イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

蝶つどいルリタマアザミ咲くアンブロ渓谷、シビッリーニ山脈

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 8月9日水曜日は、ファルニョの山小屋(Rifugio del Fargno1811m)からアンブロ川の水源(Sorgente dell'Ambro、1245m)を目指して、ひたすら山の斜面を下り、

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Valle dell'Ambro, Monti Sibillini 9/8/2023

リナルディの山小屋(Casale Rinaldi、1601m)の少し手前、岩の周囲に大きな石が点在しているところで、昼食を食べました。マダニを避けるために、石の上に座って食べようと考えたのです。

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 「給水場の水を飲みに行く」と歩き始めた夫に続いて、そろそろわたしも出発しようかと思ったら、わたしの手とペットボトルの上に蝶がやって来ました。

 カプライア島で生ハムから離れようとしなかった蝶と同じで、塩気のあるものに魅かれて、手の上にいるのかと思ったのですが、

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わたしが瓶を持ち変えたあとも、瓶の上をしばらく歩いていました。

 山小屋からさらに少し下ると、北方のスキー場近くまで続く、車も通れる道に出ます。

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 実は上の写真で夫が立っているあたりまで、わたしはすでに一度一人で下っていました。夫は牛たちの集う給水場で水を飲むために、少し遠回りをしていたからです。ところが、いつまで経っても夫の姿が見えず、大声で呼んでも返事がなく、電話は通じません。そこで、ぎっくり腰が悪化するなど、何かあったのではないかと思い、しばらく待ったあとで、再び山小屋まで登り、夫を探しました。すると夫は給水馬や山小屋の周囲をのんびりと観察していました。

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 そのときすでに午後2時半になっていました。「アンブロ川の水源へとさらに標高350mを下ってから再び1924mまで登らなければいけないんだから、給水場からすぐに山を下ると思っていたのに、いつまで経っても姿が見えないから心配した」と言うと、夫も怒って「別に水源まで行かなければいけないわけじゃないし、山小屋や牛たちのところでゆっくりしてもいいだろう」と言います。このあと夫が、「これ以上下るのはやめて、前方に見える細道(1枚上の写真にピンクの矢印で示した道)を通って、プリオーラ山(Monte Priora、2332m)の斜面を見晴らしのいいところまで歩こう」と言い出したのは、その前にこういう言い合いをしていたためかもしれません。

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http://www.sibillini.net/il_parco/gps/mappaSisma.jpg

 山に生まれ育った夫は、友人が「まるでヤギ(capra)みたい」と言うほど、急な斜面も岩がちの山も、本来の登山道ではないところでも、平気でひょいひょいと登ったり下ったりします。一方わたしは、登山道ではない斜面は足場が悪く歩きにくいので好きではありません。

 そこで、先日の記事でお話ししたように、わたしは途中で引き返し、先述の車も通れる道をそのまま歩いていくことにしました。上の地図にピンクで記しているのは、わたしがこの日歩いた道筋です。

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 わたしはこのあと、上の写真にピンクの矢印で示した山ひだの少し手前まで、さらに1km余りを歩いてから、来た道を引き返しました。

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 そのあたりまで歩けば、上の写真で前方に見えるアマンドラ山(Monte Amandola、1706m)の右手下方にある断崖の向こうに広がる風景が見えるだろうと考えたからです。

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 後ろをふり返ると、右手にはわたしたちが下ってきた山の斜面が、左手には夫が細道を歩こうとしているプリオーラ山が見えます。

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 このとき足元にあった、青紫色のまんまるの球から、小さな花がたくさん咲く珍しい花に気づきました。

 そうして、さらに周囲を観察してみて、

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この花がこれまでにも山で時々見かけていたルリタマアザミ(学名 Echinops ritro L.)と同じ花なのだと気づいて驚きました。日本では学名からエキノプスと呼ばれることもあるようです。

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 今日、記事を書くにあたって、今まで花だとばかり思っていた茎の先のまんまるの球が、実は先のとがったつぼみが並ぶ花序なのだと知りました。つぼみが並ぶ様子はこれまで何度も見たことがあるのですが、その花が咲いているのは今回初めて見ました。

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 そうして、この花盛りのルリタマアザミの周囲には、たくさんの蝶たちが群がっていて、カメラを近づけて撮影しても、そのまま蜜を吸い続けていました。シビッリーニ山脈の動植物一覧(下記リンク参照)のおかげで、この蝶たちもペットボトルから離れなかった蝶も、シジミチョウ科(Lycaenidae)ウスルリシジミ属(Polyommatus)Polyommatus dolusだとわかりました。

 この写真を撮った数分後に、夫がわたしを呼ぶ声がするので、プリオーラ山を見上げると、

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夫はもうこんなところまで斜面を登っていました。

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 この日わたしがルリタマアザミを見かけたのは、このあたりだけだったのですが、翌日、カルドーサ山を登ったときにも、咲いているルリタマアザミの花がありました。少し先へと、自分の歩きたい道を歩いたおかげで、かわいらしい花がたくさん咲くルリタマアザミを見ることができて、よかったです。

*追記
 この花の形から、キク科のヒゴタイ属(Echinops)だということは分かったのですが、手持ちの野草図鑑では種を特定するのが難しかったので、インターネットで調べてみました。ウンブリア州とマルケ州にまたがる広大なシビッリーニ山脈を、今回はマルケ側だけ歩いたので、マルケ州とシビッリーニ山脈のそれぞれの名とechinopsという属名をキーワードとして検索しました。すると、マルケ州に自生する花の一覧と、シビッリーニ山脈に生息する動植物の一覧が見つかりました。

Elenco Floristico di Supporto alle Aree Floristiche della Regione Marche
Flora e Fauna dei Monti Sibillini

 そうして、この二つの一覧から、マルケ州、シビッリーニ山脈に自生するヒゴタイ属の花は、Echinops ritro(ルリタマアザミ、エキノプス・リトロ、ウラジロヒゴタイ)とEchinops sphaerocephalus(エキノプス・スファエロケファルス、セイタカヒゴタイ、パール・グローブ・シスル)のいずれかだということが分かり、シビッリーニ山脈の動植物一覧には、この二つの写真も掲載されているので、Echinops ritro(ルリタマアザミ)だと分かりました。ちなみに、イタリア語名は、Echinops ritroがcardo pallottola coccodrillo、Echinops sphaerocefalusがcardo pallottolaです。イタリア語ではアザミ科の花をひとからげにcardoと呼びがちなのですが、この2種については夫も名前を知らなかったので、わたしも今回調べてみて、初めて花のイタリア語名を知りました。

 このシビッリーニ山脈の動植物一覧は、我が家にある数冊の野草の本や図鑑と違って、生息地域が特定されている上に、植物名の検索がしやすいので、とても便利です。これからはシビッリーニ山脈で見かけた植物について名前を知りたいときに、参照したいと考えています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ: 【ギフト券プレゼント】夏の1枚コンテスト 2023
by milletti_naoko | 2023-08-13 23:42 | Marche