イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ジヴェルニーのモネの家と庭園の思い出

 いつかきっと訪ねたいと願っていたモネの家と庭園を、わたしと夫が訪れたのは、今からちょうど6年前、2016年6月16日です。

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Casa e giardino di Monet a Giverny, Normandia, Francia 16/6/2016

 色とりどりの花が咲き乱れる家の前の庭園で、花の彩りと勢いに圧倒され、睡蓮の池では、睡蓮の花はもちろん、緑の柳がしだれる様子や、岸辺の木々や花が水面に映る様子も、美しいと感嘆しました。

 印象派の画家たちやその庭、モネの人生などを主題としたドキュメンタリー映画を、映画館でいくつか見て、そのたびに、いつか行きたいと思っていたこの庭園を訪ねることになったのは、けれども、友人たちからモン・サン・ミシェルにいっしょに行こうという誘いを受けたからです。友人たちの旅は、飛行機でパリまで行って、それから1週間、車でノルマンディーへと旅行するというものだったのですが、せっかくフランスに行くならと、わたしたちは友人たちよりも1週間前にローマからパリへと発ち、公共の交通機関を使ってフランスを旅して、シャルトルで友人たちと落ち合うことにしました。

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 残念ながら、かなり激しい雨にも降られたのですが、雨つぶが池に落ちる様子も、睡蓮が雨に濡れる様子もまた、風情があります。

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 2日前にパリからルアンへと電車で移動したわたしたちは、この日電車で、ルアンからジヴェルニーへと向かいました。

  到着すると、すぐにモネの家を訪ねる人が多いようで、家の前には列ができていたので、

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わたしたちは、先に庭園を訪ねることにしたのですが、おかげで、雨が降り始めてから、雨足が激しくなる一方なので、家の中に入ると、

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入ったばかりのときは人が少なかったので、ゆっくりと見て回ることができました。

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 部屋ごとに、基調となる色やデザインがあるようで、どこか統一感も感じられ、美しかったです。ダイニングルームは、壁も家具の色もレモン色をしていて、日の光の明るさを、見る人、中で過ごす人の心にも運ぶように思います。

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 窓枠や壁、天井にも空色を配した、この部屋もすてきだなと思いました。浮世絵も、空や海、着物など、青が基調となっている絵を選んで、飾ってあるようです。

 ソファーにせよ、カーテンにせよ、白やクリームの生地に花が描かれているのも、いいなあと思います。

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 当時は、できるだけ人がいないすきをねらって、写真を撮るのに必死だったのですが、今写真を見返して、フランスとイタリアは隣国でもあるからか、二世代住宅の我が家にある古い家具と、よく似たものが少なくないことに驚きました。

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 壁には、浮世絵ばかりではなく、他にも様々な絵が飾られています。

 最近、自分たちがベッドサイドテーブルを探していることもあって、ナイトテーブルにも目が行きます。

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 川で洗濯をする女性たちを描いた浮世絵もあります。美女ぞろいで、衣類を洗う様子さえ美しいことはさておき、こういうごく日常の暮らしの場面をとらえているのは、おもしろいなあと思いました。

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 足置きやカップがさりげなく置かれていて、今も誰かが暮らしている空間であるかのような雰囲気が演出されています。

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 雨がなかなかやまないので、家の中に入ってくる人たちが増えてきました。

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 雨と言えば、相合傘の浮世絵も飾られていました。

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 モネの家と庭園を訪ねたあとは、すぐ近所にあったレストランで、遅い昼食を食べました。

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 スモークサーモンが好きなので、たっぷりのサラダといっしょに食べられて、うれしかったように覚えています。

 店の人と話をすると、なんとジヴェルニーでは、この年は6月に入ってから毎日雨が降っているとのことでした。庭の花たちが元気に咲いていたのも、けれどきっと、その雨のおかげでしょう。

 この年、わたしたちが6月16日にジヴェルニーに行くことになったのは、おそらくは、14日にパリからルアンへと電車に乗って、荷物を持ってホテルまで歩いての長旅で疲れたため、翌15日ではなく、元気も回復した16日に行こうということになったからではないかと思います。そうではあるのでしょうが、こうして結婚記念日に、ずっと訪ねたかったモネの家と庭園に行くことができて、本当によかったです。

 今夜は祝いに、いつもの湖畔のレストランに夕食に出かける予定です。店の人たちの笑顔と、美しいトラジメー湖の夕景が、何より祝いにふさわしい、そんな気がしています。

関連記事へのリンク
- 『ジヴェルニーの食卓』にモネの家と庭を思う (2019/5/28)
- モネと睡蓮、近現代絵画と花・庭園 明日までイタリア映画館で上映 (2016/5/24)
- 映画、『わたし、クロード・モネ』、イタリアで今日明日上映 (2017/2/14)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:5月16日は旅の日
Commented by yosakoi_soran at 2022-06-17 01:04
こんばんは、自宅から2時間程度で北川村「モネの庭・モルマッタン」が有るのでたまに行くんですが本家ジヴェルニーには行ってみたいですね。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-17 01:32
年金爺さん、こんばんは。北川村のモネの庭が、そんなにお宅から近いんですね! 季節によって、それぞれの美しさがあると思うので、それをさっと楽しめるとは、いいですね。
Commented by harupita at 2022-06-17 11:45
こんにちは。

