イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ドラム缶 大活躍ノルチャ特産品店でもカステッルッチョの高原でも

 昨日、カステッルッチョの高原に咲く自生の水仙を見た帰り道に、ノルチャ(Norcia)の町に寄ったとき、

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Norcia (PG), Umbria 21/5/2023

こちらのノルチャ特産品店で、ドラム缶をうまく利用して作ったかわいらしい豚とイノシシが店頭に飾られているのを見て、感心しました。

 店では入り口の上にも書かれているように、イタリア一上質であると言われるカステッルッチョのレンズ豆や、生ハム、サラミなどの豚肉・イノシシ肉の加工品を販売しています。

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 古来おいしいレンズ豆と豚肉加工品で知られるノルチャでは、こうした伝統的な特産品を売る店がたくさんあるのですが、そういう店ではたいていの場合、豚やイノシシの肉を扱っているからということで、その剥製や像を店頭に置いてあります。

 こんなふうにドラム缶を使って店頭に置いてあるのは初めて見ました。耳や鼻までていねいに作ってあって、表情に愛嬌があります。

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 ドラム缶と言えば、昨日は、高原に立つドラム缶をテーブル代わりにして昼食を食べたことをお話ししましたが、実はこのドラム缶は、他にも役に立ってくれました。

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 昨日はわたしたちの行く手を水が阻んでいたので、しばらく水に沿って歩いて、渡れそうなところを探さなければいけませんでした。

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 ようやく渡れるところを見つけて、夫に手を取ってもらって渡った先の岸には、色とりどりのスミレがたくさん咲いていて、

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高山に咲く、ゲンチアナ・ベルナ(学名 Gentiana verna、イタリア語名 genzianella di primavera)の青い花も咲いていました。


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 そして、こんなふうにドラム缶が一つ転がっていました。

 そこで夫がこのドラム缶を立てて、広い高原の中で、水を渡りやすいところが分かる目印にしました。

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 このとき、山裾近くには、馬で高原を行く人たちがいました。

 わたしは、ドラム缶など立てなくても、渡った場所はわかるのではないかと考えていました。けれども、駐車場へと引き返し始めたとき、地面が水に覆われていない歩きやすいところを選んで歩いていたわたしは、夫からかなり離れてしまいました。困ってはるか前方を見ると、夫がドラム缶の傍らに立っているのが見えて、確かにドラム缶はいい目印になると思いました。

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 実は近視のわたしには、最初は夫ではなく誰か他の二人連れで、一人がもう一人のそばに腰をかけているように見えたのですけれども。

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 雨の日が続いたためか、水が浅い水田のように、地面の上に3cmほどの水があり、その中から緑の草が生えているところがあちこちにあります。そういうところでは花が育たないためか、花の咲いているところは地面に水が少ないので、花を踏みつけないように、花の咲くところを選んで歩いていきました。

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 夫とドラム缶のところまでたどり着き、途中で店で買ってきたサンドイッチやピザで食事をしました。

 わたしは以前に友人と食べて気に入ったノルチャのレストランで食べられたらと考えていたのですが、ノルチャを通るよりもフォリンニョとマルケ州を通っていった方がカステッルッチョに行くには速いという夫の判断で、マルケ回りで行くことになり、そのため、途中に寄った店で、こうして昼食用の食べ物を調達しました。

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 目印のドラム缶のおかげで、帰りはすぐに水を渡りやすい場所が分かりました。

 昼食後しばらくの間は、こんなふうに晴れ間が見えたのですが、すぐにどしゃぶりの雨になり、けれども慌てて車に戻ってしばらくしたら空が晴れて、雨雲が向こうに去ってしまったというお話は、昨日の記事ですでにお話ししました。

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 さて、そうしてカステッルッチョの高原を出発し、帰り道はノルチャを通ってペルージャに戻ることにして、峠へと坂道を登っていたら、途中の見晴らしのいいところで夫が車を止めました。

 何やら熱心に双眼鏡で眺めているので、いったい何を見ているのだろうと思ったら、

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なんと先に目印になったドラム缶がどのあたりにあるだろうと探していました。ドラム缶を見つけて、「あ、あんなところにある。ここからはこんなに小さく見えるんだね。」と、うれしそうに言います。

