イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

場に柔軟なイタリア人 規則・秩序重視のイタリア語、World Voice 連載

 大学4年生の秋に採用が決まり、愛媛県立高校の国語教員として、12年間勤め、教えることや生徒と過ごすことは好きでありながら、「もしあと自分が10年だけ生きられるとしたら」と、自分の可能性を試してみたいと、父に反対されながらも、退職してイタリアに留学した2002年4月から、20年の歳月が流れました。

 夏休みに2週間通ったダブリンの英語学校で知り合ったイタリアの友人たちと過ごすうち、イタリア人とイタリア文化に興味を持ち、翌夏はあなたたちに会いにサルデーニャに行くわねと、仲よくなった島の女性二人と約束して、翌夏にイタリアを旅行することを決め、そのためにイタリア語の勉強を始めたのが、そもそも、わたしとイタリアの出会いの始まりです。

場に柔軟なイタリア人 規則・秩序重視のイタリア語、World Voice 連載_f0234936_23032142.jpg
Tuoro sul Trasimeno (PG), Umbria 29/5/2022

 サルデーニャの友人たちと再会したい、だからイタリアに行こう。せっかく行くのなら、イタリア語をしっかり勉強してから行こう。

 ドイツ語を大学で学んだ経験や、社会人になっての英語の再勉強のおかげで、また、高校で国語を教えるために、教材研究として辞書を片手にみっちり古文や漢文、現代文の文章を山ほど読んだおかげで、そして、高校生たちに国語を教えることを通して、イタリア語を学ぼうとしたときには、外国語はこんなふうに勉強するといいというコツのようなものが、そして、時間はかかるけれども、努力した分だけ、少しずつでも力が着実についていくはずだという確信が、自分の中にありました。

場に柔軟なイタリア人 規則・秩序重視のイタリア語、World Voice 連載_f0234936_23201465.jpg

 そうして訪ねたイタリアで、さらにイタリアへの興味を持って、さらに本格的にイタリア語の勉強を始め、熱意を傾けて教え、2年間共に過ごしてきたクラスの生徒たちが3年生になるのに、自分は再び2年生を担当することになったのがあまりにも辛かったこともあって、職を辞してのイタリアへの留学を決めました。

 もう後がないという背水の陣のような状況で、日本では高校で教えながら、そうして、イタリアに来てからは、まずは私立の語学学校、それからペルージャ外国人大学で、イタリア語とイタリア文化を勉強していきました。

 イタリアと日本が互いにどこか魅かれ合うのは、遠くて対照的で、違いも大きいけれど、どこか相通じるところがあるからではないかと思います。日本とイタリアという国も、日本語とイタリア語という言語も、それぞれに大きく異なっていて、いろいろな意味で対照的なのですが、それぞれの対照が常々おもしろいと感じていたので、昨晩、ニューズウィーク日本版の姉妹サイト、World Voiceに寄稿した記事には、その日伊の対照について書いてみました。

場に柔軟なイタリア人 規則・秩序重視のイタリア語、World Voice 連載_f0234936_03393011.png
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/ishii/2022/05/post-40.php

 よろしかったら、ぜひお読みください。

 そもそもは言語や語学とは大いに異なる分野で生きてこられて、あるいは興味を持ってきて、イタリア語を勉強しようと試みたけれども、つまずきがちである。そういう方にも励みになり、また、そもそもイタリア語をまったく知らない方にも、どういう言語であるかが伝わるようにと思って、書いてみました。

場に柔軟なイタリア人 規則・秩序重視のイタリア語、World Voice 連載_f0234936_23320786.jpg

 写真は、日曜の夕方、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)の北西のほとりにあるトゥオーロ(Tuoro)の浜と桟橋を訪ねて、撮影したものです。

関連記事へのリンク

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

ブログテーマ:6月1日は写真の日
Commented by katananke05 at 2022-06-02 10:15 x
私の出身 神戸の学校はアメリカ人宣教師が創立したこともあり
英語が 変わった授業法で
当時は 英語自身は好きだったけど
グラマーが 苦手で、、
それから父の転勤で東京へ〜
結婚 夫の仕事でアメリカ、、というところで また英語に興味を持ったのですが、、
次のシンガポールなどでも やはり学校での英語のやり方は 大いに役立ち、

