イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

はたらく・そだてる

 いつもの散歩コースを駅へと歩いていくと、前方に、ルイーザ・スパニョーリ本社の建物が見えます。下の写真では、右手に写っていて、上に大きくSPAGNOLIという文字が掲げられています。

はたらく・そだてる_f0234936_18152069.jpg

 今はファッションで知られるルイーザ・スパニョーリの創始者である同名のルイーザ・スパニョーリは、ペルジーナの経営者の一人でもあり、他の菓子を製造中に残った材料をうまく使おうと、バーチチョコレートを考案したり、アンゴラうさぎの毛を衣類を作るのに使おうと考えたりと、独創的な発想で、企業の発展に貢献した女性です。そして、一方では、今から百年も前に、工場に勤める女性たちが安心して働けるようにと、工場内に保育所を設けた人でもあります。



 かつては働く人をかくも大切に考えていたペルジーナ社も、もうずいぶん前からスイスのネスレ傘下に入り、儲けばかりを第一に考え、長年勤め上げた人や継続した雇用契約がある人は、賃金を高く払わなければならないからと、どんどん前倒しの退職を奨励し、季節労働や単発労働ばかりを増やしているという状況にあります。



 かつて経済がますますグローバル化しようというとき、イタリアのある識者が、「イタリアやヨーロッパの、労働者を大切にして、その権利を守り、製品の高い質を保つ、そういう在り方を世界に輸出していかなければいけない」と言っていたのですが、残念ながらそれとは逆の流れになり、安い労働力や厳しい労働環境がイタリアでも課され、利益を最重視して安全管理が怠られ、今も職場で仕事のために命を落とす人が後を絶たないという状況にあります。

 人の命をこそ大切にするべきであるのにと、痛切に感じることの多い今日この頃です。

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

トラックバックURL : https://cuoreverde.exblog.jp/tb/32659302
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by bondgirl333 at 2022-04-30 12:08
そちらのチョコレート、美味しいですよね。最近はチョコレートを控えているから食べてないですが以前は明治屋でたまに購入してたべてました^_^
さて、イタリアの労働環境。残念ですね。日本も同様です。
自分の過去のブログ にも書いてますが、かつてマストロヤンニさんが徹子の部屋で語ってました。
日本やイタリアなどの歴史ある国は、なんでもアメリカを真似しなくても良いのではないか。自国のやり方を大切にしたい。みたいな事です。
そんな気骨のある精神を大切にしたいですね。あくまで理想でしょうか⁉️
Commented at 2022-04-30 15:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ciao66 at 2022-05-01 20:11
イタリアには何度も行っているのに、バーチチョコは食べたことが有りません! 一度食べてみたいと思っているのですが・・・
チョコレートは人気なのでしょうが、働く人を大事にする先進的ないい会社だったというのが、大手の傘下になって今は季節労働や単発労働ばかりを増やしているということは、とても残念な状況で、働く者にとっては厳しいことですね。
何とかいい方向に変化すればいいのですが。
Commented by meife-no-shiawase at 2022-05-02 14:13
経営者によってその会社の方針ががらりと変わってしまうことは多いです。
働く人を大切にしなければ良い製品は生まれないですよね。
まして命を落とす人がいるというのはひどいことで、あってはならないです。

会社は利益を上げなければお給料を出せないが
そればかりを追及していたら、絶対に歪が生じると思います。
Commented by milletti_naoko at 2022-05-03 07:44
bondgirl333さん、なんとイタリアのチョコレートを時々買って食べられていたんですね! わたしも最近は、復活祭のチョコレート卵があったので少しずつ食べていたのですが、食べ終わった今は、甘いものはできるだけ控えるようにしています。

人や命、環境や物を大切にする、そういう世の中にしていきたいものです。なんとマストロヤンニが、徹子の部屋に招かれたことがあったのですね!
Commented by milletti_naoko at 2022-05-03 07:52
鍵コメントの方へ、はじめまして。

わたしも、感染下でもあり人の多いところは避けて、休みは、できるだけ人の少なそうな山に出かけたり、家で過ごしたりしていました。

そんなにも長い間友情を大切に育まれているとは、すてきですね。イタリアにも日本にもいろんな人がいて、この国の人はこうだろうという型にはまらないところが、世の中はおもしろいなあと思います。

ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願い申し上げます。
Commented by milletti_naoko at 2022-05-03 07:55
ciao66さん、そうなんですね。スーパーで売られているほか、バールなどでも、1、2個など、好きなだけ買えるように置いていることがよくあります。

金儲けではなく人や心を大切にすることは、やはりウンブリアの企業家であるクチネッリの経営の精神でもあり、フランチェスコ教皇がアッシジから世界へと発信していこうとしていることでもあります。どうかどうか、世界がよい方向へと変わっていきますように。
Commented by milletti_naoko at 2022-05-03 08:03
メイフェさん、働く人、その企業に勤めて貢献してきた人々をこそ、大切にする企業であってほしいし、社会であってほしいものだと、つくづく感じています。仕事に出かけていって、生産性をより上げるためにと安全が疎かにされた職場、工場で命を落とす人のなんと多いことか。

そうですよね。戦争もまた利益ばかりを追求するために生じる歪みだと、感じています。
by milletti_naoko | 2022-04-29 18:26 | Umbria | Trackback | Comments(8)