イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

思い出の風景を絵に 写真家の友描きし絵うつくし 昔のペルージャ

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 昨日、思いがけず家に招いてもらって、昼食をいただいた友人、アントネッラの家で、彼女のお母さんが、「これは娘が描いたのよ」と言って、指さしてくれた絵がすてきなので、感嘆しました。

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Dipinto di Antonella Piselli, Perugia, Umbria 29/8/2022

 台所の壁の上の方に掛けてある、とても大きな絵です。このあと、描いた本人から、18歳のときに描いた絵だと聞いて、さらに驚きました。芸術高校を卒業した彼女が描いた多くの絵は、人に贈ってしまったものが多いために、手元に残る絵は、わずかなのだそうです。

 ペルージャの中心街にあって、幼い頃から、祖父母と共によく過ごしたというその思い出の菜園は、ずいぶん前に人手に渡ってしまったものの、ペルージャの町並みや遠くの山も見晴らせる美しい場所にあり、何より、懐かしい思い出がたくさんある場所だとのことです。写真家として知っていたわたしは、まさかこんなにもすてきな絵を、そんなにも若くして描いていたとは思いもしなかったのですが、おじいさんやおばあさんの表情、そして、猫たちや鶏などの動きや表情に、その頃から人や動物や風景や物事を、温かい目と細やかな感受性でとらえて、美しく表現していたのだなあと思いました。


 3年前に開催された女性写真展、Donna vede Donna「女が見る女」で、トラジメーノ湖を舞台に、アントネッラ・ピゼッリ(Antonella Piselli)が、「女性が神であったとき」(Quando le donne erano Dee)という主題のもとに撮影した5枚の写真に、わたしが俳句とイタリア語の短詩を添えることになったのがきっかけで、アントネッラと知り合うことができました。

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Lago Trasimeno al tramonto, San Feliciano, Magione (PG), Umbria 3/2/2022

 上の写真は、今年2月に、二人でトラジメーノ湖(Lago Trasimeno)の夕焼けを見に行ったときに、撮影したものです。


 写真展の作品の背後にあるアントネッラの構想や情熱に感嘆し、また、歴史の中における女性観の変遷などについて、同じように感じ、考えていることも多いことが分かり、彼女もわたしも、トラジメーノ湖とその夕景が大好きなので、自然と親しくなったのですが、知り合ってまもなく、感染下となってしまい、会える機会が少なくなったのが、残念です。

 先日の記事でご紹介した、夜景が格別に美しいこの階段は、

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Perugia, Umbria 26/4/2010

日中も眺めがすばらしく、階段の上からばかりではなく、

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こんなふうに階段を下っていっても、

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町並みや遠くの山々の緑を見晴らすことができます。

 そうして、わたしが12年前の春に撮影したこの写真で、右上に写っている教会の鐘楼が、冒頭でご紹介したアントネッラの絵でも右端に描かれています。

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 絵に描かれた場所は、この階段の途中にある入り口から入ったところにあるのだそうです。いつか再訪したいと思いながら、開園時間が限られていて、行けずにいるという、その友人の思い出の菜園を、いつか近いうちに、いっしょに訪ねることができればと願っています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2022-08-30 00:54
わぁぁぁ♪
18歳の時に描かれた絵なんてびっくりです。
本当に観察力が鋭く、描かれている生き物たちもいきいき。
おじいさんとおばあさんの表情もとってもいいですね。
すごい才能を持っていらっしゃるのだなーと、絵には素人ですがものすごく惹かれます。

以前の記事も懐かしく思い出しました。
真っ赤な湖をみつめるなおこさんの後ろ姿・・・♡
いいですね!
Commented by milletti_naoko at 2022-08-30 05:59
メイフェさん、動物も植物も、優しい眼差しで見つめて、描かれていますよね。二人の表情もすてきで、今撮影している写真に通じるものが多いなあと、改めて思いました。

覚えていてくださったんですね。ありがとうございます♪
Commented by PochiPochi-2-s at 2022-08-30 08:47
描いた人の優しい気持ちがこもっている絵ですね。
観ていてその優しさ、温かい気持ちが伝わってきます。
素敵な絵を見せてくださってありがとうございました😊

気持ちの通じ合う良い友人がいてnaokoさんは幸せですね。
Commented by nonkonogoro at 2022-08-30 09:16
本当に
温かい雰囲気の 素敵な絵ですね。
ブドウの棚?が いい感じですね。(#^^#)

Commented by cut-grass93 at 2022-08-30 10:19
添付の写真俳句の紹介を見せていただきました。
写真家とのコラボなんて素敵ですね。
イタリア人には俳句の直訳では理解しにくいのかもしれませんが。

34枚目の
Perugia, Umbria 26/4/2010
の写真、絵に描かせていただきたくお願いします。
家が10軒以上あるモチーフは難しくて
描けないのでいつも逃げているのですがチャレンジしてみたいです。
Commented by katananke05 at 2022-08-30 11:08 x
この写真家の書生のブログはよく覚えていますが
18歳の時の絵とは 驚きですね〜
暖かい目線の 濃やかな愛情をかんじられる 素敵な絵ですね〜
開園じかんとありますが 菜園はいまは こうえんになってるのでしょうか、、
Commented by koito_hari616 at 2022-08-30 11:45
こんにちは

