イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

表情生き生き庶民の暮らし巧みに表すアッシジ プレゼーペ

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 12月26日、イタリアでは国民の休日だった聖ステファノの日に、アッシジで聖フランチェスコ大聖堂を訪ね、駐車場に戻ろうと、

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Assisi (PG), Umbria 26/12/2022

光の雪降る中心広場を再び通りかかったとき、

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大がかりで、細部までていねいに作られたみごとなプレゼーペ(presepe)があったことについては、



翌日のこちらの記事にも書いているのですが、このプレゼーペが本当によくできていて、見ていて楽しかったので、今日はさらに詳しくご紹介します。

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 幼子イエス(Gesù bambino)と聖母マリア、聖ヨセフは、大きなプレゼーペ中央のてっぺんにいて、その頭上では天使たちが音楽を奏で、1月6日の主顕節(Epifania)に長旅の末にようやくたどり着いて幼子イエスに拝謁した東方の三博士(tre Re Magi)も、すでに聖家族のそばにいます。

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 三博士に同行して遠い国からやって来た音楽隊の人々は、それぞれに手に持つ楽器はもちろん、表情やヒゲのあるなしまで、さまざまです。そうして、岩穴から、ワンちゃんがこちらを見つめています。

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 楽器の演奏は牛が引く車の上とその前でも行われ、踊る女性もいて、こちらは服も顔立ちもかつてのイタリアの地方の暮らしを再現しています。

 牛の大きな瞳がつぶらでかわいらしいです。

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 前回もご紹介したパンの生地をこねる女性の前には猫がいて、その奥にいるワインを楽しむ男性たちの傍らには、やはりこちらを興味深げに眺める犬がいます。

 その右手では、おばあさんが栗を焼くのに忙しそうです。

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 パンをこねる女性の後ろでは、すぐにパンを焼けるようにと、火が燃えさかる窯の前で待つ男性がいます。よく見ると、近くの壁にトマトやニンニクばかりではなく、ニワトリらしきものまで吊り下げられています。

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 パン焼き職人が働くその上には、なんとワニを縛って背負う男性がいます。そうして、その隣の家の屋根には鳥たちがいて、バルコニーから女性が野菜らしきものでいっぱいのカゴを、ひもを使って下方へと下ろしています。その女性の左手にも犬がいます。

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 先ほどの栗を焼く女性の右手では、若い女性が野菜と果物を売っているようなのですが、その果物や野菜、トマトやリンゴ、カボチャ、そしてヒラウチサボテンの実までが、極めて小さいと言うのに、驚くほど本物そっくりです。採れる季節の異なるサクランボとカボチャがいっしょに並んでいたりはするのですけれども。

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 自分で織ったらしきテーブルクロスを売る、笑顔のすてきな女性がいて、その後ろでは、男性がチーズやサラミを売っています。その右にいる漁師たちもそれぞれに個性があっておもしろいのですが、魚もまるで本当の魚のようです。

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 よくできているなあと、夫と二人で前に立って、細部を見たり、全体を見渡してみたりして、楽しみました。

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 こちらの写真では、後方に、東方の三博士の一行の象ややんごとなき身分と思われる女性も写っています。

 わたしたちがこのプレゼーを見ようと入り口から入ったときには、窓ガラスの前に人だかりができていて、その人たちの頭越しでないと見られない状況だったのですが、しばらくすると皆立ち去ってしまったので、ゆっくりと撮影することができました。

 こうして中心広場でみごとなプレゼーペを鑑賞してから、再び夜のアッシジの町の坂道を、車を駐車した門の向こうを目指して、ひたすら登っていったのでありました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:11月1日は犬の日
Commented by getteng at 2023-01-04 00:15
milletti_naokoさん
初めまして、広島のgetteng(げってん)と申します。
このプレゼ-ペは見事なものですね。
当地の世界平和記念聖堂には約60年前にイタリアから寄贈されたものがあります。
12月24日付の記事・写真をご参照ください。
Commented by nonkonogoro at 2023-01-04 07:57
本当に素晴らしい作品ですね。
私は年末に たつの市で 素敵なジオラマを
見てきましたが これも傑作ですね~(#^^#)
こういう細かい作業のできる人は
本当に尊敬します~
Commented by cut-grass93 at 2023-01-04 09:18
これはすごいですね。
20mぐらいありそうですね。
キリストの生誕からクリスマスの何気ない
日常の生活まで克明に作られていて
動作にスキがないですね。
恐らく大変な大勢で制作したのでしょう。
Commented by Kazeango at 2023-01-04 10:21
本当に人形が今にも動き出しそう。イキイキしていますね。

