イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

夕どきに月見上げ歩けば蝉しぐれノラニンジン咲き茂るペルージャの道

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 おととい、7月27日木曜日から、ウォーキングをぼちぼち再開しました。

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Percorso Verde, Perugia, Umbria 27/7/2023

 翻訳・通訳の仕事を仕上げて、いっしょに送付するように頼まれていた仮請求書も作成して送ったのが、この日、7月27日の午前2時25分と遅くなってしまったため、朝ゆっくりと起き出して、朝食を終えた頃には、もう暑くなってしまっていました。そこで、早めに夕食を終えて、午後8時に歩き始めました。

 無料高速道路、スーペルストラーダが近づいてきた頃、傾く夕日に雲がピンクに輝いて、

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その雲の間に白い半月が見えて、うれしかったです。

 高速道路を通り過ぎた先にある、春には桃色の広告があった場所は、

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かなり前、夏が近づこうという頃から、水着の広告となっています。

 老若男女が、健康のために大勢歩いたり走ったりする場所なのですから、ウォーキングシューズやトレーニングウェアなどの広告にすればいいのにと思うのですけれども。

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 いつものウォーキングコースの折り返し地点までもう少しという頃に、雲のピンクがより鮮やかになりました。

 ペルージャでは、夕食後午後8時頃に食べる人が多いのではないかと、レストランで人が多く集まる時刻を見ていて思います。この頃にはもう8時25分となっていたため、歩き始めたときには、時々人とすれ違っていたのですが、出会う人が少なくなっていました。

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 ピンクの雲の間に、背の高いポプラの右手に、白い月が見えています。

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 かつては野バラの花の向こうにペルージャの歴史的中心街が見えた場所も、今では、ノラニンジンばかりが咲く野原の向こうに、ペルージャの町並みが見えます。

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 後ろをふり返ると、今は緑の葉ばかりが茂るアカシアの木々の上に、灰色になってゆく雲の間に、月がかかっています。

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 道端にも野原にも、見かける花と言えば、ほとんどがノラニンジン(carota selvatica)となりました。このノラニンジンの根も、かつてコーヒーが高級品だった頃、そのコーヒーの代わりに飲まれていたそうです。

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 そうそう、このあたりには金網の周囲にクレマチス・ウィタルバ(Vitalba)が咲いているところもあります。

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 自転車の練習コースを走る人は数人いて、そばを歩くと、時々自転車でゆく人たちのおしゃべりが聞こえたのですが、一瞬、子供の声が聞こえたので驚いてコースの方を見ると、小さい子供が二人、自転車に乗って、わたしの横を走り抜けて行きました。

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 特に帰り道は、人が少なくなったせいもあってか、暗くなり始めた木々の下を通ると、その大きさに驚くほどの蝉の大合唱が聞こえました。命の限りに鳴くその蝉の声の中で歩きながら、高校生の頃、国語の授業中に詠んだ俳句をふと思い出しました。

 蝉鳴けり生きた証を残さんと


 そうして、歩きながら、生きてきたというその証を残すことや残そうとすることよりも、生きている今そのときを、その瞬間を楽しむこと、しっかりと生きることが大切なのではないかと、そんなふうに思いました。

 歩き始めたのが夕食を終えてから1時間経とうかという頃でもあり、慌てずに歩いたので、歩き終えたら8時59分になっていました。幸いまだ暗くなりきってはいないたそがれの空の下を、車でゆっくりと家に向かいました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by yuta at 2023-07-30 07:35 x
夕食を終えて暮れゆく頃に散策。
この頃は暑さも収まってるのでしょう。
ゆっくり時間が過ぎていく様子が伺えます。
コーヒーがまだ高級品だった頃、ニラニンジンの根をコーヒーのかわりに飲んでいたというのは、
初めて聴きました。
Commented by katananke05 at 2023-07-30 11:46 x
例の水着看板のある道ね〜
ノラニンジンの白いレースフラワーのような花、、綺麗ですね〜

なおこさんの 俳句 素敵だなあ、、と思ったけど
そのあとの 今のなおこさんの
「今をしっかり生きる」という思いが なお なるほどだと
感じました〜
われなど 残り少ない?これから
は たしかに 今をしっかり過ごしたいです〜
残すものはなくてよいです〜
誰かの心の中に 少しでも残っていたら それはそれで嬉しいけどね〜
Commented by koito_hari616 at 2023-07-30 11:53
こんにちは

白い ノラニンジン 山野草なのでしょうが名前が。。
でも、白い小花が密集してとても可愛い可憐な花ですね

リンクされている〈アシジの聖フランチェスコ〉
蝉ともお友達とは。。息子に今度会ったときに伝えます
小鳥とは有名ですが。。蝉ですか。。風流なお話です
八日目の蝉 と言う日本で映画や本などが有りました
八日目には雄は居なくて雌だけなんですよね。。
なぜ、フランチェスコがそう言ったんだろう?
と。。。思いを巡らしました
Commented by ciao66 at 2023-07-30 17:51
ノラニンジンの向こうに見えるペルージャの市街地も夏らしい風情ですね。
見上げる月の横にアカシヤの葉っぱが写った一枚ですが、
アンリ・ルソーのジャングルの絵に登場しそうな雰囲気だと思いました!「熱帯風景、オレンジの森の猿たち」
http://sanesaku.com/g-gansaku/firstroom/f12-rousseau/ ちょっと想像が飛びすぎ!?


