イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

春の日にきらめく湖を船でポルヴェーセ島へ

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 4月6日木曜日は、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)に浮かぶ自然の豊かな島、ポルヴェーセ島(Isola Polvese)を訪ねました。

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San Feliciano, Magione (PG), Umbria 6/4/2023

 午後4時半出発の船で、サン・フェリチャーノ(San Feliciano)の船着場からポルヴェーセ島へ向かいます。島には約10分で到着します。港に切符販売所があるのですが、この日は閉まっていたので、切符は乗船中に係の人から購入しました。二人分の往復料金が12ユーロで、22ユーロを用意したのですが、できればカードで支払ってくださいと言われたので、キャッシュカードで払いました。

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 島に着いてからは、いつものようにまずは岸辺沿いの散歩道を、時計回りに歩いていきました。北風が吹き荒れて寒い上に雲の多い日が続いたあと、この日は風が少し収まって、午後には晴れ間も見えるという予報が出ていました。この日は午前中の勤務で、午後2時過ぎに昼食に戻る予定だった夫に電話して、ポルヴェーセ湯に行きましょうよと、わたしが誘いました。

 空が曇っているからか、花が半分閉じてしまっています。

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 オーニソガラムの花が、野原のあちこちで元気に咲いていました。イタリア語名は latte di gallina「鶏の乳」です。

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Google Maps

 いつもであれば、中世の城塞跡やその少し先にある波止場の跡にも立ち寄るのですが、この日は夫が午後6時10分の船で帰ろうと言うので、島の北の端まで、時々足を止めながらもまっすぐに歩いていきました。

 (上の地図で、わたしたちが歩いた道を示す青い線が湖の上にも続いているのは、船に乗り込んで席に着いたときに、スマートウォッチに「屋外ウォーキング終了」の指示を出すのをうっかり忘れてしまったためです。)

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 道の真ん中にも雑草が生い茂っていることにとまどいながら歩いていくと、島の北端が近づき、湖の北の岸近くに浮かぶマッジョーレ島とミノーレ島が前方に見えてきました。

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 今年も咲いているだろうかと楽しみにしていたアイリスの花は、いつになく花盛りで、その右には、背の高い野生のアスパラガスがあったのですが、先端は誰かが摘み取ってしまったようです。

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 石の浜まで歩いていくと、青い空と白い雲が、穏やかな湖面にきれいに映っています。

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 日の光は湖面でも揺れるようにきらめいています。

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 かつて名高い建築家が設計したという石の腰かけにはひびが入り、草が生い茂っていましたが、かわいらしい野の花もたくさん咲いていました。

 いつもならこの北端の石の浜で、ゆっくりと日差しを浴びたり、眺めを楽しんだりするのですが、この日はしばらく風景を眺めてから、島の北東の岸辺を歩き始めました。

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 時々こんなふうに、東の湖畔の村、モンテ・デル・ラーゴ(Monte del Lago)がきれいに見えるところがありました。残念ながら、北東の岸辺を歩いても、倒木がそのままになっていたり、ムクドリの大群が木々を枯らしてしまった跡が見えたりして、大好きな島が放置されているのが明らかです。

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 そこで、残り少ない島での時間をより楽しめるようにと、島を一周するのはやめて、途中から島の高みへと登っていくことにしました。

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 オリーブの古木の間を通って、元修道院跡を訪ねます。

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 長年島を愛し、農場や宿・レストランを経営していた家族が、ペルージャ県が契約を更新せずに他の業者に施設を貸すことになったために島を後にしてしまい、そのレストラン跡では、ラベンダーや藤の花はかつてのように咲いているものの、気のいい仕事熱心な夫妻に会うことはできません。

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 このあとは、丘の高みを通って、古城や湖の眺めを楽しみながら、港へと向かいました。

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 わたしたちが港に着いてまもなく、船がこちらへと向かってきました。

 13年前にわたしがこのブログを始めたとき、最初の記事には、このポルヴェーセ島での散歩について書きました。ポルヴェーセ島行きの公共の船の運航は、例年春から秋にかけてで、わたしたちはほぼ毎年、春に船の運航が再開するとポルヴェーセ島を訪ねて歩いているので、この島を散歩するのも、大切な春の行事の一つです。

 島の手入れがいつになくなおざりになっているのが残念でしたが、美しい緑と湖の風景を楽しむことができて、うれしかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:春を感じる1枚
Commented by yuta at 2023-04-09 02:58 x
春らしい花が咲いた島、そして島からののどかな景色、
これは行くべきですね。 ^~^
Commented by milletti_naoko at 2023-04-09 05:52
yutaさん、もうしばらくしたら真っ赤なひなげしも咲き始めて、さらに野が色づいて美しいことと思います。

夕焼けも美しいんですよ。機会があればぜひ♪
Commented by cut-grass93 at 2023-04-09 09:26
今は無人島になっているのでしょうか。
こんな小さな島でも中世には修道院や立派な建物があったのですね。
考え方によっては外敵に攻められることはなさそうだから都合がよかったのかも。
Commented by ciao66 at 2023-04-09 15:11
美しい島の景色なのに、
雑草が茂って、ベンチにひびが入って放置されたり、
お役所のせいで、素敵だったお店が無くなっているとは!
ご説明が無ければ、判らないことですが、
とても残念な状況ですね。
何とかならないものかと思いました。
Commented by harupita at 2023-04-09 16:02

