イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

おいしくて地の利もいい山の宿 Crystal Chalet Ussita

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 シビッリーニ山脈での1泊2日旅行の前夜、夫は旧友たちとの会食に出かけたため、わたし一人で、夫が歩きたいと言う目的地への登山道を調べ、宿を探したのですが、8月に入り好天が続いていたため、平日でも前日になって探したのでは、ちょうどよさそうな場所に宿が見つかりません。2016年のイタリア中部地震で、シビッリーニ山脈のマルケ側では多くの家が倒壊し、再建はようやく動き出したものの、仮設住宅に暮らす方も今なお多い状況だからでもあります。

 夫の希望どおり初日にアンブロ川の水源まで行けば、かなり長時間で標高差も多いトレッキングになりはしますが、出発地点のファルニョの山小屋からペルージャの我が家までは115km、車で2時間10分ですから、いざとなれば車でペルージャに戻ろうと、水曜の朝は宿が決まらぬまま出発しました。

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Visso (MC), Marche 9/8/2023

 水の豊かな美しい村、ヴィッソ(Visso)で、おいしい水をペットボトルに給水します。中心街はいまだに危険のため立ち入り禁止となっているものの、村はずれにレストランやカフェがあり、活気のあるヴィッソに宿を取りたいと考えたのでしょう、この近くにあったB&Bの看板を見て夫が電話をしたのですが、この晩は満室でした。

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http://www.sibillini.net/il_parco/gps/mappaSisma.jpg

 ところが、そのあと、翌日に登ったカルドーサ山(Monte Cardosa、1818m)へと登っていく悪路があるヴィッソ(Visso)から、この日、1日目の登山の出発地点、ファルニョの山小屋(Rifugio del Fargno、1811m)に行こうと、カサーリ(Casali)に向かって、ウッシタ(Ussita)の道を車で走っているときに、

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夫がレストラン(Ristorante)ホテル(Hotel)という看板を見つけました。夫が車を止め、わたしが店の人に尋ねると、空室があって朝食込みで1泊80ユーロとのことです。そこで、この宿に泊まることにしました。今日、インターネットで調べてみると、2016年の地震以前には、上の写真にある後方の建物がこのウッシタ(Ussita)ホテル・レストラン、Crystal Chaletであったようで、再建がかなり進んでいるように見えます。けれども、以前の建造物はまだホテル・レストランとしては機能していません。

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 代わりに、現在は、上の写真で前方にボーヴェ山(Monte Bove)が見える道の両側にある建物が、レストラン、ホテルとして利用されています。

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 ボーヴェ山に向かってこの道に立つと、その左にレストランが、

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右にホテルが建っています。

 登山を終えて宿に戻る途中、車の中でインターネットで調べてみると、レストランの評価も高いようです。宿で鍵をもらって、客室に入ったときにはもう7時半になっていました。そこで夕食も、宿のレストランで食べることにしました。

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 どの料理もとてもおいしかった上に、近いとは言え、隣村のヴィッソまで車で行くには疲れていたので、この店で食べることにして、本当によかったです。わたしは小羊肉、

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夫は鹿肉の料理を食べました。どちらも肉料理には、少し野菜がついていたのですが、わたしはインゲン豆、夫はローストポテトをつけ合わせの野菜として選びました。子羊の肉は最近どこで食べても骨がかなり多いので、いったい肉はどのくらいあるのだろうという疑問が残るのですが、食べられる機会が少ないので、あるとつい頼んでしまいます。

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 以前時々通っていたサルナーノのレストランでかつてハウスワインだったおいしいワイン、Lacrima di Morro d'Albaをメニューに見つけて、注文は瓶かグラスでとのことだったので、夫もわたしもグラス一杯ずつ頼みました。もともとおいしいワインが、瓶を開けたてでもあったのでしょう。とてもおいしかったので、うれしかったです。

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 デザートには夫が甘いサラミ(salami dolci)を注文し、わたしも一つ食べました。スポレートでかつて食べた甘いサラミは食感がかりっとしているのに対し、こちらは柔らかかったのですが、おいしかったです。夕食料金が二人で53ユーロというのは、わたしたちにしてはかなり高いのですが、最近は食材もレストランでの食事代も値上がりしていますし、とびきりおいしい食事を、思いがけず宿のレストランで楽しむことができて、とてもよかったです。食にはうるさい夫が、何もかもおいしいと満足していたほどです。

