イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

町を荒廃から救った作家カルロ・レーヴィ、情熱とペンの力、World Voice 連載

 古来ほとんど雨の降らないマテーラでは、

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Matera, Basilicata 2020/9/16

岩盤に空いた洞窟を利用した住居、サッシでも、貴重な水を活用するための工夫が凝らされていました。

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 わたしたちがガイドと共に訪問した、洞窟住居でのかつての暮らしが分かる博物館では、

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雨水を屋内へと取り込んで、必要な場所に流れるようにしてあったと説明を聞き、

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 貯水槽(cisterna)から水を

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どんなふうに汲み上げていたかも見ることができました。

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 人と動物がすぐそばで寝起きするなど、衛生面では問題も多いものの、こんなふうに自然から得られる水を有効活用し、

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家畜を使って穀物を挽くなど、資源と環境を大切にする暮らしや住居であること、旧石器時代から現代に至るまで洞窟住居が住居として利用され続けていることも、マテーラがユネスコ世界遺産に認められ、2019年の欧州文化首都に選ばれる理由となったのだと、今回、寄稿記事を書くために調べていた資料に書かれていました。

 昨日ご紹介した寄稿記事の続き、「町を荒廃から救った作家カルロ・レーヴィ、情熱とペンの力  〜 美しきマテーラ 荒廃・困窮から世界遺産・欧州文化首都に 後編」を、ニューズウィーク日本版の姉妹サイト、World Voiceに寄稿しました。

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https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/ishii/2024/03/post-62.php

 お読みいただけると、うれしいです。

 この記事では、カルロ・レーヴィとその自伝的小説が、どんなふうにマテーラを荒廃から救い、再生に導いたのかを詳しく説明し、その小説『キリストはエボリで止まった』を映画化した映画の予告編映像も添えてあります。音声はイタリア語ですが、英語字幕付きですので、エボリから主人公が流刑地へと向かう車から見える荒涼とした風景や、町の人々の暮らしや家も見ることができます。

 ずっと書かなければと思って、資料や本を机上に置き、同じ資料を何度も読み返してはメモを取っていた寄稿記事を、ようやく書き上げることができて、ほっとしています。これでようやく先延ばしにしていた翻訳の仕事に本格的に取りかかることができます。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by kazureru914419 at 2024-03-16 19:55
外国でも水の少ない所では工夫していたようですね
此方は今でも、山奥の方達は水道施設が無く山の湧水を利用している所が有ります。
近年は無いですが雪国の寒さが厳しい所では
日本でも東北地方で「曲り家」【母屋と厩(馬屋)がL字形に一体化していることから、「曲り家」と呼ばれる。】住居が有ったようです。
Commented by milletti_naoko at 2024-03-16 23:34
kazureru914419さん、昔の人が身近にある手に入るものを
生き延びるために有効に活用しようとした、その暮らしの知恵や
技術はすばらしいですね。そういう家が、日本の東北地方にも
あるとは!
Commented by yuta at 2024-03-17 06:51 x
洞窟住居で生活興味がありますね。
ちょっと暮らしてみたいような。
湿気とかどうなんでしょう。
Commented by ciao66 at 2024-03-17 11:37
「イタリア緑のこころ」を拝見しました。
有名なマテーラの街の再生できたのは、そして世界遺産になったのは、
作家のカルロ・レーヴィの熱心な運動が大きく寄与していた、
というのは知りませんでした。
周囲を巻き込んでのことでしょうが、個人の運動の力も大きいですね。
そして、マテーラでは、なんと石器時代からの洞窟を使っているところがある!というのも初めて知り、びっくりしました。
1000年以上・・・他ではそんなところは聞いたことが有りません!

Commented by milletti_naoko at 2024-03-18 17:33
yutaさん、今はおしゃれに、あるいは便利に改築されて
旅行者が快適に過ごせるようになっている洞窟宿が
あちこちにできているんですよ。

湿気はどうなのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2024-03-18 18:17
ciao66さん、ありがとうございます!
寄稿記事も読んでくださったのですね。カルロ・レーヴィの作品と
その影響については、記事を書くにあたってさっと読み返した当時の
イタリア文学の授業のノートにも買いてあったのですが、実際に自分が
マテーラを訪ね、映画も見たあとでは、その貢献の大きさをつくづくと感じて、
感動しました。

洞窟住居や古い町はイタリアではトスカーナやラッツィオ州などの他の町で
見かけたことがあるのですが、そういう住居が今でも使われていて、町が今も
存続しているというのがすごいですよね。
by milletti_naoko | 2024-03-16 19:09 | Basilicata | Comments(6)