イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

新緑と野の花うつくしいラヴェルナの森と修道院、トスカーナ

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 昨日久しぶりにラヴェルナ修道院(Santuario della Verna)を訪ねると、カエデや

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La Verna, Chiusi della Verna (AR), Toscana 14/5/2022

ブナの新緑の柔らかな緑が、わたしたちを優しく迎えてくれました。

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 ラヴェルナ修道院は、アッシジの聖フランチェスコ(San Francesco d'Assisi)が聖痕を受けた地に後世に築かれた修道院で、今も多くの人々が参拝に訪れる聖地であり、また巡礼地でもあります。2009年秋には、わたしたちも、カゼンティーノの森林を北から南へと縦断して、ラヴェルナ修道院を目指す巡礼路、Sentiero delle Foreste Sacre「聖なる森林の山道」を歩きました。


 わたしがラヴェルナ修道院を初めて訪ねたのは、夫と出会って数か月後、2004年5月でした。以来、夫もわたしも敬愛する聖フランチェスコにゆかりの深いこの修道院を、二人で毎年何度か訪ねています。たいていは、参詣路の起点であるラベッチャの駐車場に車を置き、聖フランチェスコもしばしば歩いたであろう緑うつくしいラヴェルナの森を通って、歩いて修道院へと向かっています。

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 ところが昨日は、いつものように森で食べようと考えていたパニーノを買おうとしたら、店がパンを切らしていて購入できなかったため、車でラヴェルナ修道院に直接行って、境内で昼食を終え、それから、森へと歩いていきました。

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 まずは、ペンナ山の切り立った岩の上に建つ修道院から、岩壁の下を通るトレッキングコースへと、坂道を下っていきます。

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 今、うちの庭や近所にも咲いているルナリアの花が、その下り坂にも咲いていました。花が終わると、白く平たい大きな実がなるので、イタリア語では俗にmoneta del Papa「教皇の硬貨」と呼ばれています。

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 石垣の苔の上に、タイムの花が咲いています。

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 すぐ近くに、初めて目にするように思われる、この空色の小さい花が咲いていました。

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 石の門の向こうへと、右横にある石の階段を通って、進んでいきます。

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 例年5月は、ラヴェルナ修道院を頂く断崖の下を、野の花が彩っています。昨日は、一面が黄色やピンクの花に覆われていました。

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 緑の木々の間に、美しい花の海が広がっています。夫と二人で、坂道を下る途中に見た空色の花も、群れになって咲いているところがあります。

 このあと夫は、ラベッチャの駐車場へと坂道をさらに下り、わたしは、修道院を頂く崖のすぐ下を通るトレッキングコースを歩いていきました。

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 野原からトレッキングコースへ戻ろうと歩いていたら、オーニソガラムが群れて咲いているところがあります。この白い花は、ペルージャのうちの庭や近所の野山でもよく見かける野の花で、俗にlatte di galina「めんどりの乳」と呼ばれています。


 ラヴェルナ修道院を通る周遊トレッキングコースは二つあり、一つは、修道院からペンナ山の山頂へと登り、別の道を通って修道院まで下っていくコース、Anello Alto della Vernaで、もう一つは、修道院を取り囲む緑の森を、岩壁の裾に沿って歩いて、修道院へと向かうコース、Anello Basso della Vernaです。上のリンク先の記事に、この二つのコースの地図を掲載しています。

 昨日は太陽が照りつける暑い日だったので、迷わずAnello Basso、岩壁に沿って森の中をゆくコースを歩くことにしました。

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 そこで、緑の木々に彩られた岩壁の下を通って、

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木々が落とす影のおかげで涼しい聖なる森へと入っていきました。森の中にも、野の花がたくさん咲いていたので、森林浴や花の観賞と撮影を楽しみながら、ゆっくりと歩いて、修道院へと戻りました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:5月16日は旅の日
Commented by yuta at 2022-05-15 21:53 x
ルナリアの花きれいですね。
可憐なタイムの花や黄色やピンクの花が広がる風景素敵です。
いろいろな花を楽しめる、爽やかな季節を大いに楽しみたいですね。
Commented by milletti_naoko at 2022-05-16 05:50
yutaさん、ありがとうございます。
いつにも増して、野の花が多く、きれいだなあと、風景や花を楽しみながら歩きました。土曜日とは言え、修道院に人が多いので驚きましたが、昼食の時間帯だったからか、幸い森の中を歩く人は、いつもより少ないほどで、助かりました。
Commented by はる at 2022-05-16 08:25 x
こちら朝からシトシト雨です。

なおこさんのお写真は緑がいっぱ~い!
緑色は心や体の緊張を緩めてくれるし、心をしっかりと
安定させてくるので、いつも感謝しております。

ホント!
花の海です。
こんなに名も知らないん草花が咲き乱れている
巡礼地へのトレッキングコースは素晴らしいです。
岩壁とか森林にはコケも共存していますか?

