り替えないと、今所持している紙製の滞在証は無効となってしまうこととなりました。問題は、新しいカードの発行はまだ始まったばかりで、その切り替えや新たな申請方法が、すでにイタリア全国の警察署にきちんと行き渡っているかどうか、ペルージャできちんと手続きをしてくれるかどうかということです。そこで、わたし自身は、今はまだ感染が再び少しずつ増加している折でもあり、しばらくは様子を見ることにしています。

 先月末に、こうした事情を紹介する記事、「移民泣かせの滞在許可証とイタリア人が配偶者なら要注意の法改正」を執筆し、ニューズウィーク日本版の姉妹サイト、World Voiceに寄稿しました。よろしかったら、ぜひお読みください。


移民泣かせの滞在許可証とイタリア人が配偶者なら要注意の法改正、World Voice連載_f0234936_02190397.png
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/ishii/2021/11/post-30.php

 この寄稿記事には、11月29日に撮った、雪が降りしきるペルージャの写真を載せているのですが、今回は、その雪がやんだ直後、

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向こうの山や丘の斜面はもちろん、学校のテラスの向こうに見える家の屋根にも、まだ雪が積もっていたときの写真と、

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午後2時過ぎに学校を出て帰宅する頃には、空が晴れたために、地面に積もった雪がすっかり溶けて、濡れた歩道が日の光にきらめいていた、その様子を撮影した写真を、記事に添えておきます。

 ペルージャでは相変わらずひどく寒い日が続いています。明日も、最低気温がマイナス2度となるという予報さえ出ているのですが、幸い、激しい北風が吹き続けたおかげで、地面が乾いているでしょうから、明日の朝は、路面の凍結を心配しなくてもよさそうです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by tokotakikuh at 2021-12-07 16:28
ご無沙汰でした・・
と言っている間に
イタリアは、雪ですね
1年間、素晴らしい風土記を見せていただき
一年の速さを実感しますね

師走・・
イタリアも、気ぜわしいですか?(笑)
体調に気を付けてお過ごしくださいね
Commented by mahoroba-diary at 2021-12-07 16:28
なおこさん、お久しぶりです。

先日はお誕生日だったのですね!
遅ればせながら、心よりおめでとうございます!!
なおこさんのイタリアでのご家族のご様子を時折ブログを通じて拝見させていただいていますが、本当に温かい優しいご家族の皆様、なおこさんのお幸せな笑顔にこちらまで心に灯がともるようです。新しい一年もなおこさんにとってお健やかで一層の充実の日々でありますように心よりお祝いとともにお祈り申し上げます。

結婚というものは法的なものだとつくづく感じますが、それが国際結婚出会った場合には、同国人と婚姻している私などには思いもよらない程さぞご苦労もおありなのだろうと思います。こうして時折法律も改正されたりして、その都度対応せなばならないのですね。でも、なおこさんがこうしてブログの記事にされることで、想いを同じくして励まされたり、参考にされて助けられている方々もとても多くいらっしゃると思います。いろいろと大変なこともあるのだとは存じますが、イタリアの素晴らしい世界的遺産に囲まれて生活なさっていらっしゃるなおこさんが私は密かにとっても羨ましい!
なおこさんはマルケにもいらしたのですね!先日都内で初めてマルケ州の郷土料理を食べる機会があったのですよ。マルケは日本ではあまり知られていないですが、美味しいものもたくさんあるようですね。
このところ忙しくしていたのですが、なおこさんのイタリア便りを拝読するのがすっかり私の愉しみになっています。
Commented by katananke05 at 2021-12-08 13:37 x
日本のお役所仕事がいろいろ
批判されることがあっても
他の国での 事務処理能力の
低さとは 比べ物にならないですよね〜
外国語で 書類がいっぱい
出向かねばならない場所もいろいろ それでいて 不備があったりしたら 泣きたくなりますでしょう〜?
日本でもいま 外からの働き手が
うんと増えてきたので 周りに困っている方がいたら
手助けをしてあげたい、、と
思っていますよ〜
なおこさんの 投稿はきっと誰かのお役にたつことでしょう〜
Commented by milletti_naoko at 2021-12-12 06:44
zakkkanさん、思いがけずペルージャの町中で、長い間降りしきる雪を見ることができて、きれいだなあと感嘆しました。

ありがとうございます。どうかzakkkanさんもお体を大切に、よい年末年始をお迎えくださいませ。
Commented by milletti_naoko at 2021-12-12 06:51
まほろばさん、温かいお祝いのお言葉と、うれしいコメントをありがとうございます。どうかまほろばさんも、よい年末年始、そしてすてきな新年をお迎えくださいね。

自然や風景、町の美しさに感嘆しながら過ごしています。まほろばさん、マルケ州のお料理を都内で食べられたんですね! マルケにもすてきな町やおいしい料理がたくさんあり、わたしたちもいつも訪ねるのが楽しみです。
Commented by milletti_naoko at 2021-12-12 06:56
katananke05さん、ありがとうございます。わたしもイタリアで暮らす前、暮らし始めてからも、いろいろな方が提供してくださる情報にとても助けていただいたので、わたしも少しでも、できるだけそんなふうに必要な情報が必要な方に届くよう、その橋渡しができればと考えています。
by milletti_naoko | 2021-12-07 02:56 | Sistemi & procedure | Comments(6)