イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

イタリア式眠らぬ夏の夜の祭り チッタ・デッラ・ピエーヴェ

 「燃え盛る火のエネルギーを皆さんに」との古の衣装を着た女性の紹介に始まって、明かりや炎を巧みに操ってのショーが繰り広げられる様子を、昨夜遅くまで、チッタ・デッラ・ピエーヴェ(Città della Pieve)の広場で楽しみました。

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Festival degli Artisti di Strada, Scuola di Acrobatica Alchimia
Città della Pieve (PG), Umbria 5/8/2023

 かなりの人だかりで、前半は人の頭ごしでよく見えなかったのですが、最後の方は前にいた人が去ったおかげで、興味深い炎のショーをしっかりと見ることができました。

 このショーが終わったときには、午後11時半を過ぎていたのですが、通りも村も大勢の人たちであふれていました。

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Duomo di Città della Pieve

 イタリアでは毎年各地で、直訳は「白い夜」意味するNotte Bianca、白夜祭が催され、その晩は一晩中さまざまな催しが行われます。

 作朝から今夜にかけて行われるチッタ・デッラ・ピエーヴェの催しは、それをもじって、題して Notte verdebiancarossa「緑と白と赤の夜」で、La Notte dello Stile Italiano「イタリア式の夜」という副題があります。そのため昨晩は、ドゥオーモの壁にもイタリア三色旗が映し出され、村のあちこちに緑・白・赤の三色を使っての装飾がありました。上の写真には、左手の建物の少し上に、白い月も写っています。

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Rocca Perugina

 わたしたちは、昨夕6時半頃、チッタ・デッラ・ピエーヴェに到着しました。そのとき、路上にも駐車場にも車があふれていたので、上の写真に入り口の上部だけが写っている村の観光案内所で、何か催しがあるのですかと尋ねてみて、それでこの催しのことを知り、そのパンフレットと村の地図をもらいました。

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Duomo di Città della Pieve

 その後、通りを散歩中に、まずはドゥオーモを訪ねました。チッタ・デッラ・ピエーヴェは、今年が没後500周年の記念の年である画家、ペルジーノ(Perugino)の生地で、ドゥオーモにはペルジーノのキリストの洗礼(Il Battesimo di Cristo)の絵があり、その右手には画家自身の肖像画もあります。

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 実は祭壇画もペルジーノの作品なのですが、教会内に人が大勢いて、祭壇に上がる人が誰もいなかったので、絵がロウソクにあまり隠れずに見える、かなり遠いところから、ズームを使って拡大して撮影しました。


 チッタ・デッラ・ピエーヴェには、ペルジーノの手になる大きなフレスコ画、《東方三博士の礼拝》もあり、この絵については、上の記事でご紹介しています。

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La Banda Musicale di Città della Pieve con il maestro Lorenzo Pusceddu
Mini Campus 40+

 夕方、わたしたちが村に着いた頃には、吹奏楽団の演奏があり、このコンサートの他にも、ストリートフード店が並ぶ通りや、

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Musica Muta, Caffè Fibonacci

中心街の通りで、真夜中近くになってもなお、さまざまな音楽の演奏があり、音楽を楽しむことができました。夫が特に魅せられて、二人で聴き入ったのは、こちらのMusica Mutaのギターの演奏です。

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Il Mercatino degli Hobbisti

 中心街の通りには、いろいろな商品を売る露店もずらりと並んでいました。

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Villaggio del "Cibo di Strada Italiana"

 ストリートフードの店は、イタリア各地の郷土料理だけではなく、南米やギリシャなど外国の料理もあり、たくさんの店がずらりと並んでいました。

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Pievese in Festa, Rocca Perugina

 ただ、わたしたちはこのストリートフードの店がどこにあるのか分からずにいたこともあって、村人たちが協力して料理をし、テーブルに運んでくれる食事会場で、夕食を食べました。

 チッタ・デッラ・ピエーヴェはウンブリア州の西の端、トスカーナ州シエナ県との境にあるため、シエナ県名物のパスタ、ピーチ(pici)がメニューにあり、わたしはこのピーチのアマトリチャーナを食べました。ピーチは、どっしりと太く、形もこしも日本のうどんによく似ていて、懐かしくおいしいので、メニューに見つけると、たいてい迷わず注文しています。トマトソースにはパンチェッタだけではなくひき肉も入っていて、おいしかったです。

