イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ

 ウンブリア州の北、ウンベルティデの山あいの村、プレッジョ(Preggio)の教会には、聖なる棘(Santa Spina)が祀られています。聖なる棘はキリストの聖遺物で、キリストが十字架にかけられる前に、ローマの兵士にかぶらされたいばらの冠の棘です。

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ_f0234936_23054743.jpg
Festa della Sacra Spina, Preggio, Umbertide (PG), Umbria 11/4/2023

 普段は厳重に保管されているこの聖なる棘が、この日のミサで開帳され、ミサの後には、

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ_f0234936_23171986.jpg

代理司教が聖なる棘を手に教会を後にし、教区神父や市長、警察、そして、聖なる棘を厳重に保管するためにかけられた八つの鍵のうち、七つの鍵を一人ひとつずつ任された7人のプリオーレたち、村人が後に続いて、村中を歌や祈りと共に行進します。

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ_f0234936_23225360.jpg

 2020年から2022年にかけては感染下で中止となったため、4年ぶりに催されたこの聖なる棘の祭りに、わたしたちはプレッジョ在住の友人たちから誘われて、参加しました。午後4時半からのミサには、大勢の人たちが参列していました。祭壇近くにいる赤いマントをはおった人たちが、プリオーレとして選出された7人の村人たちです。2020年の祭りのために選出されていたのに、長い間感染下で祭りが開催されなかったため、今年になってようやく役を務めることができたのだと聞きました。

 行進の後には再び教会に入り、皆が列に並んで、聖なる棘を拝観し、献金をします。わたしも列に並び、拝観したあとに、聖なる棘の入った容器の写真が写ったカードをいただきました。

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ_f0234936_23274230.jpg

 外に出ると、教会脇の広場に長いテーブルがいくつも準備され、村人たちが用意したたくさんのパニーノやケーキがずらりと並びました。

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ_f0234936_23284960.jpg

 イタリアでは復活祭の翌日の月曜日も祝日なのですが、プレッジョの聖なる棘の祭りは、例年復活祭の2日後の火曜日に、復活祭の祝いの一環として開催されているのだそうです。というわけで、卵とチーズたっぷりの復活祭のパンに、カーポコッロをはさんだパニーノも、たくさん並んでいました。

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ_f0234936_23344873.jpg

 巨大なチョコレート卵が抽選で当たるくじも販売されていて、食事会の最後には当選者の発表がありました。子供たちがくじを引く役目を担当したのですが、一等の大きなチョコレート卵を当てたのが教区司教の神父で、その場で卵を割って、子供たちや同席する皆も食べられることとなりました。

聖なる棘を祝う復活祭の村祭りにプレッジョへ_f0234936_23365221.jpg

 広場を後にする前に日が沈み、丘の上の村を後にした頃には、空がたそがれ始めていました。

 義父もかつては義母と何度も参加したことがあるという伝統の祭りが、4年ぶりに開催されるというその年に、夫や友人たちといっしょに参加して、興味深い祭りを経験することができてよかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

ブログテーマ:4月12日はパンの記念日
Commented by cut-grass93 at 2023-04-13 08:50
聖なるトゲの祭りがあるんですか。
以前何というタイトルでしたか
有名な映画、イエスの伝記を見ました
あの中ではトゲで作られたムチでイエスを
あばら骨が見えるまでシバキ続ける。
その後それで冠を作って被らせていました。

怖い物語だったなあ。
Commented by goodlifegirl at 2023-04-13 11:31
復活祭の村祭り、4年ぶりに開催された伝統的な行事に皆様で行かれたのですね(^^♪
とても大きな教会で、天井まで美しくて神聖な雰囲気に溢れていますね。
パニーノやケーキがとても美味しそうです!
祈りと行進の後は、とても和やかで楽しそうですね~♪
Commented by koito_hari616 at 2023-04-13 11:41
こんにちは

なおこさん、ありがとうございます
このようなミサの式次第を教えて頂いて
この時期だけは(特に)イタリアに行きたいです

最後の一番大きいイースターエッグを司祭が当たったのは
そして、みんなで分け与えるカトリックの教え通りで
楽しくなりました♪
Commented by harupita at 2023-04-13 23:20
なお子さん

