イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

恋の季節 カンムリカイツブリ トラジメーノ湖

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 トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)に浮かぶ自然が豊かな島、ポルヴェーセ島へは、春から秋にかけてだけ、サン・フェリチャーノの港から公共のフェリーで行くことができます。この春は、4月1日から島行きのフェリーが出ていると知って、近いうちに行きたいと言ったのはわたしなのですが、昨日は、仕事を終えて帰宅した夫が、急に「今日島に行こう」と言うので、驚きました。

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Lago Trasimeno, Magione (PG), Umbria 5/4/2022

 「今朝は気温が2度で、とても寒かった」と義弟が言っていた昨日はけれど、久しぶりにとびきりの好天気となり、日中は暖かく、ドライブ中、目に飛び込んできたトラジメーノ湖は、青い空の下、淡い空色をしていていました。

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 フェリーの出発地点であるサン・フェリチャーノに向かって、東の湖畔を北西へと走ると、きれいな黄色い花が一面に咲いています。菜の花でしょうか。

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 途中で寄り道してロウソクを買いたいと夫が言うので、早めにうちを出たため、フェリー出発時刻の20分前に、サン・フェリチャーノ(San Feliciano)の駐車場に到着しました。

 フェリーが出る桟橋へと岸辺を歩いていると、見つめ合う2羽のカンムリカイツブリ(svasso maggiore)がいます。1羽が首をかしげると、もう1羽も反対方向に首を傾けていたので、ひょっとしたら、数年前と同じように、また恋の踊りを見ることができるだろうかと思っていたら、

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 残念ながら、いったんは2羽は離れて別々の方向へと行ってしまいました。

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 と思ったら、1羽が見つけた水草をくちばしにくわえて、戻ってきました。

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 もう1羽も同じように、水草をくわえて、戻ってきます。

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 そうして、互いに出会ったその場で、立ち上がり、自らが見つけた水草をどうぞと贈り、そうして、相手からの水草を受け取って、

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愛と優しさに満ちた食事とひとときを、いっしょに楽しんでいるようです。

 このあと、互いを見つめて、恋の踊りを始めた2羽をしばらくカメラでビデオ撮影したのですが、ズームを使って撮影してはいても、位置が遠かったため、iMacで2羽がより大きく映るように切り取ってから、YouTubeに投稿し、それができたらまた、このブログでもご紹介したいと考えています。と言っても、動画の切り抜き加工は、まだしたことがありませんので、「できるかなできるかな」というところです。

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 さて、向かい合い、見つめ合って、ひとしきり踊り続けたカンムリカイツブリたちは、その後、再びそれぞれが違う方向に向かったのですが、うち1羽が、まもなくたくさんの水草を口にくわえて、

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愛しい鳥の君の方へと戻ってきたのですが、今度はどういうわけか、もう1羽はしばらくの間、ふり返りもせずに、そのまままっすぐに進んでいきます。

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 そうは言っても、水草をくわえて一心に、自分のすぐ近くまで来てくれたことを察したときには、

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ふり向いてまた、向かい合いました。水草を見つけた1羽は、その水草を分かち合おうと、頭を持ち上げます。水草なしにふり返らずに進んでいた1羽は、ひょっとしたら、自分も愛しい君に水草を見つけたいと猛進していたので、残念で申しわけない思いとうれしい思いが入り混じったような心持ちでいたのかもしれません。

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 仲よきことは美しきかな。

 一心に互いを見つめ合い、思い合うカンムリカイツブリたちを見ていたら、わたしたちもほのぼのとうれしい、温かい気持ちになりました。

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 このあとは、カンムリカイツブリたちがわたしたちが立っていた岸辺から遠ざかり、フェリー乗り場がある桟橋とは反対の方向へと行ってしまったので、わたしたちは、桟橋に向かうことにしました。

 上の写真で桟橋の向こうに見えているのが、ポルヴェーセ島(Isola Polvese)です。

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 島行きのフェリー乗り場がある桟橋に着くと、フェリーの向こうにサン・フェリチャーノの町並みが見えます。さらに向こう、奥には、湖の北の岸辺近くにある2島、マッジョーレ島とミノーレ島が小さく見えました。