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 わたしは他に青菜つきの豚のステーキを注文し、夫はパンツァネッラ、豚レバーの串焼き、フライドポテトを食べました。飲み物は水だけ買ったのですが、隣のテーブルの人が席を立つときに、「これが村の流儀なんですよ。飲みきれなかったワインは、近くのテーブルの人に贈るんです。」と言って、白ワインの瓶を渡してくれたので、ワインも少し飲みました。合計料金35ユーロは、村祭りにしては高いのですが、実はここで食べる前に一応レストランもいくつか訪ねてそのメニューと料金を見ておいたので、その値段よりははるかにお得です。

 昨日わたしたちは、こうして夜遅くまでチッタ・デッラ・ピエーヴェで、村祭りを楽しむことになったのですが、午後6時半頃に着いたときには、祭りのことはまったく知らずにいました。

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https://www.google.com/maps/

 オルヴィエートから家に戻ろうというときに、夫が「せっかくだからトラジメーノ湖に寄って、夕日が沈むのを見送ってから帰ろう」と言い、そのために、いつものようにトーディを通って帰るのではなく、チッタ・デッラ・ピエーヴェを通って、少し遠回りをして帰ることにしたのです。

 村からトラジメーノ湖の南の岸にあるサンタルカンジェロまでは車で約30分なので、しばらくチッタ・デッラ・ピエーヴェを散歩して、夕日が沈む8時半前にサンタルカンジェロに着けるように出発しようと考えていました。(今調べてみたら、なんとマジョーネの日の入りは昨日が8時28分、今日が8時27分で、もう8時半前になっていました。)

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Ludobus - Tutto Muove la Piazza

 ところが、中心街を歩いていたら、こちらの木を使ったパズルや遊具があり、夫と二人で夢中になって、指示に従ってパズルなどを完成させようとしていたら遅くなってしまい、結局せっかくなので、そのままチッタ・デッラ・ピエーヴェに残って催しを楽しむことにしたのです。

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 ほとんどの難問、いえ、小難しいパズルなどはうまく解決策を見つけることができたのに、一つだけどうしても自分たちだけでは解決できなかったのが、こちらです。この四つを組み合わせて、T字型を作り上げなければいけなかったのですが、思い込みにしばられて、最終的にこの遊びを準備した人にヒントをもらうまでは、どうしてもその方法が分かりませんでした。

 冒頭でご紹介した炎のショーの最後の締めくくりには、「炎は、精神をしばりつける思い込みから解放してくれるものでもあります」という言葉もあったように思います。

 ひょんなきっかけで訪ねることになった催しでしたが、夜遅くまで十二分に楽しむことができて、ペルージャの家に戻ったときには午前1時を過ぎていました。雨のために昼食後にすぐに帰宅しなければならないかもしれないとさえ思っていたのに、こうして夜遅くまで充実した1日を過ごすことができてよかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ: 【ギフト券プレゼント】夏の1枚コンテスト 2023
Commented by ririrouzu at 2023-08-07 07:21
思い込みって、よくある事ですが炎が思い込みの精神から、解放してくれる!と言うことが伝えられているとは、・・・
Commented by cut-grass93 at 2023-08-07 07:44
お祭りの夜店は世界共通でしょうか。
日本の夜店、屋台を思い出します。
徳島には少なくなった夜店、なつかしいです。

先日の大雨でトラジメーノ湖の水位は幾分戻ったかもしれませんね。
Commented by goodlifegirl at 2023-08-07 14:17
行きがかりに楽しいお祭りに出会われたんですね~(^^♪
帰宅したのが午前1時過ぎとは、とても充実して素敵な夜だったんですね(*´▽`*)
パスタがとてももちもちして見えて美味しそうですね♪
そして、フレスコ画とても美しい世界ですね。素晴らしい芸術作品をこうして見せて頂き、ありがとうございます。
Commented by koito_hari616 at 2023-08-07 14:19
こんにちは

今日もアッシジのフランチェスコの事を見る事が出来て
とても嬉しいです♪

あの、深緑のクラシックカー!とても素敵ですね!
ペルジーノさんの絵画は初めて知りました
とても、優雅で明るい絵ですね
赤い帽子と黒い服の人も見られました(笑)

ピーチは私のブログで2,2ミリのパスタの時に仰っていた
パスタなんですね!
ソースが良く絡んでとても美味しそうです♪
今度ミートソースにしてみます♪
パズルは時間を忘れます💦
Commented at 2023-08-07 15:17
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ciao66 at 2023-08-07 15:34
チッタ・デッラ・ピエーヴェはペルジーノの故郷だったんですね。ラファエロの師匠ですが、彼が弟子のころはまだ師匠のほうが上手だったかも。弟子が上手くなりすぎた!

