イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02403954.jpg
 トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)に浮かぶ3島のうち、最も大きく自然が豊かなポルヴェーセ島(Isola Polvese)行きの公共の船の便は、例年、春分の頃から秋分の頃までのみ運航されています。毎年、秋に最後の便が出る頃には、島の岸辺近くを通る小道に、秋咲きの自生のシクラメンがたくさん咲いて美しいこともあり、船が出ている間に、島を訪ねるようにしています。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_01543274.jpg
Isola Polvese & Lago Trasimeno, San Feliciano, Magione (PG), Umbria 24/9/2022

 今年は明日、9月25日日曜日で船の便が終わり、ペルージャやトラジメーノ湖周辺では、今日の午後から来週水曜日まで、雨の予報が出ていたため、今日の朝、サン・フェリチャーノ(San Feliciano)から船に乗って、ポルヴェーセ島に行くことにしました。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02270889.jpg

 船が港を離れてしばらくすると、まずはサン・フェリチャーノの町並みが前方に、さらにしばらくすると、左手に、モンテ・デル・ラーゴのある岬とその町並みが小さく見えてきます。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02285606.jpg

 そして、右手には、サン・サヴィーノの中世の城塞と町並みが見えてきます。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02305701.jpg

 ポルヴェーセ島までは船で10分なので、すぐに島が近づいてきます。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02314149.jpg

 前方に、ポルヴェーセ島の中世の城塞と港が見えてきました。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02323116.jpg

 島に着いてからは、いつものように、まずは時計回りに、古城跡へと小道を歩いて行きました。すると道沿いに、これまでにはなかったクロサイ(rinoceronte nero、学名 Diceros bicornis)の像があります。今年6月に、島で見つかった自然の素材を使って、アントーニオ・マッサルット(Antonio Massarutto)がつくった実物大の像であると、近くに説明を書いた看板がありました。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02394843.jpg

 そのあとは、中ががらんとした城塞の中に少しだけ入ってから、散歩を続けたのですが、

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02403954.jpg

 城塞の塔の右手にある壁の高みにも、赤い鳥と思われる芸術作品が、まるで本物の鳥であるかのように置かれています。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02422390.jpg

 おそらくかつて、船で湖に乗り出すのに使われていたと思われるところが、水位が浅くなった今は、背の高い草に覆われています。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02421456.jpg

 こちらの花にきれいな蝶が止まっていたのですが、わたしがカメラを構えている間に、飛び去ってしまいました。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02450364.jpg

 島の北の端へと、西の岸辺に沿ってさらに小道を歩いていくと、数年前から秋によく見かけるようになったこちらの黄色い花が、

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02463743.jpg

あちこちにたくさん咲いています。花の数も咲く場所も、年々増えていっているように思います。

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02471058.jpg

 秋咲きの自生のシクラメン(ciclamino selvatico)は、島ではかつては秋に、もっぱら北東の岸辺を歩いているときに一面に咲くのをよく見かけていたのですが、今回は、北西の岸辺でも、あちこちで花を見かけました。一方、上の黄色い花は、以前は、島の北西でだけ見かけたように思うのに、今日は、北東の岸辺にも咲いていました。

 こうして島の北端に着いてからは、二人でしばらく石の上に腰を下ろして湖を眺めたのですが、そのあと、夫はしばらくその石の浜に残り、

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02514852.jpg

わたしは久しぶりに、岸辺の小道を、南東の端まで歩いていきました。最近は夫と二人で歩くと、この南東の端へと岸辺を歩いていく代わりに、北端から島の高みへと登って、元修道院跡などを訪ねることが多かったためです。

 空は曇っていましたが、葦の穂の向こうに見えるビーチパラソルがキノコのようで、

シクラメン咲き葦の穂風に揺れる秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖_f0234936_02574051.jpg

早くも紅葉した木もあり、島のあちこちで、秋らしい風情が感じられました。

 例年であれば、天気のいい日に訪ねて、沈む夕日を島あるいは帰りの船から見送ったり、夕景を楽しんだりするのですが、この秋は、旅行に出かけたり用事や仕事があったりして、島に行けずにいる間に、最終便が出るのが明日となってしまい、今日の午後や明日は雨の予報が出ているために、曇り空ではありましたが、今日訪ねました。散歩中もたまに少しだけぱらついた雨は、わたしたちが昼食を終える頃からどしゃ降りになったのですが、幸いそれほど濡れることもなく、帰途につくことができ、今年の秋も島をこうして訪ねることができて、本当によかったです。

*******************************************************************************************
Isola Polvese in autunno,
fiori di ciclamini selvatici & spighe di canna,
opere d'arte, uccelli & rinoceronte nero al castello.
Isola Polvese, Castiglione del Lago (PG), Umbria 24/9/2022
*******************************************************************************************

