馬独り夕日愛で群れを追い走るクッコ山

　日曜の夕方、クッコ山（Monte Cucco）では、たくさんのパラグライダーが空を舞っていたその下に、

Monte Cucco, Sigillo (PG), Umbria
馬の群れがいたのですが、

馬たちはパラグライダーにも、沈む夕日にも目をくれず、ただ一心に草を食んでいました。

　このあと、車で南東へと向かい、夕日と山頂を見晴らせる高みへと車で登っていく途中で、

車から降りて、ゆるやかな山道を登っていると、

山ひだに馬が一頭、他の馬たちから遠く離れたところにいて、草を食んでいるではありませんか。
　この馬の頭と目があるその先では、

夕日が山の端の向こうへと沈んでいくところでした。

　馬が警戒したり、こわがったりすることのないようにと、馬から見えないところで花の写真を撮っていたら、けれども、

自分のいた場所から夕日を見送ることができたからか、馬があっという間に下方の道路へと走っていくのが見えました。上の写真では左下付近に写っています。
　この馬が見える部分だけを切り取った写真が、

こちらです。

　そのあと、わたしは夫が車で登って待っていた夕日と眺めが美しい場所まで歩いて、夫といっしょに夕日を見送り、二人で車に乗って、ジグザグの道を通ってクッコ山を下っていきました。

　すると、道路の真ん中に馬の群れがいるではありませんか。

　夫はそろそろと車を進めていくのですが、馬たちは慣れているからか、のんびりと車道に陣取っています。

　夫がやむなく車をしばらく停めたおかげで、斜面いっぱいに咲く紫色の野の花を撮影することができました。

　なんとか夫が馬の群れの間を走り抜けることに成功したとき、先ほどの夕日を独り眺めながら草を食んでいた馬が右前方にいました。

　こうして、この日のクッコ山では、夕日や花ばかりか思いがけず、パラグライダーや馬のドラマも見ることができたのでありました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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