イタリアの少年少女向けチャンネル、Rai Gulp(42チャンネル)で、昨夜から、赤毛のアンを原作とするテレビドラマ、『Chiamatemi Anna』の放映が始まりました。日本では『アンという名の少女』という題でNHKで放映された、カナダ放送協会とネットフリックス共同制作のドラマ、『Anne with an "E"』のイタリア語版です。
初日だった昨日、4月25日月曜日は、放送枠が8時40分から10時10分までで、終わったのは10時6分頃でした。次回はいつだろうとRai Gulpの番組表を調べると、今週金曜までは毎晩8時40分から放映され、けれども土日は放映がないので、平日にのみ放映されるのだと思います。午後9時過ぎからは夫が映画などを見ることも多いので、毎日テレビで見るには難しい時間帯だと思っていたら、今日以降は9時25分まで45分間の放映となっています。これならドン・マッテーオとも重なりませんし、たいていのチャンネルでは、映画の放映が9時をかなり過ぎてから始まるので、夫の見たい映画と重なることもなく、このアンのドラマをテレビで見られるだろうとほっとしています。
上にリンクと画像を付したRai Playのページからも見られるのですが、やはりテレビで見た方がドラマをより楽しむことができます。Disponibile per 5 giorni「5日間のみ視聴可能」とあるように、Rai Playのサイトでは、テレビ放映から数日間しか見られないので、ご注意ください。
https://www.netflix.com/it/title/80136311
一方、わたしは加入していないので分からないのですが、制作にも携わったネットフリックスのサイトでなら、期間の限定なしにいつでも見られるのかもしれません。
『赤毛のアン』は、小学校の高学年のときに放送されたテレビアニメを夢中で見て以来、大好きで、わたしの人生にも大きな影響を与えた作品の一つだと思います。原作の本が読みたいと言った小学生のわたしに、父が買ってくれたのはなぜか角川文庫のアンシリーズの本5冊だったのですが、まずはその日本語のアンシリーズを夢中で読みました。5冊目ではアンが結婚しているのですが、アンが母親となる6冊目以降は、自分自身が大人になった大学生の頃、あるいは社会人になってから読んだように覚えています。
愛媛県立高校で国語を教えることとなり、初任校から転勤になったとき、同じ高校に勤めていてやはり転勤が決まった先輩の英語の先生と、アンの舞台であるプリンスエドワード島に、翌年の夏休みにいっしょに旅行をする約束をしました。その先輩が、仕事で英語を教えていた上に、当時、英検1級合格を目指して勉強もしていたので、カナダで自分だけ会話に取り残されてはと、わたしも旅行のかなり前から、英語の再勉強を始めました。そうして、夏休みに訪ねたプリンスエドワー島で、島の人たちや他の旅行者の優しさに触れ、また原作者のモンゴメリの日記やアンシリーズの他の作品も、旅行みやげに購入したこともあって、旅を終えてからもさらに英語の勉強を続け、島で買ってきた本をすべて読み終え、さらにもう一度、今度は同じ職場の後輩の国語の先生と、カナダのロッキー山脈を訪ねたあと、プリンスエドワード島に行きました。
少年少女向きの世界の名作文学を読むと、きれいでおとなしく、優しくて我慢強い、そういう非の打ちどころのない主人公が多い中、癇癪持ちで失敗もあれこれして、でも愛すべき、そして愛される夢見るアンは、欠点がいろいろあっても、人はそれぞれが自分なりに頑張ればいいのだという驚きと励ましを与えてくれたように思います。
中学校3年生の冬に、東京から松山に転校したとき、東京や東京の友達が恋しかったわたしに、「東京の国立大学に受かれば、東京に行ってもいい」と父が言い、それを聞いたわたしは、中学校を卒業してから高校を卒業するまで、がむしゃらに勉強して、おかげで勉強する楽しさを知り、また十分な学力を身につけることができました。それは、負けず嫌いで頑張ったアンが、ギルバートと首位を争うほど勉強して成果を上げたのを読んだことが、「やればできる」という確信を心の奥底に育ててくれたおかげでもあると思います。
原作にはない要素や話を盛り込んだり、できごとの順序を変えたりしているために、『赤毛のアン』を原作としたドラマというよりも、その登場人物や物語を土台として作り上げた新たな作品だと言う人もいて、評価や意見が分かれるドラマであるらしいことは、放映前から、日本での評価を何かにつけて見て、知っていました。
昨晩見た第1回には、子育てを手伝わされていた家で、その家の少女たちからむごいいじめを受ける場面や、大人から暴力などの虐待を受ける場面がありました。原作を最後に読んだのはもう何年も前ではあるのですが、もらわれた先の母親から厳しい扱いを受けたという話は読んだ記憶はあっても、少女たちからのそんないじめ、また、大人からの暴力などは、原作にはなかったように覚えています。
いずれにせよ、今のところはまだ、原作に忠実に話が進んでいるところも多いように思いますし、幼い頃から親しんでいた物語の端々を思い出せて、懐かしいこともあり、とりあえずは毎晩楽しみに見ていけたらと考えています。初めてアンを知った頃には、アンと同年代の少女だった自分が、いつの間にかステイシー先生の年齢も超えて、マリラに近い年になりつつあることに気づき、昨晩はドラマを見ながら、感慨深いものがありました。また、イタリアに暮らしているため、当時のカナダの生活習慣、家のつくりや家具に、イタリアと共通するところもあり、そういう共通点や違いも、興味深いです。
今回この記事を書くにあたって調べていたら、なんとイタリアのRaiでは、すでに2年前、2020年7月6日から1か月間、毎日午後3時過ぎから放映されていたことが分かりました。夏の、しかも平日の午後の時間帯での放映で、特に宣伝もされず、気づかずにいたのだと思うのですが、と言うわけで、今回の放映についても、わたし自身もこれまでは見たことがないチャンネルで行われることもあって、知らずにいる方も多いかと思い、記事にしてみました。
Articolo scritto da Naoko Ishii
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