かつてわたしが日本語を教えたイタリア人の生徒の中に、『UFOロボ グレンダイザー』が大好きという社会人がいました。どのくらい好きかというと、学校での日本語の授業で、「僕は歌が下手ですし、隣の教室に迷惑をかけますから、歌だけは絶対に歌いません。」と言っていたのに、グレンダイザーが大好きなんですと、自分からオープニングを歌い出しさえするほどでした。
と言っても、今はもう定年退職しているその生徒が歌ったのは、イタリア語版のオープニングで、日本語版の歌とは、歌詞もメロディーも異なるのですが、数十年前に見ていたアニメの歌を、何も見ずにすらすらと歌うことができたのです。
そこで、そんなに好きならと、こんなプリントを作って、授業中に歌詞の日本語を紹介したり、歌を聴いてみたりしました。ちなみに、イタリア語版では、グレンダイザーではなくGoldrakeとなっていて、イタリアの人は皆、「ゴルドレイク」と呼びます。
Marco Pelliteri, "Mazinga Nostalgia. Storia, valori e linguaggi della Goldrake-generation"
その生徒が目を輝かせてグレンダイザーを語り、他の生徒も少年時代に夢中になったアニメの話をうれしそうにしていたのが印象に残っていたので、この年の日本語講座が終わってすぐに夫と旅行に出かけたとき、高速道路脇の書店で、この『Mazinga Nostalgia. Storia, valori e linguaggi della Goldrake-generation』という本を見つけたときは、迷わず購入しました。みなしごハッチからキャンディ・キャンディ、北斗の拳やクリーミーマミまで、懐かしい絵に、イタリア語での題名が添えられているページもあります。そのとき、夫に「そんな本買ってどうするの。」と言われたのですが、確かに夫が予想したとおりで、あれ以来、手に取ったことはあっても、読んだことはまだありません。
閑話休題。こんなふうにイタリアでは、熟年世代でも、あるいは少年少女でも、日本のアニメや漫画を見た経験があり、その経験から日本文化に興味を持ったり、日本語を学んでみたいと思ったりする人も少なくないのだということを、「大切な日伊の架け橋 アニメと漫画」という記事に書いて、ニューズウィーク日本版の姉妹サイト、World Voiceに寄稿しました。
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/ishii/2022/02/post-35.php
よろしかったら、ぜひお読みください。
今、この記事を書く途中で、ふと思いついて、アマゾンイタリアで「UFO Robot Goldrake」で検索してみて、
amazon.it - 1-48 dei 150 risultati in "UFO Robot Goldrake"
1979年のイタリアでの放映から40年以上経った今でも、関連商品にこれだけ人気があることに驚きました。DVDからロボットや登場人物の模型、Tシャツまで幅広い商品がある上に、口コミを見ると、購入して満足したという人がたくさんいます。ただし、DVDやわたしが口コミを確認したTシャツにはイタリア語のコメントばかりが並んでいるのですが、商品によっては、英語やフランス語、ドイツ語やスペイン語の口コミもあり、イタリアだけではなく、欧州の他国でも人気があることが分かります。
アニメや漫画が好きで日本語を勉強しているという教え子は多いので、そういう意味ではこのブログには関連記事が多いのですが、今回は、記事冒頭でお話しした生徒たちとの学校での思い出を記した記事を一つだけ、ご紹介しておきます。題が、今回の寄稿記事の題とほぼ同じなのですが、これは意識せずに書いて、後からこの記事を見たら題名が同じだったのです。
関連記事へのリンク- 日伊の架け橋、アニメと漫画 (2011/6/22)Articolo scritto da Naoko Ishii
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