こんばんは。

4年ぶりに聖なる棘を祝う復活祭の村祭りが行われたのですね。厳重に保管されていることが鍵の数でもわかりますね。

日本では考えれない
宗教が暮らしの中に
しっかり根付いていて心のよりどころとなっているのですね。

皆さん待ち焦がれたお祭りでしたね。
用意されたケーキなども
心がこもっていますね。

義父様義母様も参加されたいた
伝統の祭りに参加出来て
良かったですね。

こういうお祭りの事
全く知らないので新鮮です。
ありがとうござます。葉流
Commented by meife-no-shiawase at 2023-04-14 01:24
ずっと中止されていた行事がまた以前のように行われるようになって
人がたくさんのお写真もなにかとても新鮮です。
こういう行事をなおこさんのブログで拝見できてとても貴重です。

司教の方が持っていらっしゃる傘のようなものは、何か役割があるものなのでしょうか。
すごくやわらかそうな傘ですね。

協会の天井や壁が素晴らしいです。
Commented by milletti_naoko at 2023-04-18 17:13
草刈真っ青さん、イエスの受難から十字架にかけられての死に至るまでを扱った映画には、ひどく酷い場面が強調されたものも多いようですね。

そこまでそういう残虐的な場面が強調されている映画は目を背けたくなってしまいますよね。
Commented by milletti_naoko at 2023-04-18 18:55
goodlifegirlさん、久しぶりのお祭りだからと村に住む友人にそれぞれ招待されて、村に行ったら皆に会ったので驚きました!

義父も時々参加したそうで細部までよく覚えている、伝統のあるお祭りが伝統に則って行われたようで、興味深かったです。

復活祭のパン、生地がまとまらないほどたっぷりチーズを使っているものもあって、おいしかったです♪
Commented by katananke05 at 2023-04-18 21:16 x
ご復活の1週間後もまた お祝いをするというのが しらなかったですよ〜
今戦争をしてるウクライナのあたりの キリスト教だけど ちょっとロシア司教みたいに違う宗教のばしょも 1週間後に 「ご復活」といって いわっていたのを
テレビで見ました〜
棘のかんむりの 棘が保管されてるとは、、 枯れてボロボロしてないのかしら〜
私は子供の時に 母に連れられ
フランシスコザビエルの 「手」を
見ましたが 木のようでした〜
世界を巡回していたようです〜
Commented by milletti_naoko at 2023-04-19 17:22
結うさん、こんにちは。どういたしまして。
こちらこそ関心を持って読んでくださったと知ってうれしいです。ありがとうございます♪

感染下で何年も中止になったあとで、復活祭や再び皆でこうして集って祝える喜びに満ちていました。
Commented by milletti_naoko at 2023-04-19 21:52
葉流さん、こんにちは。

赤いマントの人たちが首からかけている十字架の中に、聖なる棘が入った容器の鍵が入っているのを見せてもらいました。ミサや食事会の手伝いにしても、そんなふうに村の皆が互いに役割を分担して果たして、参加しているのがすばらしいなあと思いました。

こちらこそ関心を持って読んでくださって、ありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2023-04-19 22:01
メイフェさん、夫や友人たちもずっと存在を知っていたお祭りですが、今年は在住の友人からぜひにという誘いもあって参加しました。久しぶりの復活祭の村祭りは、ようやく皆で集えるという喜びや活気にも満ちていて、儀式も興味深く、参加できてよかったです♪

この傘は大切な聖なる棘を日光から守るためか、はたまたここにあると他の人から分かるようにするためか…… わたしが思いつく可能な理由はそのくらいなのですが、また機会があって可能なようであれば調べてみますね。
Commented by milletti_naoko at 2023-04-19 22:08
katananke05さん、このお祭りは例年、復活祭の2日後の火曜日に行われるそうで、多くの人がそれぞれの家で家族と祝ったあとに村を挙げて祝おうということだろうかとそう感じました。聖なる棘を記念するなら復活祭よりも聖金曜日の方ではないかしらとわたしが言うと、受難にも関わらず復活したということを祝う日なのだと、夫が教えてくれました。

ウクライナやロシアなどで信者の多い正教会では、今でも昔のように太陰暦に基づいて復活祭を祝うので、カトリック教会よりも復活祭を祝う日そのものが後になるそうです。

なんとザビエルの手も聖遺物となって世界を巡っているんですね!
by milletti_naoko | 2023-04-12 23:43 | Feste & eventi | Comments(12)