イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

七夕の夕立雲と月と嵐のあとの散歩道、ペルージャ

 深刻な水不足で、庭や菜園への水やりさえ禁じられるようになったペルージャにも、7月7日には待ちに待った雨が降る、それも大雨らしいという天気予報が出ていました。

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Perugia, Umbria 14/7/2022 20:41

 どうせまた外れて降らないよ、降ってもたいした量じゃないよと、夫も義父も予報をあてにしていなかったのですが、日が沈む前に南西の窓から外を見ると、湧き上がる積乱雲が、夕日を浴びて、燃えるような色をしています。これはきっと一雨来るなと、わたしはそう思いました。

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17:32

 午後5時半頃には空がかなり曇っていて、すでに雨が降っているらしいところも、あちこちに見えたのですが、ペルージャの我が家の周囲では、午後ほんの少しだけ降っただけで、降りそうで降らない状況が続いていました。

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20:41

 今年1年のペルージャでの日の出と日の入りの時刻が分かるサイトによると、この日の日の入りは午後7時51分で、その10分前には、広がる青空も見えたものの、遠くにごく小さく見えるアミアータ山の上空で、夕立雲が茜色に色づいていました。

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Colle della Città della Domenica

 日曜の町の丘の上にたなびく雲も、その向こう、遠くに湧き上がる雲も、桜色を帯びてきれいです。

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21:12

 と思ったら、30分後には、近くの空はきれいに晴れわたり、

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流れる夕雲に時に隠れながらも、空にかかる半月さえ見えていました。わたしがよく参考にするイタリアの月の暦のサイトはこちらです。

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 けれども、この時でさえ南西の空は雲に覆われていて、やがてはこの雲がペルージャの空も覆い、夜になってから、暴風が吹き荒れ、雨が降りました。

 前日に、日本語の授業で七夕について教えたら、目を輝かせていた13歳の教え子が、この七夕の晩、自分が願いごとを書いた短冊を吊るした木を写真に撮り、

「こんばんは、なおこ。よい七夕の夜を! わたしの願いごとを書いて(日本語で書いてみたの)、木に吊るしたの。最初のうちは晴れてたのに、今は雷が鳴り始めてるんだけれど…… さようなら!」(イタリア語で書かれた文章をわたしが訳しています)

というかわいいメッセージに添えて、WhatsAppで送ってくれた時刻が、午後10時20分で、その頃からペルージャでも雷が鳴り響き、雨が降り始めました。

 そこで、わたしは、「すばらしい! 大丈夫、彦星も乙姫もきっと中国と日本の空の上にいて、中国や日本では雨が降らないはずよ。だから、願いごともかなえてもらえるでしょう。さようなら。」と、返事をしました。

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8/7/2022

 嵐が去った翌朝は、さわやかな青空が広がりました。いつものウォーキングコースを歩き、目の前に日曜の町の丘と高架線、トンネルが見えてきたとき、今この瞬間に電車が通ったら、いい写真になるんだけれどなあと思いながら、さらに足を進めると、しばらく歩いた先で、電車がやって来るのが見えました。

 わたしのいつもの散歩道は、このあたりから、線路とほぼ並行に走っています。そのため、わたしが歩く数十分の間に、たいてい2、3台の電車が通り過ぎるのですが、木や建物の陰になっているために、走る電車の音は聞こえても、その姿が見えないことが多く、たとえ見えたとしても、「電車の先頭は撮り逃したから、せめて最後尾を」と、電車のしっぽが見える瞬間をねらうのに、あまりにも早く通り過ぎるので、撮影できずじまいとなることも時々あります。この日は何とか、その最後尾を写真に収めることができました。

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 嵐が過ぎ去ったあとの朝は、気温は低く日陰は涼しいのですが、太陽の日ざしが暑いために歩みが遅くなり、スマートウォッチを見ると、この日は平均速度が時速4.60kmと遅く、6.06kmを1時間19分かけて歩いたと言うのに、有酸素運動はわずか9分という結果となっています。

