イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

原作とは違う楽しみ・感動『アンという名の少女』、イタリアでまた最初から再放送

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 「にんじん!」とアンの髪を引っぱって、怒り心頭のアンが石板を自分の頭で割って以来、ずっと変わらず、アンへの恋心を抱き続けたギルバート。

 憎い相手から勉強の競争相手、いい友人と、ギルバートという存在が自分の中で年を経て変わっていくものの、実はずっと愛していたのだと気づいたのは、ギルバートが瀕死の床にあると知ってからだったアン。

 少しずつ成長し、大人になっていくアンの姿を、様々なできごとと細やかな自然描写を交えて描いていき、「欠点はあっても、それぞれに個性のある自分のかけがえのなさや、日々に喜びを見つけ、希望や野心を持って生きていくことの大切さを教えてくれた原作が大好きで、夢中になって読み、舞台となったプリンス・エドワード島も2度訪ねました。


 4月下旬から、イタリアでは、『Chiamatemi Anna』、「わたしをアンナと呼んで(ください)」という題で放映された『Anne with an E』は、5月下旬にはシーズン3の最終話までの放映が終わり、わたしは、最後の数話は見逃してしまっていたので、テレビではなく、RaiPlayのサイトで見ました。




 そうして、原作とはかなり異なる二人の恋のすれ違いと運命にはらはらしながらドラマを楽しみ、シーズン3(Stagione 3)で、ようやく二人が結ばれる場面では感動しました。イタリア在住の方は、あと8日間は、RaiPlayサイトの次のページから、この最終回をご覧になることが可能です。


 アンやマリラ、マシュウなど、配役が実に原作のイメージに合っているので感心し、原作にはない様々な差別などに関する社会問題に、当時のカナダの人々の暮らしや意識がどうであったのだろうかと考えさせられて興味深く、背景となる自然や風景、例えば屋内の様子なども、ていねいに、かつ美しく映し出されているなと思いました。アンを大切に思う気持ちをなかなか表に出せずにいるマリラと、少しずつその愛情を率直に表現できるようになっていく姿、アンを愛するマシュウは確かにこういう行動を取って、表情をしただろうなと思えるような場面など、細部まで細やかに描かれているなと感じました。

 そうなのですが、一つのドラマ作品として楽しみつつも、わたしは、このドラマシリーズは、『赤毛のアン』の登場人物や舞台、物語や時代背景こそ借りているものの、それを手がかり、媒介として、社会問題を見る人や世の中に訴えていき、かつ、原作とは異なる人間関係や登場人物、筋の運びで、ドラマを盛り上げ、見る人の心をつかんでいこうという作品であり、『赤毛のアン』は原作ではなく、新たなドラマの世界を創り出していくためのきっかけにすぎないように思います。まさに換骨奪胎、骨子も内容もかなり違う、別の作品ではないかと。

 男性、女性はそれぞれこうでなくてはならないという偏見や、押しつけられがちな役割分担、そして男女差別。
 当時、黒人や原住民が強いられていた厳しい暮らしの状況や差別。
 孤児や同性愛者に対する差別・偏見、いじめ。
 結婚していなければ、人はどこかが欠けているかのように思う偏見や差別。

 こうした問題を取り上げて訴えていくことは、とても大切であると思い、また、『赤毛のアン』という世界中で皆が愛する物語を借りて、大勢に伝えていこうとしたのだろうかと考えもするものの、確かに、英語でも日本語でもイタリア語でも、ドラマの題名はモンゴメリの原作の題名とは異なるとは言え、登場人物と舞台を借りながら、あまりにも人物や人間関係・状況設定が違うことにとまどって、これはアンに名を借りた別の創作ドラマなのだと、わたし自身は感じたのです。原作には登場しない人物が、ドラマの鍵となる役割を担っていたり、登場する人物であっても、原作とはまったく異なる行動や人間関係が描かれたりしているからです。

 さて、5月下旬に、見逃した回を最終回まで見て、「Rai Gulpでのアンの放映はもう終わっているだろう」と思って、念のためにテレビの番組表を見たら、再び『アンという名の少女』が、シーズン1の第1話から、同じチャンネルで同じ日時に、つまり42チャンネル、Rai Gulpで、月曜から金曜の夜8時40分から放映されていることを知って驚きました。

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https://www.raiplay.it/programmi/chiamatemianna/episodi/stagione-1