聖地での森林浴やお好きな撮影で心への
プレゼントになりましたね。
Commented by milletti_naoko at 2022-05-16 17:29
はるさん、そちらは朝から雨なんですね。

2年ぶりに、今の時期にも自由にあちこち行けるようになり、久しぶりにラヴェルナの森を訪ねたら、花と新緑が予想以上にきれいでした♪

森の中には大小の岩があちこちにあって、緑の苔に覆われています。岩壁に沿って歩くといっても、岩壁とトレッキングコースの間には木々があって、いつも近くに見えるわけではなく、何もないように見える岩の面が多いものの、岩から木や草が生えているところもあるので、苔が生えているところも日陰などではあるのではないかと思います。

ありがとうございます。久しぶりに行くことができて、うれしかったです♪
Commented by meife-no-shiawase at 2022-05-16 20:24
どこもかしこも美しいですね。
私もこんなところを歩いてみたいです。

教皇のイタリア語はpapaなんですね。
教皇の硬貨なんて・・・名付けが上手です。笑。

一面に咲いている黄色いお花は見た目はちょっと違う感じですが
たんぽぽも混ざっているのでしょうか?
綿帽子みたいのが見えますね。可愛い♪

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季節によって変えていらっしゃるんですよね♪
そういう細かいところも工夫されているのがなおこさんらしいです♡
いっぱい、ポチポチしたくなります。笑。
Commented by ciao66 at 2022-05-16 20:41
崖下の「美しい花の海」という表現が詩的な響きでいいですね!
ここで寝ころんだら気持ちよさそう♪
石の絶壁もいい背景だし、森の緑も素晴らしいし、
周りに誰もいませんし、桃源郷のような明るいイメージですね!
Commented by katananke05 at 2022-05-16 21:10 x
アッシジは お住いのところから’近いのですか?
ルナリア、、似たような ムシトリナデシコは 我が家にありますが’’「教皇の 硬貨」というのなら
欲しいです〜
友の庭にあるようだから’
タネをもらおうかな、、

青い小花
マルバ花チシャ とあったけど
アプリで カシャっとだから’
正確かどうかは わかりません〜
Commented by milletti_naoko at 2022-05-17 06:27
メイフェさん、花があるところを重点的に撮影して、さらに選んでご紹介してはいるのですが、花も緑も特に5月は美しい、国立公園にもなっている森なんです。

「パーパ」という響きも、日本語の「教皇」や「法皇」と比べて、何だか響きがかわいらしいように思います。おっしゃるように、名前のつけ方、言い得て妙ですよね。

この一面の花の海は、目に入る範囲では、黄色い花はキンポウゲが多かったのですが、すぐ近くにもやはり黄色い花がたくさん咲いているところがあって、遠くから綿毛になっているタンポポが見えたので、中にはきっとタンポポの花も混じっているのではないかと思います。

ありがとうございます。せっかく添えるのなら、何か季節感を出してみたいなあと思いました。メイフェさんが添えられているランキングのアイコンも、どれもデザインからしてどこかすてきだなと、わたしも感じています♪
Commented by milletti_naoko at 2022-05-17 06:34
ciao66さん、春はいつも野の花がきれいな場所ではあるのですが、この春はいつもに比べて、黄色とピンクが一面を覆って、とびきりきれいでした。

そうなんですよ。寝転んだり、座って写真を撮ってもらったりしたいところなんですが、今の季節はマダニの危険もあるので、本当はこんなふうに野の花や草の間に入っていくのは避けた方がいいんです。

一度この辺りをガイドさんらしき人と歩く集団に出会ったことがあるのですが、この日は昼食どきであったこともあって、森には人が少なく、崖の上の修道院の窓からこちらを見遣る顔や人の方が多かったように思います。

おっしゃるように、日の光の金色に、桃の花のようなピンクの色に満ちていますよね。美しい風景に出会えて、うれしかったです♪
Commented by milletti_naoko at 2022-05-17 06:36
アッシジは、ペルージャから、車でも電車でも約30分です。ルナリア、お友達のお庭にあるんですね。

ありがとうございます。今度また、わたしも調べてみます。
by milletti_naoko | 2022-05-15 20:06 | Toscana | Comments(10)