村祭りとは知らずに訪問したのに、タイミングぴったり!
それは意外感もあって、とてもお得な感じでしたね。
楽しそうな様子が伝わってきました♪
それにしても午前様のご帰還とは!

ところで、Tのパズルですが、ネットで見つけて紙を切り抜いて挑戦してみました。
答えを見ると長い台形をひっくり返すのがポイントだったのか?
私は、答えを見ずに、ひっくり返さないで、横棒が長いTが出来ましたが、一応Tなので正解?でも形が悪いのでどうでしょう?
Commented by katananke05 at 2023-08-07 18:04
訪れたところで思いもかけずにお祭りに出会うことができたのは
幸運でたのしい サプライズでしたね〜
私もツアーで行ったドイツで
そこの村祭りに出会え
楽しかったことがありますよ〜
屋台などもでて 日本の夏祭りのようですが コンサートなどがあるのは さすが イタリアですね〜
日本だと 太鼓や 笛の競演となるかしらね〜
Commented by meife-no-shiawase at 2023-08-08 17:46
なんだかナポリタンが食べたくて食べたくて
朝ごはんにナポリタンを作ったんです。
今、理由がわかりました。
昨日、こちらのなおこさんのブログでこのパスタのお写真を拝見したからでした。

飲みきれいないワインを近くのテーブルの方に贈る!?
なんと素敵な流儀。
なにかおすそわけで幸せな気持ちになりますね。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 18:48
ririrouzuさん、木のパズルで思い込みのがんじがらめの力を改めて思い、炎のショーで、その点にも触れられていて、なんだか不思議で、印象に残りました。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 18:50
草刈真っ青さん、たこ焼きやお面こそないものの、お祭りと言えば、こちらでもいろんな屋台が並ぶのは同じです。徳島では少なくなってしまっているんですね!

そうなんです。雨がたくさん降ると、水位が上がっているのではないかと、そう期待しています。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 18:56
goodlifegirlさん、雨で午後早く帰宅しなければいけないかと思っていたのに、いい天気になって遅くまで楽しむことができて、よかったです。まさかこんなに遅くに帰るとは予想もしませんでした! 雨で気温が下がり、寒いこともあって帰宅したのですが、夫ったら「寒くなければ、もっと長く祭り開催中の村にいたかった」とさえ言っていたんですよ!

ピーチは大好きなパスタです♪ 1962年に修復されたという絵も、美しかったです。こちらこそ温かくうれしいコメントをありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 19:04
結うさん、こんにちは。

このクラシックカー、色もすてきですよね。村のあちこちに、いろんな車が展示されていました。

ペルジーノの絵、優しい色合いや顔立ち、風景が好きです。ウンブリアは出身地だけあって、作品を見かける機会が多いんですよ。

ピーチとミートソース、よく合っておいしいと思います♪

そうなんです。時間が経つのをすっかり忘れて、二人で夢中になりました。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 20:26
鍵コメントの方、ありがとうございます!
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 20:29
ciao66さん、ペルジーノゆかりの催しもあったようだったのに、うっかりこの晩、訪ね損ねたのが残念です。

ラファエッロの作品がすばらしいのは言うまでもないのですが、色合いも表情も優しいペルジーのの作品もわたしは好きです。

今はあちこちで村祭りが開催される時期なのですが、ちょうど興味深い祭りに行き当たることができて、本当によかったです。まさかこんなに遅くまで残ることになるとは!

ひっくり返しても構わないので、縦棒が長いTに挑戦されてみてください。そこまでできていれば、すぐに完成することと思いますよ。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 21:11
katananke05さんもドイツで村祭りを楽しまれたことがおありなんですね!

日本の夏祭りもいいですよね。懐かしいです。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-08 21:17
メイフェさんがなんと朝ごはんにナポリタンを作られるほど、ピーチに力があるとは! ナポリタンもおいしいですよね。こちらでも一度か2度ナポリタンもどきをトマトかトマトソースを使って作ったことがあって、夫は意外と喜んで食べていました。

ベトナムもすばらしい建造物や観光名所、おいしそうなものがたくさんありますね。色とりどりの提灯の美しいこと!

おかげでおいしい白ワインを少しだけ味見することができて、ありがたかったです♪
by milletti_naoko | 2023-08-06 23:26 | Umbria | Comments(16)