感動しました。そして、愛は惜しみなく与える、ということと、愛は与えられるのを待つものではなく、自ら与えていくもので、それが周囲の人々や環境をよい方向へとぐんぐん導いてゆき、引いては皆の、自らの幸せにもつながっていくのだなと、映画、
『湯を沸かすほどの熱い愛』(Her Love Boils Bathwater)を見て、心からそう感じました。
https://jff.jpf.go.jp/watch/jffonline2022/film-lineup/118685-2/
そうして、心底相手のことを思う気持ちから来る厳しさがあって、そういう思いは確実に、いつかは伝わっていくのだということも。
2月27日まで開催中のオンライン日本映画祭で見られる作品の中から、次はどれを見ようと考えていて、題名にもグローバル化がどこか反映された映画が並ぶその中で、カタカナや音読みの漢字熟語を排した、大和言葉の響きやリズムやまっすぐな強さが目と耳に飛び込んでくる『湯を沸かすほどの熱い愛』という題名に、まずは心を魅かれました。
日本語の授業では、教科書に銭湯が出てくることがあるのですが、わたしも遠い昔、自分が幼かった頃に、札幌の銭湯に親と通っていた思い出はあるものの、以後は行ったことがないので、今ではどのくらい銭湯に行く人がいるのだろう、銭湯文化が残っているのだろうと、常日頃感じていました。そういうことから、現代の銭湯やその描き方への興味もあって、まずは映画の説明を読み、その結果、内容にさらに興味を持って見ることにしたのです。近年は、悲しい結末に終わったり誰かが亡くなったりする悲劇を、本では読むことができるのですが、テレビドラマや映画ではできるだけ避けています。今でもスリラーやホラーを避け、かつて、キャンディ・キャンディやおしんなどがいじめられている場面や、まんが日本昔ばなしの夏の怪談を見ないようにしていたのは、本であれば重かったり悲しかったり大変な悲劇であったりしても、自分の中でどこか消化できるのに、映像だと心が影響されやすく、重苦しいものや辛さが後を引いて、自分の中に残ってしまうように感じるからです。
Bagni San Filippo, Castiglione d'Orcia (SI), Toscana 23/10/2016
けれども、この映画の説明を読んで、そこに書かれた希望や勇気という言葉にも魅かれて映画を見ることにして、鑑賞して本当によかったと思いました。人生の中で、自分に何ができるだろうか、そういうことを改めて考えるきっかけも与えてくれました。
暗闇もわずかな光が差せば明かりとなるとは、何度も聞いたり読んだりしたことがありますが、主人公の過去を知ってなおさらのこと、まずは自らの心に火をつけて、愛を燃やして、そうしてその愛や情熱を与えて、分かち合っていくことの大切さをつくづく感じました。
まだご覧になっていない方は、機会があれば、ぜひご覧ください。
写真は、最後の噴火は2、30万年前だったというアミアータ山やその周囲の地底に今も流れるマグマの熱で、自然のただ中で温泉を楽しむことができるバンニ・サン・フィリッポ温泉(Terme di Bagni San Filippo)を、2016年秋に友人たちと訪ねたときのものです。この記事も予約投稿で、書き上げたのは、イタリア時間2月19日土曜日の午後3時9分です。LINK