イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ブルカーノ島の海辺の花とリーパリ島紀元前の陶器 読んでます『リーチ先生』

 9月のエオリア諸島旅行で、最初に訪ねたブルカーノ島で海辺を歩くと、

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Isola di Vulcano (ME), Sicilia 20/9/2023

イタリア語名をgiglio di mare「海のユリ」という美しい自生の花、パンクラチューム・マリチウム(Pancratium maritimum)が咲いていました。

 奥に見える黄色い花も、

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やはり海岸沿いに自生するシーフェンネルで、イタリア語名はfinocchio marino「海のフェンネル」、学名はCrithmum maritimumです。

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 この日、9月20日は、ブルカーノ島の宿をチェックアウトしてから、わたしたちが乗る予定だったリーパリ島行きの船が出るまでに時間があったので、スーツケースを宿に置かせてもらって、こちらの砂浜のあたりをしばらく散歩しました。Spiaggia delle Sabbie Nere「黒い砂の浜」という名のとおり、砂が黒いのですが、

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岸辺に沿って歩いていくと、地面はやがて岩となり、海の水は青く透きとおっています。

 このあと、船でリーパリ島に移動し、昼食後にエオリア諸島考古学博物館(Museo Archeologico Eoliano)を訪ねると、

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Museo Archeologico Eoliano, Isola di Lipari (ME), Sicilia

白いきれいな花が描かれた陶器があったので、

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きっとブルカーノ島で見たばかりのあの白い花に違いないと思いました。けれども、今になって確認すると、描かれた花には花びらが五つあり、一方、「海のユリ」の花びらは六つです。

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 上の写真の右手にある陶器の下方に描かれた模様を見たときは、シーフェンネルが頭に浮かんだのですが、これもまた何か別のものを念頭に置いて描かれたものかもしれません。

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 リーパリ島の紀元前300〜251年のものと推定される墳墓遺跡で発掘された陶器には、こんなふうに黒や茶色を基調とした陶器に、白で花などを描いてあるものがたくさんありました。

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 こういう装飾が施された陶器は、これまでわたしがイタリア各地の考古学博物館では見たことがない、珍しいものであるように思います。草花が描かれているのもうれしくて、写真も何枚も撮影しました。

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 先月末に、新しい年のための手帳と家計簿を日本から取り寄せたときに、本も3冊購入しました。年末から読み始めた『少年少女のための文学全集があったころ』を1月5日に読み終えて、1月6日からは原田マハ著の『リーチ先生』を読んでいます。どちらもとてもおもしろいので、寝る前に少し読もうと思って本を開くのに、そのまま読み続けてしまい、つい眠るのが遅くなってしまうことがしばしばありました。

 『リーチ先生』の物語の世界に引き込まれ、毎晩読むのが楽しみなのですが、残るのが数十ページとなり、もう寂しさを感じています。情熱を傾けて陶芸の世界で切磋琢磨する人々が主人公の小説ですので、本の感想そのものはまたいずれお話しすることにして、今回は去年見ていいなあと思った陶器と花をご紹介しました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by koito_hari616 at 2024-01-23 14:46
こんにちは

「海のユリ」という美しい自生の花、パンクラチューム・マリチウム
↑ このようなお花を見ると、やはりヨーロッパの花だと思いました
フランネルフラワーの枝と言いますか茎の部分が。。。似ているような
私如きの頭で思うと、5弁の花びらの平咲きは原種だなぁ。。と、思っていました
それがそうなんだなぁ。。と、何となく納得してしまいました
きれいなお花です、陶器の形も面白くて可愛いです♪
Commented by ciao66 at 2024-01-23 17:52
原田マハの美術関係の作品はやはり面白いですね。
『リーチ先生』は私も何年か前に読んだことが有ります。

バーナード・リーチの陶芸作品は日本のいろんな美術館に展示してありますが、やはり影響が大きかったのでしょう。
https://mingeikan.or.jp/collection_series/bernard_leach/
↑日本民藝館の所蔵品ですが、これは素晴らしかったです。
並べてみるとイギリス人の作品とはとても思えないような・・・

いい作品に出会えてよかったですね♪
Commented by zao480 at 2024-01-23 23:07
紀元前でこんなに複雑できれいな植物の模様が描かれている陶器が沢山あるとは、ヨーロッパはやはり凄いですね。
描かれている5弁の白花を見た時、芯の部分が黄色いこともあり、日本の水草のガガブタを思い浮かべました。ただ、模様の花はつる植物のように描かれているので、もしかしたらつる性のガガイモという植物なのかなぁ。ガガイモは中心から伸びている筋は黄色ではなく紫色ですが、やはり花弁のまわりに毛があるのです。
古代の器などに描かれている画で、当時生育していたいろいろな植物を想像してみるのは面白いですね。
Commented by milletti_naoko at 2024-01-24 19:30
zao480さん、特に紀元前のものは古代ギリシャの陶器の影響が色濃いものが
多く、そうすると神や人物や動物が描かれるのですが、そうでない場合は、
幾何学模様のようなものが多い印象があるので(わたしが見て覚えている範囲では)、
白でこんなふうに花や植物を描いてあるのは、おもしろいなあと思いました。

昨日から今日にかけてざっと調べてみたものの、いったい何の花であるかは
まだ分からず、一方、ガガイモはアジアには生育するものの、イタリアには
ないみたいです。ガガイモ科にもいろんな花があり、ウィキペディアによると
つる性のものが多く、花が星型になるものが多いとのことですから、
ひょっとしたら、この科の花かもしれないのですが、またこの時代のリーパリ島など
での花の装飾の方から調べてみて、いつか分かったら、お知らせしますね。
Commented by milletti_naoko at 2024-01-26 19:13
結うさん、こんにちは。
自生ながらあでやかな海辺に咲くこの花は、見ることが
まれなので、美しい花が見られてうれしかったです♪

この頃の陶器に、こんなふうに花が描かれていることって珍しい気がします。形も模様もきれいでおもしろいですよね♪
Commented by milletti_naoko at 2024-01-26 19:19
ciao66さん、原田マハさんの作品、おもしろいですね。
本の世界、芸術家たちの世界にどんどん引き込まれています。
ご紹介をありがとうございます。さっそくリンク先の記事を拝見しますね。
by milletti_naoko | 2024-01-22 23:47 | Sicilia | Comments(6)