Link agli articoli correlati / 関連記事へのリンク
Isola Polvese in autunno / 秋のポルヴェーセ島
- ポルヴェーセ島の秋と夕焼け、トラジメーノ湖 (2018/9/30)
- 船で初秋のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖 (2019/9/20)
- 湖を船でシクラメン咲くポルヴェーセ島へ、トラジメーノ湖 (2021/9/22)
Isola Polvese in primavera / 春のポルヴェーセ島
- 天国に近い島、トラジメーノ湖 ポルヴェーセ島 (2018/4/20)
- 春は花咲き鳥憩うポルヴェーセ島、ウンブリア (2019/4/1)
- 久しぶり花と緑のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖 (2020/6/19)
- 久しぶりの散歩うれしいポルヴェーセ島、トラジメーノ湖 (2021/5/6)
- 花と緑彩り光満ちる春のポルヴェーセ島、トラジメーノ湖 (2022/4/5)
 夏に睡蓮が美しかったときやもっと以前に訪ねたときの記事もあるのですが、晴れた日の夕景と、春や秋は年によって咲く花が違う様子、水位が高かったことが分かるからと、この数年に絞ってリンクを載せてみました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

ブログテーマ:9月26日はくつろぎの日
Commented by cut-grass93 at 2022-09-25 09:15
夾竹桃がイタリアにもあることに驚きました。
というとイタリア人は多分「日本にも夾竹桃があるんだな」
、というでしょうね。(^^♪

以前ギリシャでシクラメンが雑草として普通に道端に生えている姿を見て驚きました。
そちらではスミレとかタンポポみたいなものなんですね。
Commented by harupita at 2022-09-25 10:03
おはようございます。
ポルヴェーセ島への船の便が終わらにうちに自然豊かな島へ
行けてよかったですね。

秋咲きのシクラメン、色も優しく美しいですね。
10分で着くなんて
鹿児島市から桜島より少し
近いくらいかな?

私は鹿児島育ちなので桜島へは良く船で出かけていました。小さな船旅が好きでしたね。

お花がたくさん咲いて
美しい島ですね。
クロサイの像、自然の素材で
雰囲気をとらえていますね。

蝶が止まっている花は
私がアサギマダラを撮影した「フジバカマ」に似ています。フジバカマはあらゆる蝶に大人気なのですよ。

今年もお二人で島を訪問出来て自然に触れあえて良かったデスネ。葉流
Commented by koito_hari616 at 2022-09-25 10:58
こんにちは

クロサイは彫刻なんですか?
流木で作られていると思ってしまいました^^

野生のシクラメンもこの色は大好きです♪
お花が沢山ですね
Commented by milletti_naoko at 2022-09-25 14:54
草刈真っ青さん、同じ植物がイタリアと日本に昔からあることもあれば、シクラメンのようにイタリアでは自生の花がある場合もあって、おもしろいです。シクラメンには春に咲く自生の花もあるんですょ。ご覧になったことがあるんですね。
Commented by milletti_naoko at 2022-09-25 16:40
ありがとうございます。30人以上の団体での宿泊の利用があれば、アグリトゥリズモで船も調達して島に行って過ごすことができるとのことなのですが、感染が秋・冬には増えやすいこともあり、やはり行けるのは来春になってしまいそうなので、実は今年は2度目のように思うのですが、行くことができて、本当によかったです。

シクラメンは確か春の花の方が色が深く、香りもあるように思うのですが、秋の寂しい緑の中に群れ咲く花を見るのが、いつもうれしいです。

桜島も船ですぐ行ける距離にあるんですね。短い船旅は航海の間、風景を集中して楽しめていいですよね。九州は一度だけ訪ねたことがあります。壮大な美しい自然が印象に残りました。
Commented by milletti_naoko at 2022-09-25 16:47
結うさん、説明の看板に彫刻とあったので、わたしもおかしいなあと思いつつ、記事にそう書いてみたのですが、少なくとも日本語では、こうして組み立てたものは、彫刻とは言いませんよね。ありがとうございます。像と、言葉を改めました。

淡いピンク、きれいですよね。
Commented by yuta at 2022-09-25 21:01 x
いつも見る風景も船から見ると新鮮でしょう。
クロサイの像おもしろいですね。
Commented by milletti_naoko at 2022-09-25 23:45
yutaさん、船からだけ楽しめる眺めというのがあって、それも島に行く楽しみの一つです♪

クロサイの像、足が細くもあり、均衡をきちんと取って同じ姿勢で立ち続けられるようにするのは、かなり大変だったのではないかと思います。今日の昼食時に会った義弟によると、今回わたしたちが訪ねなかった元修道院跡にも、何か展示が残っていたはずだとのことなのですが、残念ながら今もどしゃぶりの雨が降っています。
by milletti_naoko | 2022-09-24 22:31 | Umbria | Comments(8)