ところで、この聖誕人形ですが、最近はpresepioではなくてpresepeと言うのが一般的なのですか?
他の方のところでもプレセーぺって書いてありました。
私の伊和辞典では(30年以上前の)presepe→presepioを参照となっていて、主はpresepioの様ですが。
私、自分の記事ではpresepioって書いてしまったので、昔の人になってしまったかしら?
ちょっと気になったので質問してみました。お時間のある時に教えて下さい。拝
Commented by zao480 at 2023-01-04 11:39
あけましておめでとうございます。毎度の年末年始のバタバタでご挨拶が出遅れてしまいました。
ものすごく細かく作られた素晴らしいプレゼーペですね。珍しい楽器や人々の衣装、牛車の装飾まで丁寧に作られていて見事です。イタリアの年末年始は楽しいですね。
今年もよろしくお願いします。
Commented by koito_hari616 at 2023-01-04 12:16
あけましておめでとうございます

アッシジのプレゼーベの細部を見させて頂きました
ありがとうございます
三人博士の煌びやかな衣装、市井に生きる人たちの
日常の仕事。。そして、naokoさんも仰っていた
自分が織った布地を上を向いて笑顔の女性の姿が
本当に幸せな気分になります

これからも宜しくお願いいたします
Commented by pintaro23 at 2023-01-04 15:58
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

なおこさんがアップされるイタリアの風景を懐かしさと
共に拝見しています。
コロナ禍で暫く海外に行っていないので、早く安心して
旅行ができる環境になって欲しいです。

ご主人様と健やかで幸多き年となりますように
お祈り申し上げます。
Sabio
Commented by katananke05 at 2023-01-04 21:09 x
あけましておめでとうございます〜

このプレゼーペは素晴らしく精巧で
立派なものですね〜
だいたい 一体の人形は何センチくらいなのですか?
来てる着物は頭に巻いてるベールのようなものやスカートなど
布のように見えますが
みんな粘土でできているのでしょうか? それだと本当に精巧ですね〜
長さも高さもおおきなものですか?
出すだけでも 大変でしょうね〜
素敵なもの見せて頂き
ありがとうございます〜
Commented by milletti_naoko at 2023-01-05 03:19
gettengさん、はじめまして。ありがとうございます。広島の世界平和記念聖堂には、なんとそんなにも以前にイタリアから寄贈されたプレゼーペがあるのですね!
Commented by milletti_naoko at 2023-01-05 03:24
のんさん、イタリアではそれぞれに趣向を凝らしたすばらしいプレゼーペを見かけることはよくあって、動くしかけがあったり、日が昇ったり沈んだりする様子を光や色を使って表現したりしている場合もあるのですが、ここまで細やかに細部にまでこだわっているのは、みごとだなあと感嘆しました。
Commented by milletti_naoko at 2023-01-05 03:29
草刈真っ青さん、日常生活やいろんな職業も描く大がかりなプレゼーペは何度も見たことがあるのですが、このアッシジのプレゼーペは、人形にも風景にも個性と独創性があるのがいいなあと思いました。あちこちに犬や猫、鳥など、動物たちがいるのもおもしろいです。
Commented by milletti_naoko at 2023-01-05 05:23
未来子さん、それぞれの表情やしぐさにとても個性もあって、いいなあと思いました♪

どうもpresepioとpresepeは昔からどちらもある語形らしく、こちらの記事を斜め読みすると、
https://accademiadellacrusca.it/it/consulenza/si-dice-presepio-o-presepe/932
イタリア語の父の一人と言われる二人、14世紀のペトラルカや近代のマンゾーニの二人ともが、どちらの語形を使っているそうで、ラテン語の時代からすでにこの二つの形があったそうです。時代によって、あるいは使う文脈や指すものによってはどちらかの語形がより好まれたということも上の記事には書いてあるのですが、わたし自身は、presepioという言葉は歌の歌詞や展示会の名前として、あるいは日本に暮らしていた頃に目にしたくらいで、地域差もあるのか、ウンブリア州のわたしの周囲では、皆がpresepeという語形を使っているように、少なくともわたしが耳にしている範囲ではそんな気がします。また時間があるときに、リンク先の記事全文をじっくり読んでみますね。
Commented by milletti_naoko at 2023-01-05 06:39
zao480さん、ありがとうございます。
どうかよき新年をお迎えくださいね。
こちらこそ今年もよろしくお願い申し上げます。
独創性にあふれ、細部までていねいに作られていてすばらしく、見るのが楽しかったです♪
Commented by meife-no-shiawase at 2023-01-05 13:46
プレゼ-ペ。
どれもお写真拡大して拝見しました。笑。
なんというかこちらはとても神聖なものだとは思うのですが
子供の頃に遊んでリカちゃんを思い出すというか・・・
なんとも心をくすぐる可愛いものがいっぱいで・・・

笑顔の素敵な女性とか・・・
今にも優しい声で語りかけてきそうなリアル感もありますね。

ずっと観ていたくなります。
Commented by milletti_naoko at 2023-01-06 05:26
メイフェさん、ありがとうございます。
作った人もきっと、見る人に楽しんでもらおう、笑顔になってもらおうという気持ちで作ったのではないかと思います。
かわいいものがいっぱい、まさにおっしゃるとおりです♪
by milletti_naoko | 2023-01-03 23:47 | Umbria | Comments(15)