イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

野の花が高原を赤に黄に彩るカステッルッチョ

 6月30日金曜日は、例年6月下旬から7月初めにかけて、野の花が一面を彩って美しいカステッルッチョ(Castelluccio di Norcia)の高原を訪ねました。

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Pian Grande di Castelluccio, Norcia (PG), Umbria 30/6/2023

 朝、7時半過ぎにペルージャを出発したので、途中でバールに寄り道しても、10時前にカステッルッチョの広大な高原、ピアン・グランデ(Pian Grande)に着くことができました。

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 到着した頃には青空が広がり、日の光に花の色が鮮やかに見えました。

 色が際立つのは赤いひなげし(papavero)の花ですが、

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涼やかに青いヤグルマギク(fiordaliso)の花も咲いていました。

 上の3枚の写真を撮影した場所では、車道のすぐ近くに花が咲いているので、花を撮影しやすかったのですが、冒頭の写真で車が2台止まる道路の向こうに広がる畑では、道路と野の花の間に距離があり、「畑に足を踏み入れないように」と書いた看板があちこちに立っています。

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 そこで、ズームを使って、ひなげしが一面を赤く彩る高原を撮影しました。

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 高原が標高1300mの高みにあるので、野バラがまだきれいに咲いていました。

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 赤と黄色の花のじゅうたんが、緑と共に帯のように高原を彩っています。

 途中から空がだんだん曇ってきて、気づくと空がすっかり雲に覆われていました。

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 途中で夫とはぐれてしまい、路上駐車した車に戻っても夫の姿がなく、電話をしても通じないので、近くの小道を行き止まりまで歩いてみました。

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 この写真で下の方に見える赤紫色の花は、今回初めてみたように思います。

 実は、この日カステッルッチョに向かったそもそもの理由は、そのすぐ近くにあるリエート山(Monte Lieto)カーナトラ溪谷(Val di Canatra)にも、先日見ることができた自生のシャクヤク(peonia selvatica)があると知ったからです。

 ただ、わたしたちはシャクヤクのある場所を知らないため、歩いても花が見られるかどうか分からない上に、渓谷の前に観光バスが止まっていたため、「せっかく高原を彩る花が美しい季節なのだから、まずはカステッルッチョの高原の花を見に行こう」ということになりました。

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 そこで散歩中、正午が近づいても、どうにも夫が見当たらないので、ひょっとしてカーナトラ渓谷まで歩いていったのではないかと思い、わたしも畑の間の道を通って、渓谷に向かうことにしました。

 色とりどりの花が路傍を彩り、

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蝶もあちこちで見かけました。

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 渓谷まではどうも遠そうなので、上の写真の奥に見える、紫や赤の花が咲く畑まで歩いてから、夫に電話が通じるかどうか試してみようと考えていたのですが、

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その畑が近づいてくると、すぐそばに羊の群れと牧羊犬がいるのが見えたので、美しい畑が見られるはずなのに残念だとは思いながらも、「君子危うきに近寄らず」と引き返すことにしました。

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 路傍に咲く紫色の花がきれいです。

 シビッリーニ山脈(Monti Sibillini)の最高峰、ヴェットーレ山(Monte Vettore、2476m)の山頂は、もうすっかり雲に覆われています。

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 上の写真で、速度制限時速50kmの標識が立つそのすぐ前に、夫の車があります。車の鍵を持っていた歩き疲れたわたしが、車に乗り込んでしばらくしたら、夫もやってきました。

 二人で車内に並んで座り、お互いに電話をしてみても、カステッルッチョ中心街のすぐ近くだというのに、なぜか電話が通じません。やはりTimやVodafoneなど、自社の電話網を持つ電話会社の方が、人里離れた山などでも電話が通じやすくて安全なのだろうかと、改めて思いました。料金が安いからと、わたしはCoopVoce、夫はho. Mobileを利用しているのです。けれども、この日の夕方の授業の時間をいつにするかについて、ペルージャに引っ越したばかりの少女とはチャットアプリ、WhatsAppでチャットを通して時間を決めることができたので、夫とはなぜ電話が通じなかったのか不思議です。