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 雨のおかげで、市民の緑の散歩コース、Percorso Verdeを走る小川にも水が戻っています。

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 大雨と風が手前の緑の枝や葉をなぎ倒したためか、あるいは、緑であった実が色づいたために目立つようになったからか、この日は、かつてアカシアやセイヨウニワトコの花が咲いていたところに、赤やオレンジ、黄色い実がたくさんなっているのに初めて気づきました。

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 すぐそばでは、カエデの種も、羽を風に乗せて、飛び立つ準備を整えています。

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 すぐ近くではアカシアの実も、さやの中で育っているようです。

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 周囲には他にも咲いている野の花がたくさんあったのに、この日も、蜂は皆、ミツバチもクマバチも、アーティチョークの花に群がっていました。明るい色の大きな花が目立つ上、蜜も集めやすそうですし、薬用植物であるため、蜂たちにも好まれるのかもしれません。

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 今日からまたしばらくの間は、雨の降らない暑い日が続くようですが、嵐の翌朝は、雨のおかげで息を吹き返したからか、バラの花も元気そうに見えました。

 再び猛暑の日々が続くとの予報が出ている上に、日本と同じく、イタリアでも、新型コロナウイルス感染症の感染者が急増しています。皆さん、どうかくれぐれもお体を大切にお過ごしください。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:6月1日は写真の日
Commented by cut-grass93 at 2022-07-15 09:11
七夕の短冊吊りは
今では幼稚園時代にするだけになってしまった。
でも先日絵画グループ展を開いたとき主催者が
ササと短冊を用意して、めいめい好きなように短冊を書いてつるしたが
なんか楽しかった。
Commented by meife-no-shiawase at 2022-07-15 12:13
水やりが禁止に・・・
去年の台湾を思い出します。
お水が不足している・・・というのは危機感を感じますよね。
でも恵みの雨が降ったようで本当に良かったです。
早く完全に水不足が解消されますように・・・。

お月様の満ち欠けのサイト。すごく面白いですね。
実際の7月7日とサイトのお月様とそっくりですー笑。
ちょうど今日明日が満月なのもわかります(•ᴗ•)♡

生徒さん。可愛い♪
七夕の行事をイタリアでも。嬉しくなっちゃいます。
Commented by koito_hari616 at 2022-07-15 16:25
こんにちは

子供と大人では雨の感じ方が違いますものね
子供は♪ささのはぁ、さ~らさら♪ですから
雨が降っちゃって教え子さん。。。短冊が気になりますね
naoko先生が「大丈夫よ」って、日本と中国の間は
降っていないからそこで願いが通じるわ。。
なんて、素晴らしいフォローでしょうか♪

アーティチョークに虫たちがセッセとお仕事中ですね(笑)
Commented by ciao66 at 2022-07-15 16:27
雨が降って、植物はみんな元気になりましたね!
赤いバラも、アーティチョークも、色とりどりの木の実も、
どれも生き生きとして見えます。

最後尾だという列車の写真、これはこれでいいではありませんか!
(説明がなければ)前に進んでいるように見えますよ!
近い位置から先頭をとらえるのはやはりタイミングが難しいでしょう。
まぁ(できれば銭湯を撮りたいという)気分の問題は有りますが・・
私も良く電車をやり過ごして最後尾を撮りますよ!
Commented by harupita at 2022-07-15 20:37
こんばんは。

ペルージャは水不足なのですね。
雨が降らないと大地は悲鳴を上げますね。
人も草花も久しぶりの雨に一息ですね。

月の暦・・これはわかりやすいですね。
空の色も色々ですね。

生徒さん(#^^#)可愛らしいですね。
先生のお話をきちんと聞いてくれていますね。
まだ子供たちが小さな頃、我が家も笹飾りを
作り短冊に願い事書いて吊るしました・

