イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

被災から7年ようやく再建進むノルチャ聖ベネデット教会

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 2016年にウンブリア・マルケ・ラッツィオ・アブルッツォの4州を、イタリア中部地震が襲ったとき、

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Basilica di San Benedetto, Norcia (PG), Umbria 28/7/2013

ノルチャの聖ベネデット教会は、8月末と10月26日の地震には耐えたものの、10月30日の朝M6.5の地震が起こったときには、



正面や壁のごく一部が残るばかりで、あとはすべて崩壊してしまいました。上の記事は、その翌年、2017の7月に、震災後初めてノルチャを訪ねたときのものです。

 イタリアではただでさえ遅れがちな震災後の復興が、イタリア中部地震では被害が4州にわたったこともあって滞りました。さらに2020年3月には、新型コロナウイルスによるイタリア全土ロックダウンが始まり、その後、感染拡大防止のための外出・移動規制が相次いだため、

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7/1/2021

 教会が地震で崩れ落ちてから3年を過ぎた2021年1月に、ペルージャ市外に出ることができる機会をとらえてノルチャを訪ねたときにも、

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なおも正面の壁が補強も十分でないままに修復を待っている状況で、

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早く再建が始まらないと、せっかく地震に耐えた正面さえ倒壊してしまうのではないかと心配していました。

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7/10/2022

 昨年10月にノルチャからモンテカッシーノ、さらに南イタリアへの巡礼に旅立つ友人を見送りに行ったときには、足場はかなり高くまで組まれていました。

 けれども、上の写真と同じ日、夕日が沈む頃に撮影した写真を見ると、

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正面の右手の足場の向こうに、空と茜色に染まるシビッリーニ山脈の山の端が見えていて、壁の修復はそれほど高い位置までは進んでいないことが分かります。

 特に教会の後方は、壁がかなり低いままである状況がずっと続いていて、通りかかるたびに「いつになったら再建が進むのだろう」と心配していました。

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21/5/2023

 ですから、おとといカステッルッチョの高原に自生の水仙が咲くのを見に行った帰りに、ノルチャに立ち寄ったとき、

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壁の再建がかなり高いところまで進み、

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同様の工事が正面近くばかりではなく、

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教会の後方の壁に至るまで行われているのを見て、ほっとしました。

 「また教会に入れる日も、そう遠くないかもしれないね」と夫は言います。



 西洋修道会制度の基盤を築いたと言われる聖ベネデットは、ヨーロッパの守護聖人で、聖ベネデット教会はその生地であるノルチャの町の、さらにかつて聖人が生まれ育った家の上に建てられたと言われています。

 震災前にわたしたちが訪ねた、地下の聖人の生家跡や礼拝堂は今も残っているのでしょうか。中心街を歩くと、今もまだ再建を待つ家や再建中の建造物はありますが、幸い少しずつ再建が進み、おとといは天気のいい日曜日とあって大勢の観光客が町を訪れ、アメリカからと思われるツアー客もいました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by cut-grass93 at 2023-05-24 07:48
石造りの重量のある建材建築の修理は大変なのでしょう。
背の高い重機も少ないし、材料の調達もね。
しかも、地震で崩れるときの恐ろしさは想像できないです。
Commented by milletti_naoko at 2023-05-24 16:27
草刈真っ青さん、何度も震源になったものの、しっかりと地震に耐えた教会も、それまでの地震で傷んでいたこともあってか、崩れ落ちてしまいました。おそらくはすでに中には入れない状況であったために、幸い被害者は出なかったのですが、もし中に人がいたらと思うと恐ろしいです。
Commented by meife-no-shiawase at 2023-05-24 16:42
過去の記事も拝見しましたが、長い時間をかけて修復されてきているんですね。
建設当時とは状況等も違っているでしょうし、修復ができる人材などの確保なども大変なのかなーと思いました。

観光客などが戻っているということならよかったです。
Commented by milletti_naoko at 2023-05-24 18:14
メイフェさん、過去記事も読んでくださったのですね。ありがとうございます。

ようやく再建に向けて動き出そうかというときに、感染が拡大してロックダウンになり、自宅から出るのさえ自己証明書がいるような日々が数か月続き、ようやく感染下の規制から抜け出て、面倒な役所手続きなども終わり、再建できるかというときになって、戦争による物価高で、かつて見積もっていたよりもはるかに高い費用がかかることになってと、再建にあたっても不運に見舞われている感があります。

ノルチャは幸い他の被災地に比べると、大きな地震の震源地になったにも関わらず、地震に耐えた店や家も多かったため、翌年にも店が営業を再開し、旅行者も来ていました。けれどもアメリカ風の英語を話す大勢の旅行客を見て、復興も進み、感染下からも抜け出して、ようやく以前のように旅行者が訪れつつあるのだなあとほっとしました。
Commented by goodlifegirl at 2023-05-25 13:36
過去記事、読みました。
歴史的な建物はそっくり元の姿にもどさなければならず再建するのも時間が相当にかかりそうですね。そちらは歴史遺産も多くて景観を守りながら耐震対策をするにも費用も相当なのかな…と。
でもこうして時間はかかりながらも修復作業が進んでいる様子、嬉しいですね(^^♪

Commented by milletti_naoko at 2023-05-25 17:41
goodlifegirlさん、ありがとうございます。
過去記事も読んでくださったんですね!

多くの教会が倒壊したり修復を要したりする中、ペルージャの知り合いの建築家が、以前とは形は変わるものの、耐震性のある修復案を出したら難を示されて、折り合いをつけるのが難しいと言っていました。

以前の姿を継承しつつ、さらに大きな地震にも耐えうる耐久性をとなると、石造りの建造物の場合にはやはり何かと難しいようです。

ようやく修復がここまで進んでいるのを見て、ほっとしました♪
by milletti_naoko | 2023-05-23 23:54 | Umbria | Comments(6)