イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

赤い夕日のぞく空と万歳 翻訳の仕事終わりほっと一息

 日暮れて道遠し

 昨日が締め切りだった翻訳の仕事は、メールで送付できるのをいいことに、日の暮れどころか午後10時前にようやく翻訳を終えることができました。

赤い夕日のぞく空と万歳 翻訳の仕事終わりほっと一息_f0234936_04583965.jpg
17/3/2024 18:14

 できあがった翻訳をワードの文書のまま送ってしまうと、受け取る側がオペレーティングシステムなどをイタリア語で使っている場合、日本語の文章の文字が化けたりフォントが変わったり、レイアウトが崩れてしまったりしがちです。

 それで、翻訳すべき文書を手渡してもらったときに、PDFファイルにして送りますねと言い、依頼者からも了承してもらっていたので、二つの文書の翻訳をそれぞれPDFにしました。そうして、ファイル名を依頼者に分かりやすく、かつ以後の作業がしやすいものに書き直して保存して、メールに添付して送っていたら、結局、送付時刻が午後10時24分になってしまいました。

 指定されたメールアドレスは、すでに2回顔を合わせて、翻訳すべき文書をわたしに手渡した人とは異なる人あてだったので、問題がありませんようにと願いながら今朝メールを確認すると、「翻訳を受け取りました」というメールはなかったのですが、念のために設定していた「開封確認通知」が届いたので、ほっとしています。

赤い夕日のぞく空と万歳 翻訳の仕事終わりほっと一息_f0234936_05231573.jpg
17:15

 今までまったく経験したことのない分野の翻訳で、見聞きしたことがある言葉なので意味するところは分かっても、ではこの専門分野で使われているときに、日本語ではどう言うのか、それが調べても定かでない言葉も多々ありました。

 文書を受け取ったのは3月4日だったのですが、日本語教師としての仕事や家事のほかに、昨年11月が最後でそのあとは記事が書けていなかった寄稿記事の執筆の仕事もあり、まずは先に寄稿記事を2本仕上げてしまってから、翻訳に集中することにしました。寄稿記事は、月の締め切りが毎月20日なのです。

 翻訳も寄稿記事の執筆も日本語の授業の準備も、どこまでやってもきりがないところがあって、パーキンソンの法則が言うように、割ける時間があればあるだけそれに充ててしまいがちです。寄稿記事も、半日しかなければ半日でも書ける記事もあるのに、いったん書こうと思って、あれこれ調べ始めたら、いつまで調べても調べたりないように思えたり、あるいは、書きたいことが多くなり過ぎてしまって、結局書くまでに数日かかったり数週間かかったり、あるいは、結局途中で間に合わずに書くのをやめてしまったりすることも少なくありません。

赤い夕日のぞく空と万歳 翻訳の仕事終わりほっと一息_f0234936_05365481.jpg
17:23

 そこで、文書を受け取った日にざっと目を通して、毎日数時間ずつ真剣に取り組めば10日あれば余裕を持って翻訳を終えることができるだろうと判断して、以後は文書を時々読み返して、辞書で意味を調べて書いたり、関連分野の情報を調べて読んだりはいたものの、それまでの間は、他の仕事の方を優先しました。

 10日前に翻訳の仕事を本格的に始めたときに、さっとどんどん仕事を進めていけばよかったのですが、「意訳はせずに直訳をするように」とは言われていても、例えば、とあるお役所の名前は日本語では通常どんなふうに訳されているのかというそんなことを調べようとしても、インターネットでその訳が二つしか見つからず、しかも別の地域の同じ役所は異なる訳し方がされていてと、そんなふうにたった8単語であっても、最も適切な訳し方、日本で一般に知られている名前は何かと調べて、どう訳すか決めるまでに数時間かけてしまったりしました。万事とは言いませんが、同じように日本語の専門分野ではどんな言葉が該当するのかを調べるのに時間を費やした言葉や言い回しも多々ありました。

 というわけで、翻訳は時間があればあるだけかかってしまうところもあるからと、作業を始めるのを遅らせたにも関わらず、最もふさわしい訳を目指して、紙の辞書を引くばかりではなく、関連分野の情報などもインターネットで調べていたら、6ページの文書の翻訳に10日間を予定してあっても、毎日数時間ではとても足りず、先週の週末はどこへも出かけず、ウォーキングはしても筋トレはする余裕のないまま、朝から晩までひたすら翻訳に励むことになり、提出期限だった25日月曜日は、前の晩から朝5時過ぎまで翻訳作業を続け、2時間だけ眠ってから、また翻訳に取りかかりました。

