イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

第133号「すべての扉を開くんだ、イタリア語で鼓舞 歌『Apri tutte le porte』」

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「すべての扉を開くんだ / Apri tutte le porte
あらゆる手を打ってみろ / Gioca tutte le carte
日の光を取り込もう / Fai entrare il sole」

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Lago Trasimeno, Umbria 5/4/2022

 1960年代を思わせる勢いある前奏に続いて、イタリア歌謡界の大御所、ジャンニ・モランディ(Gianni Morandi)が、リズム豊かに朗らかに歌い上げていき、それから、聴くわたしたちの心に飛び込むような、扉をコツコツとたたくようなリズムで、「すべての扉を開こう、打てる手はすべて尽くしてみよう」と、繰り返し歌い上げます。


 前号でご紹介した、やはり大御所のマッシモ・ラニエーリの歌と共に、今年のサンレモ音楽祭で、わたしと夫が魅かれたのは、この歌、『Apri tutte le porte』です。特に、歌の題名にも取られ、ダンスのようなリズムと共に繰り返し歌われる冒頭の言葉が、毎晩サンレモを見るうちに、わたしたちの心も明るい気分になって、勇気づけられるようで、いいなあと思いました。

 「感染下で長い規制が続き、閉塞した状況の中で、何か壁を取っ払うような明るい歌を。」



 歌の誕生秘話を読んでみると、やはり歌手である友人のロレンツォ・ジョヴァノッティ(Lorenzo Jovanotti)が歌詞を書いたこの歌で、サンレモ音楽祭に出場しようと考えたモランディにも、歌詞を書いたジョヴァノッティにも、そういう思いがあったようで、それが聴くわたしたちの心にも響いてくるのでしょう。

 ただ、この誕生秘話と歌詞をよく読んでみると、歌の中で「扉を開け」と呼びかけるに至る閉じられた状況は、この2年間の感染下における外出・移動規制にとどまらず、もっと普遍的でありがちな状況として描かれています。

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Fiori di camelia e glicine, Orvieto (TR), Umbria 23/4/2022

 冒頭の訳をはじめ、今号に載せてある歌詞の日本語訳は、すべてわたしの手になるもので、内容が伝わり、心に響くよう、かなり意訳になっている場合もあります。

 歌の全曲および歌詞全文へのリンクを付しておきますので、興味のある方はぜひ聴いて、読んでみてください。また、イタリア語を勉強しようという方は、歌詞を見ながら何度も歌を聴いて、いっしょに歌ってみてください。イタリア語の学習になる上、元気とやる気も湧いてくるのではないかと思います。


歌詞全文へのリンク

 では、人が陥りがちな閉塞的な状況が、どんなふうに描かれているかを見ていきましょう。冒頭よりも中ほどの歌詞の方が、内容が単刀直入なので、今号では、そちらの歌詞をイタリア語の学習教材として引用します。

"L'abitudine è una brutta bestia
Un parassita che lentamente infesta
Tutto quanto fino a prendere il potere
E non riesci più a reagire"

「習慣は、手強く扱いにくく
 すべてを支配するに至るまで
 じわじわとはびこっていく寄生動物で
 そうなるともう抗うことができない」

 では、そういう状況をどう打開していけばいいのか。

"Ogni giorno mi sveglio e provo
A dire questo è un giorno nuovo
Lo esplorerò
Partendo da ora e da qui
Vai così vai così vai così vai così"

「毎日目が覚めると
 今日は新しい1日なんだと言ってみる
 今日という新しい日を
 今から、ここから探検していこう
 こんなふうにやって行こう これで行こう これで行こう これで行こう」