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 かつての古い扉やテーブルをうまく利用しているのもいいなあと思いました。かつて夫とわたしが二人で暮らしたことがあるウンブリアとトスカーナの州境にあった家、義母が生まれ育った家の扉とテーブルも、ちょうどこんな色合いと風情でした。

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 高峰に囲まれた渓谷にあるため、夜はひんやりとしていたのですが、それでも外で食べている人がいるのを見て驚きました。まあ、先週クッコ山で夕食を食べたときは、風も吹いて寒いほどだったので、他の客は皆が店内で食べていた中、わたしたち二人だけがずっと外で食事をしたのではありますが。

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 朝食はイタリア風の甘い朝食でした。飲み物にカフェラッテを頼んだら、コーヒーと温めた牛乳をそれぞれ別の容器に入れて、テーブルに運んでくれました。

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 宿もレストランも、本来の建物の再建を待って、プレハブ住宅を利用しているのではないかと思います。

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 わたしたちの部屋は1階でしたが、2階からはボーヴェ山ばかりではなく、その左手にそびえる山も見えました。

 翌日は、来た道をヴィッソへと戻り、カルドーサ山へと車で登っていったので、この宿は行きも帰りも通る道沿いにあって、地の利もとてもよかったです。思いがけずいい宿に泊まることができて、本当に助かりました。

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Tutto squisito & servizi gentili
Crystal Chalet Ussita, Monti Sibillini
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Crystal Chalet, Ristorante Hotel ad Ussita
Via Piè la Costa 1, Ussita (MC), Marche
Tel. : 366 3729450, 331 1756577
Email: Bartolettiluisa@libero.it
FB : Facebook - Crystal Chalet Ussita

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:私の推し活!~推しは○○です~
Commented by cut-grass93 at 2023-08-13 08:30
なかなかいいINNですね。
日本にはこんな家庭的雰囲気のホテルが無くて
みんな豪華に見せることに専念しているかんじです。
食事もいい感じ。
内容の割には、結構安いと思うけど。。。
Commented by koito_hari616 at 2023-08-13 14:13
こんにちは

良いお宿が見つかって良かったですね
お食事が美味しい所は嬉しいです♪
カフェラテに温めた牛乳は親切だと思います♪
Commented by katananke05 at 2023-08-13 15:09 x
最近は 出かけた先で宿を見つけるということをしなくなりましたが
以前は 行き当たりばったりでとまったこともあり、、
東北の方では 迷路のような廊下をいった先の部屋に案内され、、
非常時には ここから 縄ばしごで、、と忍者のような 鍵を窓枠に引っ掛け2階から降りるという、、
恐ろしいけど いまおもえば 面白い宿など、、
伊豆民宿では 隣がおばあさんの寝てる部屋とか、、

アメリカでは 3歳の息子がいち早く 「べいかんと」vacant のモーテルの表示を車から見つけ、、

たまたま見つけた宿が「あたり」だったことは ラッキーでしたね〜
それにしても お肉がボリュームありますね〜

Commented by ciao66 at 2023-08-13 16:31
デザートに甘いサラミ??と思ったのですが、
姿がサラミソーセージに似ているだけなのですね!

そして、出口のuscitaとそっくりな、ussitaというのは地名だったんですね。入り口は何処だ?と冗談が出そうなところでしょう。

行き当たりばったりというのは、場合によっては旅ではいいことも有りますね。見つけたお宿とレストランが、文字通り「当り」でよかったですね!いい勘が働いたのでしょうか?
Commented by 3841arischan at 2023-08-13 21:01
なおこさん、お久しぶりです。
お陰様で、元気にしています。
こちらは、お盆ですが、台風が接近中で、何だかです。
ご主人様と素敵な旅ですね~
お宿も素敵だし、イタリアの懐かしいお食事が見れてうれしいです(*^-^*)子羊が美味しそう♡
2016年の地震からまだまだな地域があるのですね!
時々は、拝見させていただいてます、楽しみにしています。
Commented by ririrouzu at 2023-08-13 21:35
洋食は、見ただけでカロリー高そうね!
でも見渡す山に登るのだから、すべてカロリーは消費してくれますね(笑)
Commented by sunandshadows2020 at 2023-08-13 21:44
良い宿が取れて良かったですね。
高地で過ごすのも暑さ逃れに良いでしょう。
小牛の皿、ずいぶん量があると思ったのですが骨が多いのですね。
ヨーロッパ各地で見られる給水所ですが、ひんやりした水がさぞ美味しい事でしょう。
乾燥地の此方では見ることのできないものの一つです。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-14 04:39
草刈真っ青さん、好みもあると思うのですが、こういう素朴で温かみのある、古くからのものを大切にしている宿やお店、わたしはすてきだなあと思います。