 というわけで、現在RaiPlayでは、『Chiamatemi Anna』については、シーズン1(Stagione 1)の第2話から第5話までと、シーズン3の最後の数話を見られるという状況になっています。あと何日サイトで見ることが可能かどうかは、それぞれのエピソードへのリンクの下に赤や黄色で書かれていますので、興味のある回があれば、リンク先から、あと何日間見られるかどうかを、確認しておいてください。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by katananke05 at 2022-06-08 22:08 x
私も 小学校から中学校にかけて?よんだであろう 「赤毛のアン」とは 記憶にない物語の数々がストーリーに登場して
これははたして 「赤毛のアン」が
もっと続編でつづいていたのかと
おもったのですが、、
きっと 今回のテレビのストーリーでは 再構築というか 付け加えたのでしょうね〜
男女の性差からくる 不平等さとか 同性愛 人種問題 などなど
まったく 今と変わらない世間の偏見 差別 不平等が
盛り込まれてましたね〜
ギルバートと結婚するところまでは まだ 放映されてない日本ですが とってもこれからが
楽しみです〜
Commented by milletti_naoko at 2022-06-09 05:43
『赤毛のアン』の続編は確かにかなりの数があるのですが、ギルバートのお父さんが亡くなって、ギルバートが大西洋を航海する船で働いたり、黒人の若者と暮らしたり、コリンという若者と友達になったり、ダイアナのお父さんを中心に村人の多くがだまされたり、原住民の子供や人々と交流したり、ダイアナとジェリーがつき合ったりなどなど、続編にはないエピソードや登場人物、続編とは違う筋書きや人間関係が非常に多いのです。わたしは、角川文庫のアンシリーズを読んだ上、英語で書かれた原作でもアンシリーズは一通り読んでいますので、確かに最後に読んだのはもうずいぶん前のことですが、こんなふうに、わたしが日本語訳を何度も読んで原作に当たって確認もした物語やエピソード、人間関係や人物像とはかなり違うことが多くなっています。

はてさて、これまで作成・放映していたNetflixとの共同制作はしないという意向が発表されたとのことですが、いったいどうなることでしょうね。
Commented by koito_hari616 at 2022-06-09 13:26
こんにちは

私も小学校の図書館に通いながら夢中になって
モンゴメリの「アンシリーズ」
オルコットの「若草物語シリーズ」を借りて読みました
今の子供たちのようにネット環境は無いので
ただ、活字を追いかけると言う。。
しかし、良かったなぁ。。と思います

今までのアンは丸顔っぽいのですが
今回のアンは細面で。。そこからして違うなぁ。。と

私も何度も何度も好きなTVシリーズは録画して見ます
例えばシャーロックホームズは放送されるたびに見ます
ジェレミーブレッドのホームズですが
当時の馬車道とか住まいとか貴族の生活とか
「こんな感じなのねぇ~」と、微に入り細に入り(笑)その楽しみが本とは違い映像には有りますよね♪


Commented by milletti_naoko at 2022-06-09 15:08
結うさん、おはようございます。
アンシリーズ、若草物語シリーズ、足長おじさんなどなど、少女が楽しみに読める本がいろいろありますよね。ネットはなく、漫画はあったけれど、あの頃は皆が本を読むことを今よりずっと楽しんでいた、わたしもそういう時代に生まれてよかったなと思います。

アニメのアンのイメージに、今回のアンは似ていて、髪は本当に赤いですよね。以前の映画はアンの髪がもっと近褐色で、原作に忠実だったのを覚えています。

シャーロック・ホームズ、わたしも日本に住んでいたときは見ていましたし、以前はイタリアでも放映がありました。館の中の細部や暮らしぶりなど、ドラマや映画だと分かるのもおもしろいですよね。本を読んで想像していたより、ホームズの顔がずっといかつかったので、最初はかなりとまどったのを覚えてはいるのですけれども
Commented at 2022-06-10 05:57
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-10 21:19
鍵コメントの方へ

なんとちょうど同じ頃にご覧になったとは! 今後この番組がどうなるか分からない状況であるようですから、本当に、結ばれるところまではきちんと描かれていてよかったですね。

少なくともわたしの場合、小説を読んだ時点ですでに、アニメで見たアンや登場人物のイメージがあって読んでいたのかなという気がします。シャーロック・ホームズのように、本を読んでから映画やドラマを見ると、自分が想像していたのとは顔が違うというとまどいが大きかったことを思うと……

このドラマ、確かにマシューの心の葛藤などがかなり細やかに描かれていましたね。
by milletti_naoko | 2022-06-08 21:44 | Film, Libri & Musica | Trackback | Comments(6)