 上で引用した部分の最後の行以降は、次に続く"Stai andando forte"「いい調子で行っているぞ」、そして冒頭に引用した部分まで、すべて主語が2人称単数親称であるtuになっています。その直前までは、mi sveglio「目を覚ます」、 provo「努める、試みる」、esplorerò「探検しよう」と、主語が1人称単数のio「わたし」であるのに、Vai così以降は主語が親しい相手に呼びかけるときに使う2人称単数のtu「君、おまえ、あなた」へと切り替わり、さらに、Apri「開け」、 Gioca「勝負しろ」、 Fai entrare「入らせろ」と、うち三つの動詞が命令形になっています。これは、鬱屈とした状況を打開するためには、扉を開いていけ、自分で築き上げた檻の中から出なければ」と、自分自身に対して呼びかけ、叱咤激励しているのだということが、上に引用した歌の誕生秘話を記した記事からも、分かります。

 皆さんもぜひ、この歌を何度も聴き、また、いっしょに歌ってみて、今日という新しい1日を冒険気分で楽しみ、新たなことに、あるいはこれまでしようと思い立っては挫折してしまっていることに取り組んでみてください。

 Fai entrare il sole「日の光が入るようにしろ」と歌にあるので、太陽の光がひときわまぶしいトラジメーノ湖に浮かぶポルヴェーセ島とオルヴィエートに咲く藤、椿の写真を、ブログの記事に添えてみました。よろしかったら次の記事で、さらに島とオルヴィエートの春の風景を楽しんでみてください。


 5月のイタリアでは、藤の季節が過ぎつつあり、ひなげしやアカシア、蘭や黄花藤の花が、咲き始めています。



 今年の日本では、今週末までゴールデンウィークを楽しむ方もいるようだと知り、今号は、時間に余裕のある方も多いであろううちに、イタリア語学習が楽しくなるような記事をお届けできたらと考えて、書いてみました。

 この記事は、イタリア語学習メルマガ「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」第133号を、ブログの記事としても投稿したものです。あまり構成を考えすぎると、発行が滞ってしまう上に、読む皆さんにとっても、さっと楽しんで読めて、イタリア語学習を続ける励みや楽しみになる記事の方がいいだろうかと考えて、今号ではあえて語彙や文法の説明を控えています。ご意見やご希望があれば、ブログの記事の鍵コメントなどを通じてお知らせください。

 では、皆さん、こんなふうになればよいなあという夢に向かって、すべての扉を開き、打てるだけの手を打ってみて、日の光を心に、うちの中に存分に取り込みましょう。わたしも頑張ります。

 このメルマガの著作権は石井に帰属します。引用・転載を希望される方はご連絡ください。

*ヤフージオシティーズのサービス終了のため、現在ブログに、イタリア語学習メルマガ「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」のバックナンバーを少しずつ移動中で、新しい号も、発行する際に、ブログの記事として投稿しています。バックナンバー一覧はこちら、メルマガ登録(無料)ページへのリンクはこちらです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2022-05-07 17:53
大御所の歌手の方なのですか♪
元気なリズムでこちらまでノリノリになりますね。笑。

私は昔から音楽をメロディで聴いてしまって
あまり歌詞を重要視していなかったのですが
改めて歌詞を知って、こんな素敵なことを歌っていたのか・・・
と知ることが最近多いです。

外国の歌は特に歌詞はわからないのですが
その意味を知って聞くと、また違う感じで捉えることができますね♪
Commented by milletti_naoko at 2022-05-08 00:02
メイフェさん、聞いてくださってありがとうございます。こういうときだからこそ、元気の出る音楽や歌って、いいですよね。

歌は曲がとにかくいいというものもありますし、外国語だと、言っていることがよく分からないということもありますよね。サンレモ音楽祭のときは、生で歌っていると、録音の関係か、歌声よりも演奏の方が大きいので、イタリア人の夫も、何を言っているのか聞き取るのに苦労していましたし、最近の歌は、背景の演奏の音楽がにぎやかな場合が多いようにも思います。

わたしも今になって、ああこういうことを言っていたのだと知った曲、あります♪ 本当にそうですよね。
by milletti_naoko | 2022-05-06 19:39 | Lingua Italiana | Trackback | Comments(2)