イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

機が熟すときを知るやペルージャ公園のハト

元旦は、久しぶりにカメラを手に、ペルージャ市民の散歩コースでウォーキングをしました。

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Percorso Verde, Perugia, Umbria 1/1/2023

 するとこの日も、道にハトの大群が集まって、皆でオークの実を食べているところをよく見かけました。

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 道の真ん中で食べているのですが、わたしが近づくと、さすがにこうして一斉に飛び立ってしまいます。

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 けれども、たびたび飛び立って河岸を変えるのに飽きたからか、人がかなり近づくまでは、一心に実を食べています。

 1週間ほど前から、こんなふうに、たくさんのハトたちが一斉にオークの実を食べるのを見かけることが増えてきました。けれども、オークの実自体は、すでに11月頃から落ち始めていて、その頃から場所によっては砂利道でも、砂利よりもその上に落ちたオークの実の方が多いほどでした。


 11月7日、ウォーキング中に出くわしたイノシシも、オークの実が目当てで、市民が大勢歩く散歩道まで遠征してきたのではないかと思います。

 場所によってはあまりにも道いっぱいに実がたくさん落ちているので、市はいったいどうやって掃除をするつもりだろうと、ずっと考えていたのですが、ハトたちが、実が落ち始めてから2か月経った今になって、ようやく動き始め、いえ、食べ始めたのでありました。

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 どうして今になってと、最初はそういぶかっていました。けれども、道や地面に落ちているオークの実を見て、「しばしば雨が降り、大勢が通り過ぎて踏みつけたあとでは、木の実の皮が割れ、柔らかくなっていて、ようやく食べやすく、おいしくなってきたのではないか」と思い至りました。

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16/11/2022

 落ちたばかりの木の実はまだ固く、クチバシでつついて割るのは大変だった、いえ、ひょっとしたら不可能でさえあったことでしょう。

 目の前に落ちている木の実を、2か月の間、手軽においしく食べられるまで待って、今になって食べるハトたちの賢さと忍耐を思いました。先輩のハトが教えてくれたのかもしれませんし、時々試してみてまだ固いなあと思い、それでもあきらめずに時々試みて、今ならおいしく楽に食べられることに気づいたのかもしれません。ざっと調べただけでは、機が熟すまでハトが実をつつかずに待つことについて書いた文が見つからなかったので、以上はあくまでわたしの推測です。

 推測ではあるのですが、時には目の前に宝や絶好の機会が転がっているように見えても、機が熟すのを待つ必要と、その熟した機をうまくとらえることの大切さを、ちょうど年の初めにハトが教えてくれたように、そんなふうに思いながら、新春の散歩道を歩いています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ: 【お年玉プレゼントキャンペーン】年末年始・新春の一枚 2023
Commented by nonkonogoro at 2023-01-05 08:50
ハトがオークの実をついばむ光景から
深い教えに至った naokoさんは
なんて哲学女子なんでしょう(笑)

オークの実というのは
どんぐりのことなんですね。

確かに ハトの咀嚼力では
この皮は 硬すぎるのでしょうね。

実はわたしも
数年前 公園の渋柿の木を眺めていて
驚いたことがあります。

公園の柿は渋柿なので
今でも たくさんの実が木についたままの状態です。
それが ある日 急にカラス軍団が現れて
あっという間に 甘くなった柿を
食べつくしてしまうのです。

なんて 賢いのでしょう。。。

我が家の渋柿化した柿の実も
木のまま 甘くなった数個以外は
まるで 手をつけられていませんが
甘くなったとたんに 野鳥が食べにきます。

一応 つっついてみてるのかもしれませんね。
私も 先日 うちの渋柿をちょっと味見したら
まだ 渋かったでsく(笑)


Commented by cut-grass93 at 2023-01-05 13:45
2か月食べるのを我慢するってすごいですね。

または、鳥の勘ではないのかなと思ったりします。
海岸に打ち上げられたフグを野鳥は絶対に食べないと聞いたことがあります。
食べ物を探すのが生活の大部分である動物は
食べて悪いモノ、大丈夫なものを匂いとか勘で
かぎ分けているのかもしれないと思っています。
Commented by meife-no-shiawase at 2023-01-05 14:06
鳩の賢さにも凄いなーって思いましたが
それを観察されているなおこさんもすごいなーって思いました。笑。
動物たちの本能というか生きるチカラはすごいですね。
生き物たちが愛しいなって思います。

機が熟すのを待つことも大事。
ほんとに鳩たちに教えられましたね♪
Commented by milletti_naoko at 2023-01-06 06:19
のんさん、哲学女子だなんて、ありがとうございます。
ごろごろ落ちた実はたくさんの小石と混じってしまって、これはどうやって掃除をするのだろう、まさか放置するのかしらと思っていたら、鳩たちが食べ始めたのを見て驚いて、合点がいきました。

オークの実を見ては夫がghiandaと言うので、わたしは辞書も調べずに、木の実のうちのある特質を備えた実のことをそう呼ぶのだと思っていました。のんさんのコメントで辞書などを調べてはじめて、どんぐりのように帽子をかぶった実をそう呼ぶのだと、要するにどんぐりなのだと知りました。ありがとうございます!

なるほど渋柿でも、鳥たちは、おいしくなるまでじっと待っていて、機をうかがっているんですね! そう言えば義父も、そのままにしていては野鳥が食べてしまうからと、渋柿が甘くなる前に収穫することが多いように思います。リンゴやサクランボなどは、食べもしないで、つついて落としてしまうので困ることもあるのですけれども。
Commented by milletti_naoko at 2023-01-06 06:33
草刈真っ青さん、そんなことがあるのですね!
生き抜くためにはどうすればいいのか、動物はきちんと知っているのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2023-01-06 06:35
メイフェさん、ありがとうございます。
一時期は、足もとで実がごろごろして歩きにくいときさえあって、このまま放置されてしまうのかなあ、片づけるのも小石と混じっているので大変だけれどと、ずっと考えながら歩いていたので、最近になってハトがたくさん食べ始めたのを見て、歩きながら考えたんです!

機が熟すのをじっと待って、その機会が来れば逃さない、鳩たちの忍耐と観察力に学びたいです♪
Commented at 2023-01-09 08:32
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2023-01-09 20:33
鍵コメントの方、こんにちは。
そうなのですね! わたしが見ていない間にも、鳩たちは何度も、そうすると、もう食べられるだろうかと、実をつついていたのでしょうね。

生きていくための鳥たちの知恵といつまでも繰り返す試行錯誤、鳥たちの根気に倣いたいものです。
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by milletti_naoko | 2023-01-05 00:14 | Umbria | Comments(8)