モネの庭やモネの家を
見る事が出来て嬉しいです。

雨に叩かれる睡蓮の池の水面の
特別に美しく感じます。

モネの家の外観は、浜名湖ガーデンパークの
花美の庭内の建物と同じ感じです。
中に入ることは出来ないけれど
このグリーンの色、モネの世界です。

屋内には浮世絵も飾られているのですね。

スモークサーモン、私も大好き
ランチ美味しそうですね。葉流
Commented by koito_hari616 at 2022-06-17 14:38
こんにちは

結婚記念日!おめでとうございます
素敵なご旅行だったのですね♪

お蔭さまでモネの庭を写真とともに見ることが出来て
嬉しいです♪

モネの庭のハスの池は絵画のまんまですね
私は↑の方が仰る日本のモネの庭は知らなかったです

お庭も良いですがお家の中の壁紙や椅子やカーテンのかわいらしさ
ベットのお部屋も素敵です!

更に何と言っても浮世絵コレクション!
雨が多いのでしょうか?相合傘が素晴らしいです♪

お昼は可愛いレストラン!
満喫ですね!
これからも楽しく末永くお幸せにお過ごしくださいませ♪

Commented by meife-no-shiawase at 2022-06-17 15:43
ご結婚記念日だったのですね!おめでとうございます!
なおこさんはジューンブライドだったのですね♡素敵♡
いつものレストランで楽しくお祝いできたでしょうか♪

パリ・・・モネ・・・
いいですね~。
モネの絵と同じように優しくて穏やかな雰囲気です。
パリに行けた時にモネの睡蓮の絵を観に行ったら
閉館間際だったのもあって、そのお部屋にほとんど人がいなかったんです。
家族だけでゆっくりと観られたのが思い出に残っています。

なおこさんのモネのお話で、思い出しました♪
Commented by uto2317 at 2022-06-17 18:26
初めまして。
いつも素敵な風景と異国の暮らしの雰囲気を楽しませていただいております。
ジヴェルニーの庭はとても広いのですよね。
管理が大変な広大な庭が、今も維持されているのはそれだけ人気なのでしょうね。

それにしても、室内に飾られている浮世絵の多さに驚きました。
洗濯をする女性たち、美し過ぎます💦
Commented by ciao66 at 2022-06-17 19:30
モネの睡蓮の池の雨に煙る様子も美しいですね。
こういう光景はあまり写真では見た記憶がなく、いい思ったのです。フランスでも毎日雨が降るときが有るんですね。
実は私も12年前になりますが行ったのです。それで、6年前に行かれた記事を懐かしく拝見しました。
モネの家のお部屋の装飾、naokoさんの観察眼が素晴らしいなと思いました。なるほど色彩のモネらしく、トータルでコーディネートされていますね!私は部屋ごとに色彩が違うね、くらいしか判りませんでした。

私の旅行記です。晴れ男ぶりを発揮して?いいお天気でした。
https://ciao66.exblog.jp/14483055/ モネのお庭と家
https://ciao66.exblog.jp/14486900/ モネの散歩道とお墓
Commented by aya_kit_pa at 2022-06-17 22:42
初めまして。
イタリアのお話と風景、いつも楽しみに拝読しております。

ジヴェルニーのお写真に高揚しました。
都内の美術展で買った書籍があります。
この黄色のお部屋に惹かれて、とても印象に残っています。
いつか訪れたい場所です。

今後も欧州のお写真や情報を楽しみにしております。

Commented by sunandshadows2020 at 2022-06-18 13:28
行きそびれたモネの庭園と家をなおこさんのブログで拝見出来て嬉しいです。
サンフランシスコの美術館で見た数多くのモネの蓮池の絵ですが、雨に打たれた蓮池も風情があって良いですね。

結婚記念日おめでとう御座います。
いつまでも仲良くトレッキングに励んで下さいね。
Commented by katananke05 at 2022-06-18 21:48 x
結構前ですが 原田マハという元キュレーターだった女性作家がかかれた
小説「ジベルニーの食卓」
モネ の家族や 他の画家たちとの交流 また 
相克など 彼女は キュレーターであったので ゴッホやピカソの小説も 多々あるのですが
この本でジベルニー という地名を知り
ああ、、あの家か、、と
私の想像では このような大きな家ではなくて
白い壁の田舎風の家をおもっていたので この大きな家はおどろきです〜
お庭は 睡蓮の絵で広いところだとは思っていましたよ〜
さすが カラフルな色合いのお部屋で モネの好みが色濃く出ていると 思いました〜
Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 01:15
葉留さん、旅行中と前後は慌ただしく、ていねいにご紹介できないままに終わっていたモネの庭と家の記事、楽しみに読んでくださったと知って、うれしいです。