 うちに帰ってから、ズームで4.2倍に拡大した写真を、パソコンの画面で拡大して探してみても、なんとか探し出すのがやっとであるほど、ドラム缶は小さく見えます。

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 どうして高原のあんなところに転がっていたのか、不思議なドラム缶は、雨の日が続いて水を渡れる場所を探すのが難しいときに、帰り道に目印になってくれました。また雨が降ったりやんだりしていて、いつもはピクニックシート代わりに使っているレインポンチョを濡れた地面の上に敷くことができないときに、食べ物を置けるいいテーブルにもなってくれました。

 だからこそこのドラム缶が気にかかって、夫はどこにあるのかを確認したかったのでしょう。わたしも今日、写真で位置を確認して、なんだかうれしくなりました。

 そうして、山を下ってノルチャの町に行ったら、豚やイノシシの生き生きとした表情が描かれたドラム缶まで見つかって、昨日は何かとドラム缶に縁のある1日となったのでありました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by cut-grass93 at 2023-05-23 09:08
こういう高原に平らな場所があるのは珍しいのでは?
日本では山中にあって、それも狭いです。
でも小さな水溜まりが出来て、それはそれで美しい。
そういうのを山用語では「池塘」チトウと言います。

このイタリアの場合は池塘の巨大バージョンですね。

それにしてもこのドラムカン、何のためにここに?
Commented by goodlifegirl at 2023-05-23 11:07
豚とイノシシのドラム缶、本当だ~愛嬌のある表情でお店のアクセントになってますね(^^♪
広い高原の中ではなぜドラム缶が…と不思議ですが、テーブルになったり目印になったりと大活躍でしたね!
帰り道に、双眼鏡でドラム缶を探しているのはほのぼのしますね~♪とっても小さく見えるのによく見つけましたね(*´▽`*)
Commented by harupita at 2023-05-23 11:56
なおこさん

こんにちは

このドラム缶が、ランチのテーブルになり
散策の目印になり活躍した
ドラム缶なのですね。
昨日ドラム缶の写真が無いなって思いました。

それに店頭に飾らている
ドラム缶をうまく利用して作ったかわいらしい豚とイノシシ
すごく良いアイデアですね。

お店も思わず入りたくなるような
楽しそうな雰囲気ですね。
ドラム缶繋がりですね。
Commented by blackfacesheep2 at 2023-05-23 13:43
偉大なり、ドラム缶♪
そう思えるポストでしたよ。
こんな広い場所でも、ドラム缶があるおかげで位置が同定できるんですね。^^
しかも、お店の看板にも使える・・・なるほど。
豚さんも猪さんも、よくできてます♪
Commented by milletti_naoko at 2023-05-23 16:26
草刈真っ青さん、イタリアでは他にも見かけたことがあるのですが、標高1350mもの高み、2千メートル級の山に囲まれた、ここまで広い光源は珍しいかもしれません。なるほど池塘という言葉があるのですね。

ペルージャ周辺ではこの2週間ほぼ毎日雨が降って寒い日もあり、そのために今回は湿地のような状況になっていましたが、記憶では前回は地面が乾いていたんです。夫は雪解け水が流れ込んでいるのだというのですが、川のように長くどこまでもつながっている風情で、上から見ると小さい水たまりがぽつぽつあるように見えるのですが、草で閉じられているように見えるところにも実は水があります。

高原の村に近い方は、畑などとして利用されていて、馬が飼育されていたり、キャンピングカー用の駐車場があったりするところもあるのですが、このあたりはそういうものは何もないので、このドラム缶がどうしてここにあるのか、まったく不思議です。
Commented by milletti_naoko at 2023-05-23 16:29
goodlifegirlさん、ドラム缶が一目も引けて、上に商品も置けるかわいい豚とイノシシに変身! うまく作ってあるなあと思いました。