 なお子さん

こんにちは。
船の運航は春から秋までなのですね。13年前にブログを始めた時の思い出のポルヴェーセ島ですね

色々な花が咲き
元修道院跡も美しいですね。

どのフォトも美しいけれど一番最後の白い雲が水面に映りこんでいるフォトが特に心に残ります。

美しい緑と湖の風景・・しっかり伝わります。ありがとうございます。葉流
Commented by blackfacesheep2 at 2023-04-09 20:04
陽射しがもう初夏の雰囲気ですね。
やはりイタリアは太陽の溢れる場所なのでしょうか。
英国人やドイツ人がイタリアに憧れるのも無理はないってことなのかも。
もうラベンダーが咲いてますか・・・
愛知県では6月にならないと咲きませんよねえ。(;・∀・)
Commented by milletti_naoko at 2023-04-10 06:31
草刈真っ青さん、県から仕事を請け負って島の管理をする人が一人、そうして、今は立ち去るを得なくなってしまった子供が一人いる宿を営む夫婦も、今までは島に住んでいましたし、数年前までは他にも宿やバール、レストランがあって勤める人がいたのですが、今はかつていた人が去ったのに、新しく仕事を始めなければいけない人や業者がまだ入っていない状況で、無人島のようになってしまっていました。私たちは今回行かなかったのですが、機能しているバールが一つあるのではないかとは思うのですけれども。

昔は確か二百数十人の人が暮らしていたとどこかで読んだ記憶があるのですが、定かではありません。
Commented by milletti_naoko at 2023-04-10 06:35
ciao66さん、そうなんです。残念なのですが、訪ねるたびに、以前の方がよかったと思うことが近年多くなってきた気がしています。

庶民でも行きやすかった宿やレストランの代わりに、お金持ちしか利用できないような施設ばかりになってしまわないことを願っています。今回契約を得ることができた業者は、二つの建造物を利用できることになったそうなのですが、すでにかつて港近くのレストランを経営して、あまり結果が芳しくなかったように思うので、とても残念です。
Commented by milletti_naoko at 2023-04-10 06:39
葉流さん、こんばんは。
観光客が多いのが、暖かく過ごせる春から夏にかけてなので、その時期だけ運行されるのだと思います。

かつて植えられていたローズマリーや、もう少ししたら咲き始めるひなげしに会えなかったのは残念でしたが、野の花やラベンダーの花が見られて、うれしかったです♪

ありがとうございます。穏やかな湖面に空や船が映り込む様子がきれいだなあと思って撮影しました♪
Commented by milletti_naoko at 2023-04-10 06:53
黒顔羊さん、北風が吹いているし気温が低いから寒いと渋る夫に、日を浴びて外の空気を吸った方がいいわよと言って、いっしょに出かけました。以前はよくあちこちに出かけて外を歩きたがった夫が、最近は家の中で悶々とあれこれ考え悩むことが多いからです。

快晴との予報どおり、おっしゃるように暖かい日差しに満ちていて、ひなたはぽかぽかと暖かいほどでした♪ 北欧は寒く冬が長いので、南下したくなる気持ち、わたしも分かります。イタリアに暮らす夫でさえ、冬は暖かい南米などに行きたいなどと言っていますから。

このラベンダーは5月にトスカーナのエルバ島で山に咲くのを見たので、早咲きだと思います。

ちなみにうちにはどういうわけか、秋も冬も通して、今も外の庭で咲き続けているラベンダーがあります。わたしたちもラベンダーは夏に咲くものだと思っていたので、驚きました。品種にもよると同時に、気候にもよるのでしょうね。
Commented by goodlifegirl at 2023-04-10 14:40
色々な花が咲いて、ゆったりとした時間が流れているような島ですね♪
湖面に日の光が反射している写真、好きです。
どの写真も自然美に溢れていて、心が癒されます(^^♪
ステキな春の行事ですね!
Commented by milletti_naoko at 2023-04-10 21:32
goodlifegirlさん、春の日差しと野の花、穏やかな湖の眺めを楽しみながら歩くことができました♪

ありがとうございます。わたしもきらきら光りながら揺れる湖面がきれいだなあと思って撮影しました。湖面が明るく輝いた次の瞬間にはもう光が弱くなることもあるので、早撃ちガンマンのように頑張って撮影しました。
Commented by meife-no-shiawase at 2023-04-10 23:11
湖に景色が映っているのがとても美しいです。
空もまた水彩画みたいですね。
美しい景色を寝る前に拝見して、今日は穏やかに眠れそうです~。
こんな美しい湖にゆったりと浮かんでいる水鳥ちゃんは幸せそう。
Commented by milletti_naoko at 2023-04-11 20:05
メイフェさん、ありがとうございます。
空を映して青い湖がとてもきれいでした♪
トラジメーノ湖はイタリアの湖の中でも、自然に恵まれているために、水鳥の種類や数がとりわけ多いのだそうです。
by milletti_naoko | 2023-04-08 23:43 | Umbria | Comments(14)