そうなんです。雨に降られる睡蓮と池も、風情があってとてもきれいでした。浜名湖の庭園にも外観が同じ家があるんですね! 緑と花を愛して大切に庭と花を育てたモネの心と庭と世界が、そうして、庭を通しても世界に広がっているのですね。モネの時代、印象派の画家たちに浮世絵は大人気だったとは習ったものの、まさかここまでとはと、家を訪ねて驚きました。

スモークサーモン、おいしいですよね。フランスはやはり鮭が取れる地域でもあるからか、スーパーのスモークサーモンも、イタリアに比べてずっと安いので驚きました。

Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 01:27
結うさん、こんにちは。ありがとうございます。
モネの庭の写真、楽しんでくださったと知って、わたしもうれしいです♪

本当に絵画のままの蓮の池で、とても美しかったです。そうなんです。家の中も、さすが芸術家の家、すてきだなあと思いました。相合傘、いいですよね!

ありがとうございます。お互いを大切にしながら、過ごしていけたらと願っています。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 04:39
メイフェさん、ありがとうございます!

とてもきれいな夕焼けを見ることができました。席から見えなかったので、二人で浜に行っていたら、その間に席が次の人たち用になってしまったという落ちはありましたが、おかげで久しぶりに懐かしい店のジェラートを食べることができました。

モネの庭の花たち、どれだけ情熱を注いで育てていたかを描くドキュメンタリー映画をいくつか見る機会があって、見たいなあと思っていたので、訪ねられて本当に良かったです。ゆっくりとご家族で睡蓮の絵を鑑賞されたとは、すてきな思い出ができましたね♪
Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 04:46
うとさん、はじめまして。温かくうれしいコメントをありがとうございます。

ジヴェルニーの庭の写真は、以前にもいくつか載せたことがあり、この記事では、家の方に重点を置いているので睡蓮の池の写真が主になっていますが、本当に広い庭で、わたしたちも、訪ねる前にモネがその庭を造っていく過程をドキュメンタリー映画で見て、驚きました。庭や花がまたモネの絵の大切な原動力や着想の源であることもあり、今も庭が大切にされ、多くの人が訪れるのだと思います。

わたしも浮世絵の多さに驚きました。そうですよね。洗濯する女性たちのあまりの美しさに、わたしもびっくりしました!
Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 04:56
ciao66さん、さあっと降ってきた雨が池や睡蓮に降りかかる様子にも独特の風情があってきれいだなあ、雨のない睡蓮の池との対照もおもしろいと思って、撮影し、掲載してみました。庭園の写真は、一般には、晴れたときに写したものを選んで載せることが多いのでしょうね。

12年前に行かれたんですね! 部屋の装飾は、山の家で壁の色を選んだりしたこともあり、家具までその壁の色、部屋の基調の色で統一していることに驚いたんです。

ありがとうございます。リンク先の記事、楽しみに拝見しますね。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 05:10
ayaさん、はじめまして。うれしく興味深いコメントをありがとうございます。

日本からは遠いですし、今はさらに行くのが難しくなりましたが、記事と写真を喜んでくださったと知って、うれしいです。美術展で本も買われたんですね! わたしもモネの家で、家と庭の写真がたくさん載った本を購入しました。あの頃はフランス語を勉強するぞと張り切っていて、フランス語版を購入してしまったため、写真を眺めるばかりになってしまっているのですけれども。

いつかぜひ訪れることができる日が早く来ますように。
Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 05:16
お転婆シニアさんもフランスで、モネの庭園と家を見られるのを楽しみにされていたんですね! ご自身が庭や花を大切に育てられていますものね。サンフランシスコにも、そうするとそんなにたくさんモネの睡蓮の池があるんですね!

大先輩からのお祝いのお言葉、ありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2022-06-19 05:45
katananke05さん、ありがとうございます。
わたしも、マハさんのその小説を読んだのですが、家を訪ねてから読んだので、読みながらより感慨深いものがありました。

ただ、本の内容を細部にわたってまでは覚えていなかったので、いただいたコメントを機に、本の感想を書いた記事を読み直して、その写真も見返すいい機会になりました。

確かにモネの家は、何だか学校か何かではないかと思えるほど、大きいですよね。本を先に読まれていてのご感想、興味深いです。
by milletti_naoko | 2022-06-16 23:59 | Francia & francese | Comments(18)