イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

村人演じ再現する生誕場面・古の職・伝統の食もおいしいコルバーラ渓谷の風情あるプレゼーペ

 昨夕はトーディとオルヴィエートの間、テベレ川が流れ、そのダム湖、コルバーラ湖がある渓谷の小さな村、モッルッツェ(Morruzze)に、渓谷にある山村の大勢の村人が協力して演じ創り上げる幼子イエスの生誕場面、プレゼーペ、Presepe Viventeを見に行きました。

 イタリアではクリスマス当日もその翌日も国民の祝日で、クリスマス(Natale)を祝う期間は、東方の三博士が長い旅を終えて幼子イエスを拝み、贈り物を与えたとされる主の公現の祭日(Epifania)である1月6日まで続きます。

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Morruzze, Baschi (TR), Umbria 26/12/2023

 昨夕、大家族でモッルッツェを訪ねると、たそがれの空の下、古い城壁の前に再現された幼子イエスの生誕場面に風情があり、

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その後方には、生誕場面には欠かせない牛とロバもいました。

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村を歩けば、受胎告知(Annunciazione)の場面もあり、ヘロデ王の宮廷も再現されています。

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 かつての暮らしや生業を、当時の衣装を着た村人たちがあちこちで再現している様子を見るのも、興味深かったです。上の写真では、女性たちが洗濯をしています。

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 鍛冶屋もあります。

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 毛糸で何かを編んでいる女性たちの傍らで、男性がクルミを割っています。

 他にもさまざまな昔の職業が再現され、古代ローマの兵士や素朴な民の衣装などを大人も子供も身につけて、あちこちを歩いています。

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 なんと生地をめん棒で伸ばしている子供もいました。

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 道の脇にはいろいろな食材がロウソクの明かりに照らされて、ずらりと並んでいます。

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 この村のプレゼーペで特にいいなあと思ったのは、こんなふうにかつてのように料理などを作る村人たちから、訪ねる人が購入し、交流したり食べたりできることです。

 ここで夫が買っているのは、レンズ豆スープです。スープには、さいの目切りにしたパンが添えてありました。

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 ただし、普通のお金では購入できず、村の入り口であらかじめ1ユーロあたり1デナーロで木でできた貨幣に交換しておく必要があります。

 上の写真の左下にある看板には、サルシッチャやワイン、揚げた小魚など、露店で買うことができる食べ物や飲み物が書かれているのですが、わたしたちはまずは店を見て回り、食べてみたいものを見つけたあとで、入り口へとお金を交換しにいきました。

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 ブルスケッタも、オリーブオイルをかけたもの、豚の脂身を載せたものなど、いろいろあります。クリスマスの昼食でもこの日も、肉や脂質の高いものをたくさん食べていたので、わたしたちは、ひよこ豆のペーストを塗りオリーブオイルをかけたブルスケッタを食べました。ペーストが冷たいのが残念でしたが、ひよこ豆のペーストもオリーブオイルもとてもおいしかったです。

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 夫が一番気に入っていたのは、リコッタを作ってハチミツをかけて売っているこちらの店です。

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 夫が生まれ育ったテッツィオ山の小村でも、羊飼いが燃え盛る炎の上でこんなふうにリコッタを作っていたのだそうで、子供だった夫はその様子を見る機会が多かったのだそうです。

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 すくいあげてまもない、まだ温かいリコッタにハチミツをかけたものを買って食べると、とてもおいしかったです。

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 馬に乗って現れるはずだった東方の三博士は、体調を崩していたとのことで来られず、見られなかったのですが、趣ある村のプレゼーペで、クリスマスの雰囲気もおいしいものも存分に楽しむことができて、うれしかったです。

 このモッルッツェの村を挙げてのプレゼーペは、来年の1月1日と6日も、午後4時から7時まで開催されるとのことです。近くにお越しの方はぜひ訪ねてみてください。

 わたしたちは昨夜、このあとトーディの義弟宅に寄り、皆でおしゃべりを楽しみ、義弟たちが店に取りに行ってくれたピザを夕食に食べてから、夜遅くに家に戻りました。

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Suggestivo e carino il Presepe Vivente a Morruzze
nella valle di Corbara
Buona la ricotta appena fatta sul fuoco che arde
come si faceva una volta
Morruzze, Baschi (TR), Umbria 26/12/2023
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:クリスマス
Commented by cut-grass93 at 2023-12-27 21:25
まるで本物の生きた人のような人形で凄いです。
Commented by milletti_naoko at 2023-12-27 21:29
草刈真っ青さん、この村では本物の生きた人がプレゼーペの場面を演じているんですよ。
Commented by zao480 at 2023-12-27 22:31
私も最初は小さな人形のプレゼーペなのに随分凄いなと思ったら、本当の村人が演じているのですね。はちみつをかけたリコッタやブルスケッタ、本当に美味しそうです。(退院してからも、塩分、脂肪分、糖分を制限した食事にするように言われたので、なおさら食べたくなってしまいました(;'∀')) 豆やオリーブオイルはいいそうなので、なおこさんが食べたブルスケッタは再現してみたいです。
Commented by milletti_naoko at 2023-12-28 06:54
zao480さん、リコッタはどういうわけか、夫がいつも買ってくる同じ
業者が作るものでも毎回味などが違うのですが、このできた手の温かい
リコッタはいつになくおいしかったです。
おいしくて手軽に食べられるのですが脂肪分が多いので、夫が買ってくるたびに、
うれしいような困ったような……

