冒険子猫と義父のやさしさ

　今朝ふと外を見ると、まだ小さい白い子猫が、ブドウ棚の上にいたので驚きました。

Perugia, Umbria 15/9/2022
　兄弟子猫は、地面にしっかり足をつけて、棚の下にいるというのにです。
　この白い子猫は、生まれたときから、病気のために片目がよく見えず、医者からは点眼液をも処方してもらったものの、それで完治するわけではないとのことで、皆が心配しながら見守っている猫なのです。

　わたしたちが暮らす二世代住宅は、急な斜面に建っているため、わたしたちが住む家は、このブドウ棚がある西の方に対しては２階にあるのですが、東に対しては庭の地面と同じ高さにあり、台所のテラスはすぐ庭に続いています。


　そうして、子猫たちは、生まれてからずっと、このブドウ棚の立つ庭や畑で生活していました。それが、昨日になって初めて、この白い子猫が我が家の台所の窓のすぐ外まで、お母さんのミケくんといっしょに来ていたので、驚いていたところでした。

　かと思ったら、もうこんなに高いブドウ棚まで登ってしまうとはと感嘆しつつも、一つの目でしかよく見えないのに、きちんと下りられるのだろうかと心配になり、しばらく見守っていました。
　冒険を楽しんだあとは、どうやら地面に下りようとするのに、下りられずに困っている風情です。

　すると、畑からやって来た義父が、猫の目を見ながら、「おいおい、昨日もそこに登って、下りられずに困っていたから、腕に抱えて下ろしてやったのに、今日もまた登ったのかい。じゃあ、今日は一人で下りるんだよ。」と言います。そうして、じっと猫を見つめています。
　優しい義父は、今日も子猫を地面に下ろしてやったのですが、さて、子猫はいつか自分で下りることができるようになるでしょうか。それとも、義父がやって来てくれることを楽しみに、これからもこうしてブドウの木に登ってみるのでしょうか。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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