Commented by milletti_naoko at 2023-07-31 00:59
yutaさん、気温はまだ30度近くあったのですが、太陽が照りつけない時間帯は体がずっと楽です。

イタリアでも、古来野に生えているいろんな草花を食事や薬用に利用しているのですが、数年前にそういう利用法や草花の見分け方を学ぶ講座に参加したときに、わたしも初めて知りました。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-31 01:13
katananke05さん、以前に野草講座や薬草講座で学んだときは、なるほどと興味深く思ったのですが、最近はうちの庭にも、草が伸びてくる頃に生える生命力のたくましい花です。

白い花が確かにレースのように見えますね。つぼみのときは、花がピンクがかって見えるのもきれいなのですが、この日は撮ろうと思ったら風が吹いて揺れたので、撮影をあきらめました。

今を懸命に大切に生きる姿こそ、きっと逆に人の心にも残るのではないかと、最近はそんなふうにも思うようになりました。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-31 05:21
結うさん、こんばんは。

イタリア語名はcarota selvatica「野生のニンジン」で、ヨーロッパで栽培して食べられるニンジンの原種だと聞いたように思い、そう思い込んでいたのですが、調べてみると、はっきりとは断言しないまでもそうほのめかしているページがいくつかあるものの、「ノラニンジン」はニンジンが野生化したものなどと書いている日本語のページも一つあったので、またいろいろ調べてみますね。

そうなんです。鳥と聖フランチェスコは、わたしも知っていましたし、フレスコ画にもなっているためか、知っている人が多いと思うのですが、蝉のことは、この聖フランチェスコが生前に長く過ごした場所にある像をみて、初めて知りました。でも、そう言えば、かつてアッシジで見た聖フランチェスコのミュージカルにも、蝉に呼びかけて歌う歌がありました。

最初に呼びかけたのは確かに自分だし、自分を慕っていっしょにいてくれようという思いはありがたいけれども、ぼくもう十分君の歌を楽しんだから、どうか後は自分の命を自由に生きなさいということではないかなあと、わたしはそんなふうに想像しています。
Commented by milletti_naoko at 2023-07-31 05:33
ciao66さん、この翌日だったか日中に歩いたときは、咲きほこる夾竹桃の向こうにペルージャの町並みが見えるところを通って、青空が広がってきれいだったのですが、暑いからさっと歩いてしまおうと、カメラは持っていなかったので、残念です。

ジャングルの絵、確かに木の葉っぱがアカシアの葉によく似ていますね!
Commented by goodlifegirl at 2023-07-31 11:31
夕食を終えてからウォーキング、いいですね。
暑い時間帯より少しでも涼しくなってから。そして暗くなり切る前とはベストタイミングなように思います(^^♪
過去記事、聖フランチェスコと蝉の像があるのですか。蝉は日本だけなのかと勝手に勘違いしていました(;´∀`)
なお子さんの俳句、とっても素敵です(*´▽`*)
Commented by katananke05 at 2023-07-31 15:10 x
セミのことで
アメリカにいた時に じいじいセミがうるさく鳴いていて
近くにいたboyに セミの英語名は知らなかったので聞いたら
【チカーダ」と 教えてくれたから そうだと覚えていたら、、
日本に帰り 英語のレッスンでそう言ったら英語では
「chicada] だけど「チケイダ」と
発音するのね〜
あの教えてくれたboyは Italianだっだわ〜
Commented by milletti_naoko at 2023-07-31 15:43
goodlifegirlさん、ありがとうございます。
気温は同じ30度前後でも、真夏の太陽が照りつけていない分、昼近くよりもずっと歩きやすいです。

過去記事も読んでくださったんですね! そうなんです。蝉がイタリアにもいること、そうして、聖フランチェスコの逸話があることにも驚きました。

必死に声を上げて鳴く蝉たちの声を聞いて、高校生の頃にこう感じたのだと思います。ありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2023-07-31 15:47
katananke05さん、なるほどおもしろいですね。
cicada「シケイダ」の冒頭のci、母音のiが後に続くとき、イタリア語では「チ」と発音するからでしょうね。
イタリア語では蝉はcicala「チカーラ」ですし。
by milletti_naoko | 2023-07-30 00:27 | Umbria | Comments(12)