そして しっかり 後期高齢者になった今、、
近くのカルチャーセンターでの
英語講座をうけるにいたり
いま 一番勉強してるかも〜
(もう五年になるかも)
とくに イギリス人先生の フリートークが 私を熱心にさせてますね〜
言語は習うことはもちろん大事だけど それと 慣れろ、、でしょうかしら〜
日常によく使う言葉や会話を
常日頃  「ん? 英語では?」と 考え直すことを繰り返しています〜
スマホのおかげで バスの中でも
電車でもすぐに 知らない単語を調べられることは 
私の単語をふやすことに
多いにたすけになっていて 今は
スマホに 大感謝です〜

まだ 海外旅行が危ない今は
はやく 外の国にでかけたいと
うずうずしてますよ〜
Commented by koito_hari616 at 2022-06-02 10:56
おはようございます

子供の頃、カトリック教会の神父さまが確かイタリア系だったような
その時に神父さまが「日本語は悪魔の言葉」って、言っておられました(笑)
WorldVoiceを読みました
イタリア語は易しいと言う人が多いですが
一つの単語にも沢山の意味が込められているのですね
無知でした、教えて頂き嬉しいです

ジリオラチンクエッティ(だったか昔のカンツォーネシンガー)
聞いていました(“雨”だったか。。タイトルが)
その頃は海外の歌をよく聞いていましたね。。
シャンソンとかファドとか。。懐かしく思い出されました
Commented by sunandshadows2020 at 2022-06-02 23:12
どの言語も個性があり、学習していくと楽しさが増える様です。
スペイン語を初めて516日です。
毎日欠かせず日課となっています。
昨日習った言葉、スマートウオッチは reloj inteligente でした。
なる程なと変な感心してしまった私です。
スペイン語を英語で学ぶので自分の英語の癖も知り一石2鳥かとも思え、もっと早くから始めればよかったなあとも思います。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-03 01:11
katanankeさんはなんと、ご家族の転勤でそんなにも海外で長く生活されていたのですね。英語の教え方も、国や地域、学校や先生によってかなり違ってくることと思います。学校での方法が役に立ってよかったですね。

外国語学習は、文法と会話が車両の両輪のようなもので、どちらも大切だと言い、また、音声を聴くのも、たくさん聞くだけではなく、言われていることを意識して聴いて学ぶ精聴が大切だと言いますので、スマートフォンなどの助けを有効活用するのは、いいですね。机の前に腰を下ろして、鉛筆片手に辞書をひいてというのは、時間も手間も精力も必要ですし。

早くまた心安く海外へと旅ができる日々が戻ってきますように。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-03 01:15
結うさん、こんにちは。

なんと日本語を「悪魔の言葉」とは! それだけ難しいということでしょうか。かつては今に比べて、海外で日本語を勉強するにも、日本で勉強するにも、教材さえ探すのが難しい状況だったことでしょうね。
寄稿記事も読んでくださったのですね。ありがとうございます。

チンクエッティの歌と言えば、以前よくコメントをくださった方から、昔はイタリアのサンレモ音楽祭も日本で放映されていたのだと知って、驚きました。そんなこともあって、かつてはイタリア語の歌が今よりもずっと親しまれていたのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-03 01:25
お転婆シニアさん、毎日欠かさず続けられているとは、すばらしいです。なるほど、スマートウォッチは、イタリア語では英語のまま外来語として取り入れているようですが、スペイン語ではちゃんと自国語で対応する言葉があるんですね!

わたしも、イタリア語の勉強をするのに、日本よりもアメリカの方が、当時は教材が豊富で、音声教材が安いので、利用していました。別の言語を学ぶと、さらにそれが俗ラテン語から発展・変容してできたロマンス語であると、それだけでもまた英語という言語について再発見することも多いと思います。

お転婆シニアさんにならって、わたしも頑張らなければ。スペイン語は、サンティアゴ巡礼前の1か月間だけ勉強して終わっていますが、フランス語の再勉強はするつもりです。ルパンを読み始める前に、カール大帝を読み終えようと思いつつ、それが終わらないので、まずはそこからですね。
Commented by meife-no-shiawase at 2022-06-03 16:16
なおこさんのイタリア行きはそのように決まっていったのでしたか。
でもイタリアがなおこさんを呼んでいた・・・
なにかそんな感じもします。
あ・・・ご主人さまが呼んでいらしたのかも♡

