遠い昔、ペルージャ外国人大学のイタリア語・イタリア文化講座に通っていたとき、イタリア文学とダンテ購読の授業で、『神曲』のいくつかの章や場面についてかなり詳しく学んだものの、古いイタリア語で書かれている上に、歴史上の実在の人物が多数登場していることもあって膨大な長い注があることもあり、以後はすっかり『神曲』そのものからは遠ざかっていました。
ダンテの没後700周年の記念の年だった2021年に、『神曲』を構成する地獄篇・煉獄篇・天国篇それぞれの名を持つ特別限定版のジェラートが販売されたというお話は当時いたしましたが、この年には他にも、ダンテ関連の催しがイタリア全国で多数開催されました。
この夏、初めて訪ねて感嘆したエオリア諸島のブルカーノ島をはじめ、読んでいると、わたしが訪ねた場所がいくつも『神曲』の舞台、あるいは関連のある場所として出てきて、そんなことも興味深かったです。
この本では単に『神曲』を物語として語るだけではなく、舞台となった場所にそれ以降に起こった歴史的事実や、現代の時事問題なども織り交ぜて紹介してあるので、ウェルギリウスの助けを借りて地獄を旅するダンテが地獄で目にする恐ろしい風景や地獄で苦しむ人々の語りやダンテの思いを知るばかりではなく、本を通して、イタリア半島や歴史の旅もすることができたように思います。読み始めて本の世界に魅きつけられるまでに時間がかかりましたが、一度読み始めると、続きが楽しみになり、楽しんで読書を終えることができました。
あれこれ考えた末、この本を読み終えたあとは、せっかくだからこの機会にと、『神曲』の地獄篇を読み始めたのですが、来年の手帳と家計簿を日本から取り寄せたついでに、日本の本もいくつか注文したので、地獄篇を読むのは今はやめて、おとといあたりからは日本から届いた本の一冊を読んでいます。

ちなみに、この本を初めて写真で撮影した2020年12月25日には、横に別の本が並んでいて、この右の本はもう長いこと目にしていないのですが、おそらくはこの年、夫がいっしょにクリスマスに贈ってくれた本なのだと思います。せっかく夫が贈ってくれたというのに、当時わたしは日本の小説を夢中になって読んでいたため、実は2冊とも夫が先に読み終えたので、右の本はそのあと、夫が積み重ねておいてある本の中のどこかに紛れているのだと思います。
とりあえずは今回日本から届いた本の読書を楽しみ、それが終わったら、この失われた本も発掘して読んでみたいと考えています。
Isola Vulcano visto dall'aereo da Catania a Perugia 28/9/2023
最後に1枚、カターニアからペルージャへと戻る飛行機の中から見えてうれしかったブルカーノ島の写真を添えておきます。