イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

傘の奥さん La signora dell'ombrello

 昨日の夕方、今年初めての日本語の授業を終えた帰り道、スーパーで買い物をしたら、気に入った色の折り畳み傘があったので、購入しました。イタリアで買う傘は、大きな傘も折り畳み傘もすぐに壊れてしまいがちです。2017年に購入した開くと花が咲くように見える大きい傘は、気に入っているので、傘の親骨の先の布を止める部分、露先が二つなくなった今も使い続けています。やはりずいぶん前に買った折り畳み傘は、いつだったか風の強い雨の日にさそうとしたら、骨が曲がってしまっていたので、代わりの傘を購入しようと考えていたところでした。

 珍しく一目見て気に入った色があったので、まずは店頭で、傘がさしやすく閉じやすいかどうか調べるために、傘を開いてみました。以前に別の店で見かけた自動開閉の折り畳み傘が、さすにも閉じるにもかえって手間がかかったのに対し、手動でさっと開いて閉じることができたので、すぐに購入を決めました。

傘の奥さん La signora dell\'ombrello_f0234936_23042770.jpg

 ところが、他にも食料品などを購入し家に戻って初めて、店で傘の開き具合を試すために脇に置いた傘袋を、うっかりそのまま傘を並べてあった棚に置き忘れて、傘袋なしに買ってしまったことに気づきました。店に電話すると、幸い「中身のない傘袋が一つあります」とのことです。照明がやや暗い店内では赤く見えた傘が家に帰って蛍光灯の光で見るとピンクに見えたので、「ピンクの傘を……」と尋ねたら、店の人も「でもこの傘袋、ピンクではなくて赤い色をしているんですけれども」と言っていました。

 今朝、傘袋を取りにスーパーに行くときは、いろいろな考えが頭をよぎりました。スーパーは混んでいるだろうから、しばらく店員が来るのを待って、それから事情を説明する必要があるだろう。買った傘といっしょにレシートも持って行こう。

 けれどもすべて杞憂に終わり、わたしが折り畳み傘を片手に店に入ったとたんに、一人の店員さんが「傘の奥さんですね。」と片手を高く上げてあいさつし、すぐに傘袋を渡してくれました。

 傘の奥さん、La signora dell'ombrello。

傘の奥さん La signora dell\'ombrello_f0234936_22292739.jpg
記事、「イタリア語、トイレの入り口要注意」から

 昼食時にその話をしたら、夫が「メリー・ポピンズ」みたいだねと言いました。「女性、婦人、奥さん」を意味するイタリア語、signoraは、イタリア語ではテレビドラマの題名にも使われていて、『ドクタークイン 大西部の女医物語』(原題は『Dr. Quinn, Medicine Woman』)のイタリア語の題名は『La signora del West』(直訳は「西部の女性」)、『ジェシカおばさんの事件簿』(原題は『Murder, She Wrote』)は『La signora in giallo』(イタリア語の名詞、gialloは「黄色」という意味ですが、「推理小説、探偵小説、ミステリー」という意味もあります。)なのです。英語の原題や邦題と違って、La signoraという名詞に一つ形容を加えただけなので、それだけこの「女性、婦人」を意味するsignoraという言葉が強調されているように思います。

 新春早々、「傘の奥さん」と呼ばれて、何かの主人公になったような楽しい気分がしたわたしなのでありました。

傘の奥さん La signora dell\'ombrello_f0234936_00055234.jpg
https://mediasetinfinity.mediaset.it/diretta/_cTS

 ちなみにイタリアでは、現在、27チャンネルで『La signora del West』を放映しています。まだ日本に住んでいた頃、英語学習も兼ねて見ていた好きなドラマだったので、時々おやつを食べたりアイロンがけをしたりしながら見て楽しんでいます。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:【お年玉プレゼントキャンペーン】年末年始・新春の一枚 2024
Commented by cut-grass93 at 2024-01-05 08:01
一人の店員さんが「傘の奥さんですね。」

⇒なんとなく、とても日本的な店員さんですね
Commented by pothos9070 at 2024-01-05 17:55
傘の奥様、ってなんだかお洒落な感じですね~♪
かなり丈夫な傘でも壊れてしまうってのは、
やはりnaokoさんの行動力の裏返しということでしょうね。
それだけ雨の中でもどんどん行っちゃうって素敵ですw
私もたまに壊してしまうので、今は骨が24本ある傘を
使っています。
幸いまだ壊れていません^^
Commented by nonkonogoro at 2024-01-05 19:59
以前リサイクルショップで購入した
イタリア製の大きな傘は マンドリンのイラスト入りで
とても気に入っていたのですが 雨漏りするようになりました。日傘にしようかな~
とても素敵な柄なので。。。

ローズピンクの可愛い色の傘ですね。
Commented by edochiana at 2024-01-05 22:14
以前、イタリア旅行中に友人と色違いの傘を買った事が
ありました。日本に持ち帰りさしたら、傘についた犬の
模様が雨で取れてしまったと友人から聞きました。
その犬の模様が可愛かったのに・・・。その話を聞いて
私も恐る恐る使っていますが、まだ犬は取れずに
ついています。日本製の傘に比べると、多少壊れ
易いようですが、デザインや色が美しいと欲しく
なります。
Commented by milletti_naoko at 2024-01-05 22:40
草刈真っ青さん、そうなんです。
たぶん店員さんも、わたしがいつ来るだろうと、注意して客が来店するたびに目を配っていてくれたのだと思います。ありがたいことです。
Commented by milletti_naoko at 2024-01-05 22:48
ぽとすさん、ありがとうございます♪
受け取れるまでに時間がかかるだろうと思っていたら、
すぐに傘を渡してくれた上に、何だか新たなニックネームが
できたようで、うれしかったです。
ウォーキングやトレッキングの時は雨が多少降っても大丈夫なように
防水のウインドブレーカーや雨合羽をたいていの場合は携帯しているんですよ。
イタリアは、これは近年になってからの現象らしいのですが、最近は大雨のときは
暴風であることも多いこともあって傘が壊れやすいのだと思います。

なんと骨が24本あるとは! なるほど傘を頑丈にするには、そういう工夫も必要なのですね。
Commented by milletti_naoko at 2024-01-05 22:52
のんさん、なんとイタリア製のマンドリンの絵のある傘をお持ちだっとは!
よっぽどすてきな傘なのでしょうね。大切にしてもらって、傘も
感謝していることでしょう。

ありがとうございます。きれいな色だなあと、一目で気に入りました♪
Commented by milletti_naoko at 2024-01-05 23:00
edochianaさん、なんと雨で濡れて模様が取れてしまうとは!
雨で傘の色が落ちたという話はこちらで聞いたことがないように思うので、
驚きました。お持ちの傘の犬たちは今のところ健在とのことで何よりです。

デザインのきれいな傘って、雨の日が楽しみになりますし、さすのも
楽しいですよね。
Commented by katananke05 at 2024-01-06 10:19
傘の奥さん、、
なんか 絵本の題のような
ほんわりとした素敵な よび方ですね
 
英語だとさしずめ

「The Lady of an Umbrella」かしらね〜  
Commented by milletti_naoko at 2024-01-06 17:34
katananke05さん、ありがとうございます。
signoraは近年では未婚・既婚に関わらず使うので
「傘のご婦人」と言うのが政治的に正しいのでしょうが、
日常よく使われるこなれた言葉なので「奥さん」としました。

この英語の題名だと、傘をふるって魔法が使えたり、
悪者を退治できたりしそうですね。
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by milletti_naoko | 2024-01-04 23:28 | Lingua Italiana | Comments(10)