幼かった息子がサッカーを習っていて
ワールドカップに出られますようにと
書いていて、大きな願い事にビックリ!
子供の願いは可愛いですね。


電車って見かけると撮りたくなりますね。
最後尾でも撮れると嬉しいですね。

まだ薔薇も頑張っていますね。
コロナは日本でもかなり感染者
増えてきました。
終わりなき戦いのようなコロナですね。

naokoさんも猛暑&コロナの夏
乗り越えて行きましょうね。葉流
Commented by sunandshadows2020 at 2022-07-15 21:54
水不足は深刻ですね。
ここ3年こちらも雨が少なく節水を要求されています。15%のカットなのに使用量は15%増しという残念な結果が出ています。
上から10枚目の水溜り、猫に見え流石猫好きのなおこさんと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2022-07-15 22:58
草刈り真っ青さん、皆で書きながら飾ると楽しいですよね。

わたしも最後に書いたのは、日本の高校で教えた最後の年に、生徒といっしょに老人ホームを訪問して、七夕飾りをいっしょに作ったときだと思います。イタリアに留学できますようにと書いたように覚えています。
Commented by milletti_naoko at 2022-07-15 23:13
メイフェさん、イタリア全国で水不足が深刻になっていて、ちょっとやそっとの雨では、降ってもすぐ乾いてしまうと、義父や夫も言っています。台湾も去年は本当に大変でしたね。断水にまでは至らないように願っています。

月の満ち欠けのサイトまで見てくださったんですね! こうしてリンクを張っておくと、自分でも参照しやすいという下心もありました。特に、二日月や三日月の頃は空に見つけるとうれしく、湖の上の夕焼け空に見られると、とてもきれいです。

写真を見ると、笹ではなくて普通の木だったのですが、願いごとをこの晩に短冊に書けば、心は通じると思うんです。かわいらしいですよね。
Commented by milletti_naoko at 2022-07-15 23:53
結うさん、こんにちは。

日本の文化であると同時に、大好きなアニメの主人公たちと同じことができるという喜びが大きかったのではないかと思います。「もし日本語で書きたいのなら、イタリア語で書いてくれたら、わたしが訳してもいいわよ」と言っていたのですが、ないしょの願いごとのようで、送ってきた短冊の言葉を書いた部分は消してありました。

来年はまたアーティチョークがさらに増えているかもしれませんね。
Commented by milletti_naoko at 2022-07-15 23:57
ciao66さん、そうなんです! どうにかこうして雨が時々降ってくれるとありがたいのですが、予報ではまた猛暑かつ晴天の日が続くとのことで、どうか外れてくれますように。

ありがとうございます。線路の一部しか見えないので、あっという間に電車が来て、あっという間に去ってしまい、西部のガンマンではありませんが、瞬間との戦いです。ciao66さんにも、そういうことがおありなんですね!
Commented by milletti_naoko at 2022-07-16 00:03
葉流さん、こんにちは。大地や農作業に携わる方はもちろん、トラジメーノ湖も、まだ夏の初めだというのにこんなにも水位が低く、本当に困ったものです。どうか雨がもっと降ってくれますように。

月の暦、夫は農作業や散髪でさえ月の満ち欠けを気にするんですよ。わたしも空に出始めたほっそりとした月や満月を見るのが楽しみなので、時々暦を参考にしています。

このときは、大好きなアニメの登場人物たちと同じことが自分もできると、少女が大喜びで、わたしもうれしかったです。幼い頃の願いごと、本当にかわいらしいですね。

そうなんです。線路が一部しか見えないので、来るのが突然で撮り損ねるのですが、撮れるとうれしいです♪

感染はイタリアでも激増していて、入院患者や死者もまた増えてきていて、心配です。

ありがとうございます。葉流さんもどうかお身体を大切にお過ごしくださいね。
Commented by milletti_naoko at 2022-07-16 00:05
お転婆シニアさん、そちらでもなんですね! これだけ雨が降らないと、こちらでも、この夏さらなる節水を迫られるかもしれません。

上から10枚目は散歩コースの中を流れる小川なんですが、確かに猫のように見えますね!
by milletti_naoko | 2022-07-14 23:09 | Umbria | Comments(12)