母国語である日本語をそれだけお勉強されて、理解されている上での外国語の勉強と
日本語を教えるというお仕事・・・
それもなおこさんの天職なのだと思います。
なにかちょっと私は感動してしまいました。

たくさんのイアリアの方がなおこさんのお陰で
日本や日本語を好きになっていると思います♡
日本人としてすごく嬉しいなって思います。

Commented by milletti_naoko at 2022-06-03 20:27
メイフェさん、イタリアに行くことになったのも、夫と出会うことになったのも、あれこれいろんなことが重なって、ことが思いがけない方向に進んでいったからなので、結婚式のときに神父さんが、遠い国と場所で生まれ育って、でも出会って結ばれることが神の意図だったんだと言ってくださって感銘を受けたのですが、確かにいろんな意味で、イタリアに呼ばれていたというか、来るべくして来たのではないかという気がします。人生って不思議ですね。

国語辞典も古語辞典も漢和辞典も何度も調べてはノートに書きながらと、ああやってつけた日本語のさらなる力と、生徒たちを教えながら学んだことや気づきが、外国語を学ぶことにも、今日本語やイタリア語を教える上でも、大いに役に立ってくれているなと思います。感動までしてくださって、ありがとうございます。教えることも好きだけれど、勉強することも好きだからと、通訳や翻訳で生計を立てることにして必死でイタリア語を勉強したのですが、マルケの私立の語学学校でも、ペルージャ外国人大学でも、まだ語学講座で学んでいる段階で、日本文化について講演をしてほしいという話をいただき、それで久しぶりに壇に上がって話をしたときになって、そして、実際に日本語を大学や学校で教えるようになって、しばらく教職を離れていたからこそ、教えるときこそ、自分がまさに生きている、そう感じられるということに、改めて気づきました。

ありがとうございます。わたしにできることを、ていねいに心を込めて、時間をかけて、これからもしていけたらと思っています♪
Commented by katananke05 at 2022-06-04 09:00 x
なおこさんが 元国語の先生ということをすごく嬉しく思います〜
どこの国の言語を学ぶにも
まず母国語がしっかりできてないと、、 語彙が豊富でないと
そこが土台で その上で 外国語が構築?されるものと
考えているので〜
テレビの「プレバト」という私の好きな番組があるのですが
その俳句のコーナーの 
夏井いつきせんせいは 絶妙の添削をなさるのですが おなじく
元国語の先生で
一瞬のひらめきででてくる 言葉に 引き出しに無尽蔵の言葉がつまってるんだと、、 感心させられます〜
日本語は 奥深く表現豊かで面白いですね〜
Commented by milletti_naoko at 2022-06-04 19:52
katananke05さん、ありがとうございます。
わたしも同感で、母国語が外国語学習はもとより、ものを考えたり感じたりする、そういうあらゆる感情、思考など、あらゆる精神・知的活動、そしてその発達の基盤にあると思います。

プレバト、すてきな番組のようですね。以前にもどなたかからおうかがいしたように思います。いろんな形を通して、多くのかたが俳句や短歌、言葉に興味を持たれているということがうれしいです。

夏井いつき先生は、教えることはもとより、俳句を通して、さらに言葉と真摯に対峙することを重ねていらっしゃるので、発される言葉もすばらしいのでしょうね。

文学作品そのものに出てくる言葉や表現はもとより、その心などをどうやったら生徒に伝えられるか、また、学校新聞や図書館だより、PTA会報などの作成や編集に関わることも多く、必然的にたくさん、かつ辞書を使い込んで深く読む、国語を学校で教えると、そういう経験を重ねていけるおかげかもしれません。
Commented at 2023-06-02 15:56
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2023-06-02 16:16
鍵コメントの方、こんにちは。
ひょんなことからこの過去記事が目に入ってツイッターでリツイートしたのですが、お目に入って興味を持って読んでくださったと知って、うれしいです。

温かくうれしいお言葉をありがとうございます♪
by milletti_naoko | 2022-06-01 23:33 | Lingua Italiana | Comments(12)