赤い夕日のぞく空と万歳 翻訳の仕事終わりほっと一息_f0234936_05461438.jpg
18:16

 特にそのうち2ページは、大半が、法律の長い条文のうちの2行ほどを抜き出して羅列してあるのですが、前後の文脈がないので、その2行ほどだけ読んだのでは語彙の訳を特定できないことが多く、結果として、その2行を訳すために、その文を含む1ページ、時に2ページほどもある専門用語の多い法律の条文を何度も読み返さなければいけないということが続いて、それで、たった2行を訳すのにかなりの時間がかかったために、最後はそんなふうに突貫作業で訳すことになったのでありました。この仕事にしても、昨年受けた多国籍企業からの通訳や翻訳の仕事の大半にしても、具体的な内容については秘密を保持しなければいけないので、夫にも詳細についてはいっさい言っていません。

 本当は金曜日までに仕上げるつもりだったのに、あと少しというところから翻訳が難航してしまい、提出がぎりぎりとなってしまいました。実は、翻訳すべき文書を受け取った際に、「翻訳がもしこの日までにできなくて多少遅れてもそれでも構わないのですが、締め切りを過ぎてしまうと、報酬を支払う際に手間が余計にかかってしまうという問題があるんです」と聞いていました。

 実はこの仕事は、わたしに依頼をして直接文書を渡してくれた人と、わたしが翻訳を送付しなければいけない相手が異なるだけではなく、報酬の請求の仕方を尋ねなければいけない人も別の人です。「翻訳が終わったら連絡して聞いてみてください」と受け取った連絡先はなんと電話番号なので、これまた手間がかかりそうです。昨晩から今日にかけては、睡眠不足を取り戻すべくしっかり睡眠を取ったのですが、それでもまだ疲れを感じているので、電話はまた明日にでもかけるつもりでいます。


 とりあえずは、大変だった翻訳の仕事が終わって、ほっとしています。


 写真は、3月17日日曜日に、スポレートの南にそびえるフィオンキ山の山頂から車に戻ってから、ペルージャの家に着くまでに見た夕景です。

 山を下って夫の車に戻ったとき(上から2枚目の写真)、西の空はもう赤らんでいたのですが、そのあと車で平地へと下る途中に見えたシビッリーニ山脈(上から3枚目)は、北東の方角にそびえていたので、ほんのりと桜色をしていました。

 この日の朝、車で通りかかったときには、青い空の下に白い雪を頂く山並みがきれいに見えていたのですが、フィオンキ山頂からはさらによく見えるだろうと思って撮影せずにいたら、山を登ったときには空が曇っていたので残念でした。

 でも、アッシジ付近を走行中に、西の色が茜色に染まるのが見えたのは、その雲のおかげです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

Commented by nonkonogoro at 2024-03-27 10:03
私は 英和翻訳の勉強を
ホントに長期間しましたが。。。
プロレベルには達せず 断念しました。
基礎英語力がなかったのだと諦めました。

その通信講座の時には
全く?の分野のテキストがあって
特に まだ パソコンが普及してない時代に
「フロッピー」が登場していて
パソコン用語も チンプンカンプンだったのに
なんとか 課題提出しました。
思い出して苦笑しています。

あの当時 グーグル検索ができれば
もしかしたら もうちょっとレベルアップできたかな。。。
Commented by Penta-02 at 2024-03-27 11:51
通訳とか翻訳、お互いの言葉に変えるのは専門用語になると、大変苦労するでしょうね。
日本国内でも表現が違うとなると考えてしまいますね。

日本で暮らしていると、主に英語を使った外来語が多過ぎると思いますが、英語から翻訳した方がピッタリ当てはまるかも知れないですね。
日本語には主に英語の外来語が多いですから、こんな場合も英語を知っておかないとダメですから、特に通訳する場合は苦労するでしょうね。
Commented by ciao66 at 2024-03-27 15:58
パーキンソンの法則が言うように、割ける時間があればあるだけそれに充ててしまいがち、というのは本当にそうだ、時間を決めてやるのがいいね、と思いながら読んでいくと・・・

専門用語の壁?も有って、ほかにもいろいろ有って、ちゃんと仕上げるためには、予定通りには進まない、それが翻訳のお仕事だと、なるほどと思いました。

無事に終わって良かったですね。お疲れさまでした!