みかんを一つ食べてからだと脂肪分の高いものや糖分の高いものを食べても、
体への悪い影響を幾分かは抑えることができるのだそうです。できるだけ量を控えた
方がいいとは知りつつも。

豆やオリーブオイルはいいのですね! ではぜひ試してみてください。びっくりするほど
おいしかったです。

どうかくれぐれもお体を労ってお過ごしくださいね。
Commented by みーは at 2023-12-28 10:01 x
個人的にイタリアほどプレゼーべに力を入れている国を知らないんですが、なぜそれほどまでにこだわっておられるんでしょう。
最近30年ほど前の南イタリアを巡る旅番組を見たのですが、近代的ではないことに驚きました(日本のバブル期です)。正直その貧しさに少々ショックを受けてしまいました。北の方はまた違ったのでしょうか。それとも国全体的にあのような感じだったのでしょうか。
Commented by katananke05 at 2023-12-28 10:31 x
村人たちが昔の装束で昔ながらに 食材をつくり 販売しているのはとても 面白く楽しいものですね〜
これは小さな村での 村おこし成功の例でしょうね〜
日本でもこのような 村をあげての大掛かりで
見た目もたのしい お祭りがあると
きっとにんきになることでしょう〜
リコッタチーズは バッフォローのミルクでつくるんだっけ、、
暖かい出来立てに はちみつかけたの 美味しそう〜
Commented by koito_hari616 at 2023-12-28 14:12
こんにちは

本来は1月の第一に曜日まで続くのですが
日本はお正月と言う国民的な祭日が有るので
25日が過ぎればクリスマスの飾りつけは撤収です
心の中では。。。。
ご近所の方の目も有りますし、ダラシナイお家と見られたくないので。。弱い心です
Commented by ciao66 at 2023-12-28 15:51
村人もプレゼーベと同じような格好をして、
2000年前のローマ時代を再現していますね!
ベールをかぶってベツレヘムあたり?の雰囲気もしますし。
これを村人も楽しんでいるのでしょうが、臨場感が有って、
タイムマシンに乗って飛んでいるかのようです。
受胎告知の場面は、名画で見ると宮殿の様なところだったりしますが、
なるほど、ほんとうはこんなところだったのかと。
おまけに、美味しいものも食べられて、素晴らしいイベントでしたね!
Commented by milletti_naoko at 2023-12-28 17:21
みーはさん、800年前に聖フランチェスコが初めてのプレゼーペを
考えついたときは、貧しさと寒さの中に幼子イエスが生まれてきたのだという
その状況をできるだけ人々に感じてほしいという思いからだったとの
ことで、クリスマスのミサの説教や歌を聞いても、そういう意図が今も生きて
いるからではないかと思います。

わたしは逆に近代文化に飲まれず、かつての住宅や慣習が残っていることに
安心するんですよ。産業の発展は主に大都市や北イタリアであったこと、
イタリアでは特に中世や山の自然公園の町並みについては、改築に関して
変更についての規制が厳しいこともまたその理由かと思います。
Commented by milletti_naoko at 2023-12-28 17:25
katananke05さん、村の人ばかりか近隣の村の人も皆参加しての
プレゼーペだそうで、歴史や伝統、地域でのつながりを大切にしよう
という心がこういうすてきなお祭りにつながるのだと思います。

ウンブリア州では牛や羊のミルクを使うことが多く(と言うより、
ウンブリアでは水牛は見かけたことがないので、いたとしても少ないと
思うのです)、うちの夫は羊乳のリコッタを好んで購入しています。
できたてのリコッタ、おいしかったです♪
Commented by milletti_naoko at 2023-12-28 17:33
結うさん、日本では店の飾りつけでも、クリスマスのあとは
一気に正月飾りになりますよね。一番大切な国の祝日ですもの。
日本ではクリスマスツリーや飾りはすぐに片づけて、教会では
祝いが長く続くとは知らない人も多いので、信者の方は
そういう苦労もされるのですね。
Commented by milletti_naoko at 2023-12-28 17:41
ciao66さん、小魚を揚げたり、リコッタチーズを作ったりする人などは
火の近くにいて動きもするので、忙しいものの暖かいと思うのですが、
ずっと動かずにポーズを保たなければいけない人たちは大変だなあと思いました。
小さな子たちもかつての衣装を着て、はしゃいであちこちを歩いていて、
楽しんでいるようでしたし、見ていてもほほえましかったです。
古代ローマの衣装の人を見ると、ついぎくりとしてしまったり。
受胎告知は確かにおっしゃるとおりですね。
見て歩くだけではなく、買って食べるという形でこの世界の中に参加もできて、
とてもよかったです♪
by milletti_naoko | 2023-12-27 19:40 | Umbria | Comments(12)