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 上の写真は、朝、カステッルッチョ中心街に着いて、高原へと車で道路を下っていく前に撮影したものです。七夕の短冊が緑の葉の笹の間に並べてあるようにも見えます。

 例年に比べて、花が咲く畑が少ない上に、ヤグルマギクが青く彩る畑が見当たらないのが不思議で、わたしは「写真を撮ろうと人が畑に踏み込むことがないように、花の種をまく場所を制限したのかしら」と思ったのですが、夫によると、今年は5月に長い間雨の日が続いて、気温が低かった上に種まきの時期も遅れたので、咲くのはまだこれからという花も多いのではないかということです。いずれにせよ、カステッルッチョの高原を彩るひなげしやヤグルマギクの花を、久しぶりに見ることができて、うれしかったです。

 この日の帰りに雨に降られたこと、バールでカフェインレスコーヒーを飲んだことについては、すでにこちらの記事の後半に記しています。最近は睡眠不足気味の日が続き、学校に行くたびにバールでカフェインレスコーヒーを飲み、うちでも眠気覚ましのためにと、今日も昨日も、モカエキスプレスに、小さじ山盛り1杯の粉末コーヒーを入れて、極めて薄いコーヒーを沸かして、豆乳と黒砂糖をたっぷり入れて飲んでいます。そのうち、またカフェインに慣れて、普通のコーヒーを再び飲み始める日も遠くないかもしれません。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2023-07-07 23:27
日本に一時帰国中で、毎日バタバタとしていて
ちょっとご無沙汰しております。

相変わらずの美しい山々。
お花の色がまた色々で遠くからも近くからも本当に可愛らしいですね。

今はスマホに頼っていてちょっと使えなかったりすると
すごく不便に感じますね。

日本も結構日中は暑い毎日です。
イタリアはいかがでしょうか?
読めていないブログはまたゆっくりと拝読します!
Commented by manyouka at 2023-07-07 23:41
見事な風景ですね。
これ自然の風景ですか、それとも誰かが意図的に?

先の投稿途中で飛んで行った(笑) 削除をお願い。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-07 23:59
メイフェさん、ご多忙の中、コメントをありがとうございます。花いっぱいの高原がきれいでした♪ どうか日本滞在をお楽しみくださいね。

イタリアも夏らしい日が続き、日に日に暑くなっていくようです。湿度も高いですから日本の夏は厳しいですよね。どうかお体を大切にお過ごしくださいませ。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-08 00:54
万葉さん、山の斜面に草原が多く木が少ないのは、放牧された牛や羊が木が育つ前に芽を食べてしまうからです。

この高原では古来レンズ豆などの農産物が育てられ、羊などが放牧されています。

畑に育つひなげしやヤグルマギクは自然に育つのだと思っていたら、実は種をまいているのだと、いつかどこか読んだような、読まなかったような……
Commented by cut-grass93 at 2023-07-08 09:03
広大な赤い絨毯が素晴らしいですね。
山もなだらかでホノボノして。
でも2000mを越す高山があるんですね。

自然に生えているのかと思ったら花の種をまいている畑なんですか。
レンゲのようにこの花が肥料になっているのでしょう。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-08 11:51
草刈真っ青さん、標高が二千メートルを越える山に囲まれた標高約1300mの高みにある美しい高原です。