そうなんです。なぜそこにあったのか謎ですが、ドラム缶のおかげで、そうして夫の機転のおかげで助かりました♪

こんなに小さく見えるのに、夫もよく探したものだと思います!
Commented by milletti_naoko at 2023-05-23 18:46
葉流さん、こんにちは。
そうなんです。記事に載せる写真は1記事につき、リッチリンクやスクリーンショットの画像も含めて15枚までと決めているので、ドラム缶は昨日の記事では割愛しました。それに、近くから撮ったのは唯一この記事に載せた1枚だけなんです。

ドラム缶でこんなことができるんだと感心しました! 可愛いですよね。

これなら子供もきっと喜ぶのではないかと思います。
Commented by milletti_naoko at 2023-05-23 18:59
黒顔羊さん、そうなんです。
「五月二十一日はドラム缶記念日」と言いたくなるほど、ドラム缶に縁のある日でした。

森や町だと、目印になる木や建物があるのですが、果てしなく広い高原は他に目印になりそうなものがないので、なぜかあったドラム缶のおかげで助かりました。

そうなんです。耳は皮で作ってあるように見えて、鼻も立体的でそれらしく作ってあって、うまいなあと感心しました!
Commented by meife-no-shiawase at 2023-05-24 16:38
楽しいですね。
ドラム缶のブタとイノシシ。
いいアイディアですね~。

それに道しるべとなったドラム缶。
もしかしたらなおこさんたちと同じようになにかの印として使っていた方がいたのかも・・・。
なんでここに?ですもんね・・・置いた人を探してみたいですね。笑。
Commented by milletti_naoko at 2023-05-24 18:08
メイフェさん、豚もイノシシも表情が生き生きしていてかわいらしかったです♪ ドラム缶はこんなふうにも使えるんだなあと感心しました。うちでは、畑に置いて雨水を溜めたり、捨てた野菜くずを入れていって肥料にしたりするのに使っているのに、こんな使い方もあったとは!

この辺りは車での進入が禁止になっていて、入ると車輪が地面に沈んでしまいそうなところもあり、トラクターを使ったにしても、間に水があるためにかなりのくぼみになっているところもあって、車では来られないはずです。ここまではるばる転がしてきたのか、それとも馬や牛で運んだのか? なぞのドラム缶です。
Commented by ririrouzu at 2023-05-24 20:22
楽しい一日でしたね~草原のスケールは、さすが外国ですね!
雨がほんとに長く振っているんですね
ニュースで雨で家が水浸しになっている様子が流れました。
Commented by milletti_naoko at 2023-05-24 20:35
ririrouzuさん、昨日は朝は晴れていたのですが夕方から夜にかけて雨が降り、今日もそういう天気だという予報が出ています。

適度に降る雨はありがたいのですが、各地でこれ以上被害が起こることがありませんように。
Commented by katananke05 at 2023-05-25 10:19 x
以前イノシシ料理など出す店の
店頭に 頭の剥製?が かざられてるのを 拝見したように思いますが
あのリアルなのより
私はこのユーモアある ドラム缶の
「看板」が いいなあ〜と
思いましたよ〜

ドラム缶 夫様が上手に活用され
あったま いいなあ〜 さすがぁ と感心〜
この平原には pathはないのですね〜 それも素敵だけど 雨が多く降った時は 困りますね〜
Commented by milletti_naoko at 2023-05-25 17:17
katananke05さん、同感です。
わたしも、いくら店内で肉が売られているからと言って、剥製はなんだか残酷な気がして、好きではありません。ドラム缶の豚やイノシシはかわいらしかったです♪

濡れた地面にシートを敷くのはためらわれ、雨が降るので食事中もレインポンチョが必要でしたから、このドラム缶のおかげで本当に助かりました。いい目印になったのはもちろんのこと。夫の発想、とてもよかったです。

高原にはいろいろなトレッキングコースがあり、農道もあるのですが、この平原のこのあたりは畑として活用されることもないので、コースが少ないのだと思います。実は近くをトレッキングコースが二つ通っていて、うち一つは一部を歩いたのですが、今は草に覆われてしまっていて、分かりにくくなってしまっています。
by milletti_naoko | 2023-05-22 22:21 | Umbria | Comments(14)