そうなんですね! わたしたち二人だと二人ともそれほど食べる方でも飲む方でもないので、トスカーナでの夕食で肉料理とワインに野菜を食べても高くても45ユーロという感覚だったので(ふだんの夕食は夫がピザをでわたしはワインは飲まずに水を飲むことが多いので、たいてい二人で30ユーロ前後なんです)マルケの山というのは、比較的料金が安いように感じていたこともあって、驚きました。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-14 04:41
結うさん、こんばんは。そうなんです!

食事がおいしいと、それだけで旅の楽しみや喜びが違ってくるように思います。宿の朝食でカフェラッテを頼むと、こちらではたいてい、こんなふうに牛乳は温めて運んでくれるんですよ。好きなだけそれぞれ入れて飲んでくださいということで、親切ですよね。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-14 05:44
katananke05さん、わたしたちも最近では、特に旅行を間際に決めることが多いこともあって、旅先で宿を見つけることが減りました。それにしてもあちこちで大変な経験をされましたね!

わたしは、夫と通り道で宿を探し回ったのに見つからず、結局午前3時過ぎにペルージャに車で戻った経験からスマートフォンを購入しました。

最近は宿の評価などもある程度知ることができるので便利なのですが、それでも、泊まってみたら、宿の部屋も主人もとんでもなかったとか、部屋が恐ろしく小さかったとか、着く時間をあらかじめ連絡していたのに着いてから30分近く待ったとか、サイトには駐車場があると書いてあるのに客全員用の駐車場はないので、10分近く歩いて駐車場まで行かなければ行けなかったり、部屋にまったく窓がなかったりということもありました。ですから、たまたま見つけてしかも空室があった宿がいい宿でレストランもおいしいというのは本当に運がよかったです。

肉はかなり量があるように写っていますが、お皿は夫の前にあるお皿と同じで細長いお皿で、半分以上は骨だったんですよ。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-14 05:51
ciao66さん、そうなんです。
調べてみると、salami di cioccolato「チョコレートのサラミ」とも呼ばれることもあるようなのですが、わたしが見かけたり聞いたりしたメニューはいつも「甘いサラミ」だったので、記事にはそう書きました。スポレートで食べたものはチョコレートも練り混ぜてあって、ビスケットやクルミなどが入っていたのですが、こちらは柔らかいチョコレートの間にスポンジ生地があるような感じでした。

出口と名前がよく似た地名ですよね。アクセントがIではなくてUの上にありはするのですが。

泊まれさえすればいいという状況で、宿もレストランも満足できるところが見つかって、本当に運がよかったです♪
Commented by milletti_naoko at 2023-08-14 06:17
アリスさん、お久しぶりです。
お元気でお過ごしだと知って、とてもうれしいです♪
日本はなんとちょうどお盆の時期なのに台風が接近中なのですね。何かとお忙しいことでしょう。どうかくれぐれもお体を大切にお過ごしくださいね。
ウッシタでもヴィッソでも、村のあちこちでクレーンを使っての再建作業が行われていますが、まだまだ以前の暮らしが戻るまでには時間がかかりそうです。

記事をご覧くださることもあるのですね。ありがとうございます。ひょっとしたらお気づきかもしれないのですが、最後に書かれた記事に、先月になってコメントを書いています。遅くなってしまって申しわけありません。
Commented by milletti_naoko at 2023-08-14 06:18
ririrouzuさん、登山のあとはカロリーをかなり消費するので、しっかり食べることが大切なんですよ♪
Commented by milletti_naoko at 2023-08-14 06:21
お転婆シニアさん、二人とも下山時にはすっかり疲れ果てていたので、宿が見つかって、それが食事も宿もいい宿で、本当によかったです♪

子羊のお皿、近くから撮っているのでたくさんに見えますが、すぐ下に写っている夫のお皿と大きさが同じで、かなり細長いお皿で、しかも半分以上は骨だったんですよ。豚肉なら安いし肉の量が多いことは分かっていたのですが、子羊の誘惑に負けました。

このあたりは湧水も豊かな村なので、おいしい水が飲めるところがあちこちにあって、ありがたいです。砂漠ではなかなか難しいことでしょうね。
by milletti_naoko | 2023-08-12 22:22 | Marche | Comments(14)