花については、また時間のあるときに調べてみますね。
Commented by koito_hari616 at 2023-07-08 15:50
こんにちは

大変でしたね、ちょっと焦られたのでは?
心細くなります、ご主人さまに会えて良かったですね♪

七夕さんの短冊にも見えますが、天女の羽衣のようにも見えました(*´σー`)エヘヘ
美しいです♪
Commented by ciao66 at 2023-07-08 17:27
ここは行ったことがなく、でも毎年拝見しておりますが、
ひなげしの群落がいつも素晴らしい光景で、一度は実物を見てみたいです。
写真の中では、冒頭のも、次の少しアップで撮ったものも、
野バラがまだきれいにという写真も、
赤紫色の花が混じったカラフルな一枚も、
どれもどれもがきれいに撮れていますね♪
路傍に咲く紫色の花と、好きなように?転がったロールがある一枚が印象的でした!
Commented by yuta at 2023-07-09 06:10 x
ダイナミックな素敵な風景ですね。
圧倒されます。
こういうところで写真を撮ってみたいと思います。
日本で思い浮かぶのは阿蘇でしょうか。
Commented by pothos9070 at 2023-07-09 14:50
丘っつかの上ひなげしの花で~♪
(かなり古いなぁ^^;)
これだけひなげしが咲いてるのは壮観ですねw
赤の帯がとっても印象的。
ラストの柔らかな印象の大地も素晴らしいですね♪
牧草ロールは実物見たこと無いんです。
紫のお花とロールがとても似合っていますね(^-^)
Commented by katananke05 at 2023-07-10 09:56 x
ヒナギクと 矢車草がとても美しいですね〜
自然にはこのように絨毯の世にはなかなかいかないのかしらね〜
花を見に行った北海道の利尻島
礼文島は カラフルな園芸種でないので ほんと小さな花が多かったですよ〜
Commented by goodlifegirl at 2023-07-10 13:07
本当に短冊のような見事な景色ですね(^^♪
近くで見ても遠くから見ても楽しそうです。
こんなにも広大な所で、ご主人様とはぐれてしかも電話が通じないとは大変でしたね。無事に合流できて良かったです。
なお子さん、どんどんカフェインに慣れてきましたね(*´▽`*)
Commented by milletti_naoko at 2023-07-11 02:03
結うさん、こんにちは。ありがとうございます。
お互いに時々車まで行っては、相手がまだ戻っていない、姿が見えないのを確認していたようです。
無事に会えて、ほっとしました。

なるほど、確かに天の羽衣のようにも見えますね♪
Commented by milletti_naoko at 2023-07-11 02:12
ciao66さん、ありがとうございます。
久しぶりに青空の下、きれいに咲く高原の花を楽しむことができました。

ロールは、丸めて作っていって、ちょうどいい大きさにできあがったあたりで、そのできあがた場所にそのまま置いておくのではないかと想像していたのですが、実際はどうなのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-11 02:22
yutaさん、ありがとうございます。
広大な高原にそびえる壮大な山の風景を楽しみながら歩くことができました♪

阿蘇の風景も雄大ですよね。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-11 04:07
ぽとすさん、わたしも以前は、「ひなげし」と聞くと、このアグネスチャンの歌と、高校でよく教えた「項王の最期」を思い浮かべていました。虞美人が自害したその場所に咲いたのが、虞美人草、ひなげしだと言われているので、授業でそう一言添えていたからです。

こちらでは牧草ロール、特に今の季節はよく見かけるんですよ。
花も高原も、山もとってもきれいでした♪
Commented by milletti_naoko at 2023-07-11 04:29
katananke05さん、例年はヤグルマギクの青が一面に美しい畑もあちこちにあるのですが、今年は夫が言うように、花の時期が遅れているのかもしれません。麦畑にたくさん自生のひなげしが咲く畑も時々見かけるのですが、ここまで咲くのはやはり種をまいているからなのでしょね。

このひなげし、けれども園芸種ではなく、自生のひなげしであるはずです。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-11 04:46
goodlifegirlさん、感染下になってから恐ろしく人が多いので、わたしたちは花が終わりかけた頃や天気の悪いときに行っていたので、久しぶりに青空の下(少なくとも最初のうちは)、一面の野の花が美しい高原を見られて、うれしかったです♪

そうなんです。睡眠不足気味でコーヒーの必要を感じ、飲んでから10〜14時間体内に残ると読んで、寝る14時間前ならよかろうと、朝バールで普通のコーヒーを飲む機会が増えてきました。
by milletti_naoko | 2023-07-07 23:14 | Umbria | Comments(18)