世界25か国で、よりすぐりの日本映画約20作品をオンラインで無料で鑑賞できる
オンライン日本映画祭(Japanese Film Festival)も、今日が最終日となりました。
と言っても、ストリーミング終了は、日本時間2月28日月曜日16:59ということですから、時差の関係で、イタリア時間では明日の朝9時前に終わってしまっても、オーストラリアやニュージーランドでは明日の夕方前、アメリカや南米諸国では、明日の真夜中まで見ることが可能であるように思うのですが、どうなのでしょう。
わたしも、特に金曜からは、夫の留守もあって、日本映画の世界を存分に楽しんでいます。
Japanese Film Festival Online : https://watch.jff.jpf.go.jp/
映画、『ツナグ』(Until the Break of Dawn)は、亡くなった人を一度だけ呼び出して会うことができるという設定が、やはり昨年のオンライン日本映画祭で見て感動した『コーヒーが冷めないうちに』(感想を書いた記事はこちら)によく似ているなと思いつつ見たのですが、
この映画も見て、心から深い感動がありました。病名を告げぬまま祖母を死なせた、祖母は自分の病気を知って残された日々を生きたかったのではないかという息子の言葉に、母を呼び出して問いかける息子、突如行方不明となり7年間も消息がつかめずにいる婚約者を今も忘れられずにいる男性。映画ならではのドラマもあれば、いつわたしたちが日常生活で行き当たるかもしれない選択や心のすれ違い、言えぬまま、会えぬままに距離を置いてしまうかもしれない状況もあって、自分や大切な人が生きていられる今このときのかけがえのなさを思いました。
『みをつくし料理帖』(Mio's Cookbook)もとてもよかったです。主人公たちの人間ドラマや熱い思いはもちろん、江戸時代にも存在した関東と関西の料理の好みや素材の違い、いろいろな料理も分かって興味深かったです。夫たちなど、イタリアの男性たちが先に見て、よかったよと勧めてくれました。
侍は知っていても、武士が日本を治めていた頃の日々の暮らしを想像するのが難しい海外の人もきっと多いはずで、そういう意味でも、日本の歴史や文化を知ってもらえるいい映画ではないかと思います。主人公たちが話す上方の方言に、主な舞台となる江戸の言葉、時代劇ならではの言葉遣いなど、使われている日本語が、海外の日本語学習者にはひどく難しいはずですが、こうした日本語の地域や時代、階層ごとの多様性を知るいい機会になり得るとも思いました。
昨晩見た『のぼうの城』(The Floating Castle)もおもしろかったです。脚色もかなりあるのではないかと思いますが、映画を楽しみつつも、こんなふうに治める国の人々の命や思いを大切にし、同じ立場に立って感じて行動することができる、そういう政治家が今どれだけいるだろうとも、考えさせられました。
『いとみち』(Ito)も、高校生である主人公、いとが、アルバイト先での仕事や出会いをきっかけに成長し、三味線をしっかり学んで弾けるようになりたい、喫茶店の存続に貢献したいと願い、行動していく様子を描いていて、とてもよかったです。
三味線というと浄瑠璃や狂言、芸者の演奏ばかりを連想していたわたしは、こんなふうに現代の若い女子高生が、しかもそれまで三味線とはまったく離れた世界と考えていた場所で演奏することに新鮮な驚きを覚えました。そして、伝統文化がこんなふうに、映画の世界だけではなく、今も日々生きて、伝えられていっているのだと、頼もしく思いました。わたしは『みをつくし料理帖』も『のぼうの城』も、方言などが聞き取りにくかったため、途中からイタリア語の字幕つきで見たのですが、『いと』で主人公たちが話す津軽弁はさらに聞き取るのが難しかったです。それだけ方言が地方に今も生きていて、若い世代も話すということはすばらしいと思う一方、同じ方言でも、やはり関西弁の方が耳にする機会が多いのだなあと改めて感じました。これはイタリアでも、ローマやナポリなど、特定の地域の方言を、テレビや映画を通して耳にする機会が多いのと同じことです。
映画、
『AWAKE』は、事実に着想を得た架空の物語ではありますが、映画を通して、将棋の世界の厳しさや、その厳しい世界に挑む人々、幼い頃から棋士となることを夢見て精進する人々の存在を知り、驚きました。また、プロになるという夢を失った主人公が、新たな夢を見つけて、驚くほどの情熱を傾け、あっという間にすばらしい将棋ゲームのプログラムを生み出し、さらに優れた強いものにしていこうとする姿に打たれました。
映画、『南極料理人」(The Chef of South Polar)は、見て、こんな極限のような状況で、1年間も家族や友人たち、日本や通常の社会から離れて、仕事のために過ごさなければいけない人たちがいるのだと驚きつつも、限られた食材を使いながら、寿司に刺身、中華料理、フランス料理と多岐にわたる、主人公が作るすばらしい料理と、その心と情熱を込めて料理を作り続ける姿、基地の皆が共に支え合い、乗り越えていく姿に感動しました。
「お父さんが単身赴任してから、お母さんがずっと元気がないです。」と、子供たちから南極基地の人々へのインタビューの場で話す女の子が、実は我が娘であると気づかぬ主人公が、「じゃあ、お母さんに何かごはんを作ってあげるといいよ。だって、おいしいものを食べると、元気が出るでしょう。」と答えるのですが、その言葉に、主人公が、そして原作となった本で経験を語る西村さんが、南極基地で皆にできるだけおいしい食事を作って元気を出してもらおうと考えて、料理を作り続けたであろう、その気持ちや姿を、改めて思いました。
以上、この記事で映画をご紹介するにあたって載せたリンク先のページには、すべて右手に、オンライン日本映画祭の参加国であれば、映画を見ることができるリンク、また、そうでなくても、監督のメッセージや予告編の映像を見られるリンクがありますので、興味があれば、ご覧ください。駆け足となりましたが、残された時間に、少しでも多くの方が機会を利用して映画を見てくださるきっかけになればと思い、映画を見た感想をまとめてみました。
参照リンク
以下は、今回ご紹介した映画6作を、Amazon.co.jp Prime Videoで鑑賞できるページへのリンクです。
2022年2月28日現在は、このうち、『ツナグ』と『南極料理人』はプライム会員であれば無料で視聴可能で、他の作品についてはレンタルまたは購入を選択することになっています。
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Articolo scritto da Naoko Ishii
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