 4月の平日で、まだ利用客が少ないからか、フェリーは小さな1階建てです。このあと、出発時刻がさらに近づくまで、二人でしばらく桟橋からの眺めを楽しみました。

 昨日は島から家に戻ったのが午後8時過ぎで、慌ててしたくをして夕食を食べ、午後9時からはまた近所の親戚たちも来てくれて、ロザリオの祈りを捧げました。幸い昨日は祈りのあとのおしゃべりも早く終わったのですが、それでも皆が帰ったのは午後10時40分頃でした。というわけで、昨日は思いがけず午後出かけることになり、記事を投稿できなかったのですが、また可能なときに、1日に記事を二つ投稿したいと考えています。

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 夕焼けの湖水で求愛踊る水鳥、トラジメーノ湖 / Svassi innamorati al Lago Trasimeno (17/6/2018)
- ザリガニを鳥捕る湖畔の春の夕暮れ / Lo svasso cattura un gambero (25/4/2018)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by haikutarou at 2022-04-06 22:18
なおこさん
お久しぶりです(コメント)
いつも投稿の画像には目惚れていますよ!!

カイツブリの画像には感銘しました。
今朝の私の俳句はいつも観察している鴨の動きからの
想像くでしたが実際にこの様な行動しているとは
「おお!!」と目を見張るような感動でした。
感動有り難うございました。
Commented by meife-no-shiawase at 2022-04-06 22:33
仲睦まじい様子にほのぼのとしますね。
お魚ではなく水草なんですね。なんだかそれもまた可愛い。

え?!なおこさん、Youtubeをやっていらっしゃるのですか?
それは知りませんでした。
是非是非、チャンネル名教えてください♪
私もいつやめようかと思いながらも忘れた頃にポツポツ
更新していますが、ブログと違って動画での記録も
なかなか良いものだと思っています♡
なおこさんのYoutube、楽しみです♪
Commented by milletti_naoko at 2022-04-06 23:07
金太郎さん、お久しぶりです。こちらこそ感動を共有してくださったと知って、うれしいです。ありがとうございます。確かにまさに金太郎さんが鴨について詠まれているように、くちばしに引っかけていました。トラジメーノ湖にはマガモも多く、仲よくいっしょにいるつがいもよく見かけます。

わたしたちも、恋のダンスは見たことがあるのですが、見つめ合って踊っては、贈り物の水草を取りに行って、くちばしを寄せ合っていっしょに食べて、また踊って見つめ合ってを繰り返すカンムリカイツブリたちの幸せと命に満ちた姿を見て、感動しました。親鳥が雛鳥に小魚を与えたり、雛が食べ物をねだったりするのは見ることが多いのですが、そうして、恋する2羽のうち一方が相手に贈るのも見たことがあるのですが、両方が贈り合って、立ち上がって分かち合うのは初めて見ました。
Commented by milletti_naoko at 2022-04-06 23:26
メイフェさん、幸せいっぱい、恋いっぱいの2羽の心がこちらまで伝わってきて、何だかいいなあと思いました。そうなんです。カンムリカイツブリは、ザリガニを食べるのを見たこともあって、ふだんは小魚を捕まえて食べるのを見かけることが多いのですが、昨日は水草でした。水草にこだわっていたのも不思議です。

いえいえ、メイフェさん、やっているというほどではなくて、これはおもしろいなと思った風景やイタリア語や日本語学習のための歌などを、ごくまれに作って載せているだけで、チャンネル名などというものもないのではないかと思います。興味がおありであれば、この記事の関連記事にも載せていますが、次のリンク先に、カンムリカイツブリを撮影した映像があります。
https://www.youtube.com/watch?v=SqOSSfybkx8

映像と言えば、メイフェさん、先日記事に載せていらした恐ろしいドライブを体験された峡谷の映像を見て、メイフェさんの映像に日本語でコメントを書いたつもりが、返事をもらってから、実はどうも地元の方か、あるいは中国の方が載せた映像らしいと知って、驚きました。日本語も分かる方だったようで、何よりです。
Commented by ciao66 at 2022-04-07 15:52
向かい合い、見つめ合って、水草を交換するカンムリカイツブリ、いい光景ですね♪
一度ならず二度目も有って、ますます愛は深まる様子!
動画が出来たら是非拝見したいです。
https://www.nhk.or.jp/doga/ 「投稿!DO画くん」というNHKのサイトがひょっとしてピッタリでは?
Commented by milletti_naoko at 2022-04-07 18:16
ciao66さん、お互いしか目に入らない、幸せいっぱいのカンムリカイツブリ、昨日はこうまで行かないまでも、寄り添っていっしょに進むカンムリカイツブリのつがいをあちこちで見かけました。

NHK、こんな試みもしているんですね!
by milletti_naoko | 2022-04-06 20:41 | Umbria | Comments(6)