アントネッラさんの絵は暖かい微笑みが有りますね
仰るように右上に教会の鐘楼が見えます
おじいさんの手に持つものは何だろうか?
おばあさんは何か作っておられるのだろうか?
ぶどう棚が有って白いバラが咲いている
幸せなひと時だったんでしょうね

過去ブログの記事も読ませて頂きました
世界中の問題ですね、ジェンダー問題

ご一緒に思い出の菜園を再訪出来たら嬉しいですね♪
Commented by harupita at 2022-08-30 11:55

こんにちは(*'▽')

女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から

見てきました。

写真と添えられた俳句が相乗効果で
写真の素晴らしさが伝わりますね。

女性の視点で女性を撮ると
豊かで逞しく生命力に満ちて
白い布も効果的ですね。

18歳の時に描かれた絵
細やかで、祖父母と共に過ごしたという思い出の菜園
が時を超えて

語りかけてくれますね。

素晴らしいご友人と、naokoさんの
関係、、お互いに高めあえる絆を
感じました。
Commented by uto2317 at 2022-08-30 20:35
 すごい素晴らしい絵ですね! 18歳でこんな絵を描けるなんて、信じられません。
 葡萄の木の下で、アヒルやニワトリや猫に囲まれて、後ろには素晴らしい丘の景色と
周りには白いばら…。
 のんびりしてるけれど、忙しい、こんな生活憧れます。

 それにしても、イタリアはこんな大きな絵が飾れるくらい広いキッチンの
家があるのですね。
 「最後の晩餐」も修道院の食堂に飾られていたのでしたっけ。
 日本では絵画は表向きの、人に見せるものというイメージなので、
やはり違いを感じます。
Commented by milletti_naoko at 2022-08-31 03:40
PochiPochi-2-sさん、こちらこそコメントをありがとうございます。

友人にすでに8人の方がコメントをくださって、みんなすてきな絵だと称賛していて、うち5人の方は趣味で自分でも絵を描かれているのだと言ったら、感動で言葉もないと、喜んでくれました♪
Commented by milletti_naoko at 2022-08-31 03:45
のんさん、ありがとうございます。
懐かしく温かいおじいさん、おばあさんと過ごしたときや、そのときの風景が、愛情を込めて描かれたすてきな絵だなあと思いました♪

おっしゃるようにブドウ棚、おそらくは実るブドウやしげる葉が見えるように、あえてこんなふうに内側が見えるように描いてあるのでしょう、いいですね。
Commented by milletti_naoko at 2022-08-31 03:52
草刈真っ青さん、リンク先の記事、写真と俳句も見てくださったんですね。ありがとうございます。

直訳ではなく、イタリア語としてリズムや響き、伝える言葉が詩となるように、わたし自身が考えて書いたんですよ。

ぜひどうぞ。石に似ている屋根瓦、きっと細やかに描かれることでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2022-08-31 03:54
katananke05さん、ありがとうございます。
共感してくださったと知って、うれしいです。

どうやら今は皆が協力して創り上げ、時には訪問もすることができる菜園になっているようです。
Commented by milletti_naoko at 2022-08-31 04:15
結うさん、こんばんは。

おじいさんは、ニンニクをヒモでつないで、吊るせるようにしているのだと思うのですが、おばあさんは…… 手にする青い布には袖があるように見えるのですが、裏地もあるようなので、繕っていたのかもしれませんね。

おばあさんが大切に育てていた黄色いバラが、みごとに大きく茂り、花を咲かせていてそれはきれいなので、画家たちがよく描きにさえ来ていたのだそうです。

過去記事も読んでくださったのですね。ありがとうございます♪

いつか二人で訪ねられる日が、早く来ますように。
Commented by milletti_naoko at 2022-08-31 04:26
葉流さん、こんばんは♪

過去記事も見てくださったのですね。ありがとうございます。
この日、アントネッラが、とある村での展示会のときに、学校の生徒たちを引率する先生が、彼女の写真が展示された部屋に子供たちと長い間とどまって、写真を見てどんなことが胸に湧き起こるかと生徒たちに尋ねていたのだと、教えてくれました。子供たちが伝えんとしていたことをしっかりととらえていたこと、そうしてそれは、あなたの俳句、詩の助けがあってこそでもあるのよと言ってくれて、うれしかったです。

18歳のときの思い出の絵も、女性をとらえた写真もすばらしく、こうして出会うこと、いっしょに作品を創り上げていく機会を得られたことを、ありがたく感じています。ありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2022-08-31 04:44
うと十三夜さん、共感してくださったと知って、うれしいです。
お義母さんが教えてくれなければ、ひょっとしたら友人自身は自分の絵だとは一言も言わなかったもしれなかったのですが、そうして教えてくれたときに、すてきな絵だなと驚いたところに、本人の口から、18歳のときに描いたのだと聞いて、さらに驚きました。実は絵は大きいのですが、台所自体はそれほどは大きくなくて、日本で言えば、長さに違いがある6畳ほどの広さの部屋の、その長さが短い方の壁いっぱいに、上の方に掛けてあるんです。

寝室には、お母さんに頼まれて描いたという絵もあって、自分や誰かのために楽しみに慈しんで描く絵、いいですよね。
by milletti_naoko | 2022-08-29 22:07 | Umbria | Comments(16)