Commented by koito_hari616 at 2024-03-27 16:28
こんにちは

言葉って難しいですよね
しかも、その国の言葉を知らない人に分かるように訳さないといけない
コレはややこしいです
バベルの塔で言葉が全世界に散らばったことを恨みますよね
一つの言語だったり近かったりだと良いのに
しかしそうなると、なおこさんのような方のお仕事が減りますが。。
Commented by milletti_naoko at 2024-03-27 18:44
のんさんは通信教育で本当に多種多様なことを勉強されていますね。
英和翻訳は、わたしも日本に住んでいた頃、イタリア語の勉強を始める
前に修了したことがあります。

その当時もすでにパソコン関係の翻訳の課題もあったのですが、課題図書
の中に、そういう関連の翻訳について書いた本もあり、いろいろな英語の
訳語が、各社、各翻訳者でばらばらに考えられて、まとまらないままだと
いったようなことが書かれたように覚えているのですが、イタリア語の場合、
まだいろいろな分野で、業界ごとの専門的な用語や用例をまとめたような
辞書がなく、さらに、訳語が決まっていない言葉も多いのが問題だなあと
作業をしながら思いました。
Commented by kazureru914419 at 2024-03-27 20:59
大変な仕事を、お疲れさまでした
寮で日本全国の者が集まった時には、方言で色々苦労しました
子供が県外の人と結婚した時には、私の土佐弁が通じなかったです (^^;
仕事頑張って下さい (*^▽^*)

Commented by milletti_naoko at 2024-03-28 17:11
Penta-02さん、英語と違ってイタリア語の場合は、専門用語としての
訳はまだ固定していない場合もあり、また英語ほど需要がないので、
辞書や業界用語辞典の類も残念ながら少ないのです。
せめてはインターネットで調べられるのがありがたく、日本語から英語、
英語からイタリア語でようやくこれという訳に出会えることもありました。

そういう意味で、英語を媒介できると助かることも多々あります。
Commented by milletti_naoko at 2024-03-28 17:58
ciao66さん、早く取りかかっていてもきっと
時間をかけてゆっくり取り組みすぎて、
やはり最後になって慌てていたように思います。

読んで意味は分かるものの、日本語として訳そうと
すると前後の文脈が分からないと適切な訳語が
特定できない、そういうページが最後の方に重なって
いて、しまったと思いました。

ありがとうございます!
Commented by milletti_naoko at 2024-03-28 18:30
結うさん、こんにちは。
「バベルの塔」をもじって、『バベルの挑戦』(Le sfide di Babele)と題した、外国人へのイタリア語教育研究について書いた本があるのですが、
https://cuoreverde.exblog.jp/30451497/
言葉の違いはそれぞれの国が育んできた文化や慣習、とらえ方の違い
であり、豊かさなのだなと感じています。

寿司もおいしいけれどもパスタもおいしい、そういう多様性や新たな
発見をもたらして、世界や人生をより豊かにしてくれるのではないかと。
Commented by milletti_naoko at 2024-03-28 18:43
kazureru914419さん、ありがとうございます。
それは大変でしたね。わたしも愛媛県内の南の町に転勤したとき、
事務室で話されていた方言の会話が理解できなくて、心配になったことを
思い出しました。都道府県もさまざまでは、さぞかしご苦労も多かった
ことでしょう。

日本でもそういうことがあったのですね!
イタリアでは、国が統一されたのが1861年だったので、
方言どころか各地でそれぞれ、似てはいても異なる言語が話されていて、
兵役による移動もイタリア語の国民への浸透に大いに役立ったそうです。
Commented by koito_hari616 at 2024-03-28 21:11
再コメントです

〈私を大事にしてください 時間は外側であなたを変え、愛は内側であなたを変えます〉
この言葉は今の私には涙が出るほど分かります
言葉は、世界中の言語もそうですが、日本の中でも北と南で
方言と言う豊かな言葉が有ります
生活や風土によっても同じ日本でも違いますね

聖書の一節なのですね、とても現代的に訳されて
分かり易かったです
Commented by milletti_naoko at 2024-03-29 00:05
結うさん、リンク先の記事も読んでくださったんですね。
ありがとうございます。
引用されている言葉は、シモーネ・クリスティッキという
シンガーソングライターの歌の歌詞なのですが、人生や社会を深く
見つめた考察や言葉がすばらしいと思いますし、実は本人と間近に
見る機会もあったのですが、とてもきさくな人なんですよ。
by milletti_naoko | 2024-03-27 06:27 | Umbria | Comments(12)