イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

クロッカス咲き雪残るシビッリーニ山脈にサハラ砂漠からの砂嵐

 今日、サハラ砂漠から吹き上げられた砂がイタリア半島上空を覆い、流れていく中、シビッリーニ山脈(Monti Sibillini)を歩くと、

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Monti Sibillini 30/3/2024

風景は砂に霞み、時に吹き飛ばされるのではないかと思うほど激しい風にも出会いましたが、雪を頂く高峰の眺めや、クロッカス(croco)の花がとてもきれいでした。

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 出発地点は、山小屋、Rifugio La Baita(1651m)です。今年1月20日には、激しい風に雪が舞い上がり、山小屋の駐車場までの車道が途中からすっかり雪に覆われていたので、下方の駐車場から山小屋まで歩いて登ったのですが、

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今日は相変わらず強い風が吹いていたものの、気温は高かったために雪はすっかり姿を消し、山小屋の駐車場の奥には、以前にはなかったレストランかバールになるのではないかと思われる建物ができていました。

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 この写真は登山のあとに撮影したものですが、窓ガラスに山がきれいに映っています。

 駐車場に車をとめて、左端に見えるブルドーザーの横を通って、歩いていきました。

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 アスファルトで舗装して、車が双方通行できるようにするつもりなのか、登山道の道幅が、かつてに比べてかなり広くなり、しかも平らになっていたので驚きました。

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 右手を見やると、シビッリーニ山脈の最高峰、ヴェットーレ山(Monte Vettore、2476m)がそびえ、写真の右端には、今回はわたしたちが車で登ってきた道路が見えて、その向こうにカステッチョ・ディ・ノルチャ(Castelluccio di Norcia、1452m)の村が建つ丘があります。いつもはきれいに見えるカステッルッチョが、今日は砂に隠れて見えませんでした。

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https://www.sibillini.net/il_parco/gps/percorsi.jpg

 ゆるやかな坂道を少しずつ登っていくと、

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パラッツォ・ボルゲーセ山(Palazzo Borghese、2145m)のすぐ左にそびえるポルケ山(Monte Porche、2233m)も見えてきます。

 わたしは夫と二人で、パラッツォ・ボルゲーセ山へは、2021年8月6日に、聖ロレンツォの給水場から、パラッツォ・ボルゲーセ山の標高2090mの地点までは登ったのですが、このときは、山の向こうに懐かしいシビッラ山が見えたり、エーデルワイスの花があちこちに咲いているのを見たりするのに夢中で、頂上までは登りませんでした。

 その1週間後、2021年8月13日には、今回車で登った道がまだ工事中で車では通れない状況だったので、今日、車を止めた山小屋の駐車場よりもさらに下方、イタリア中部地震で被災した教会、Madonna della Conaの近くにある駐車場(1496m)から歩いて登り、パラッツォ・ボルゲーセ山のすぐ向こうに見えていたポルケ山を目指したのですが、炎天下だった上に道が長く、到着までまもないというところで、雷雨になったので引き返しました。

 ちなみに夫は、その後どちらの山にも一人で登頂しています。

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 後ろをふり返ると、風が吹いてくる南の方は、砂に覆われて霞んで見えます。

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 さらに歩いて、ポルケ山が正面よりやや右に見えるところまでやって来ると、それまでも強かった風がさらに激しくなり、吹き飛ばされそうにさえなりました。そのあたりまでは、南方にあった山がいくばくかは風を遮ってくれていたのでしょう。すぐ上の写真で、薄紫色で囲んであるところ(上から2枚目の写真に薄紫の矢印で示した地点と同じ)を中心にクロッカスの花が咲いていたので、後方に見えた雪を頂くヴェットーレ山と共に撮影したのが、冒頭の写真です。あまりの暴風に、帽子のつばが風に吹かれて目を覆ってしまい、写真を撮るのに苦労しました。

 2023年2月3日に、一面が雪に覆われたこの道をやはり給水場まで歩いたときには、この車も通れる登山道を歩いて登ったのですが、今日はあまりにも風が強かったので、風を避けるために、上の写真にピンクで示した斜面を歩いていきました。暴風に突き落とされては困ると、わたしは引き返そうと考えたのですが、強風を嫌がる夫が今日は「給水場まで歩こう」と進んでいくので、後についていきました。

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 ピンクの矢印で示した斜面を歩き始める前のことです。冒頭のクロッカスの写真を撮るのに夢中になって、気づくと夫の姿が見えないので探したら、道の左手下方にクロッカスが群生しているのを見つけたためでしょう、花のそばに行って写真を撮っていたので、わたしも少し下っていって、花と夫と雪山の写真を撮りました。

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 山の斜面は歩きにくかったのですが、風を山が遮ってくれることが多かったので助かりました。ところどころに雪が残っているところがあります。

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 こうしてようやく給水場、Fonte della Iumenta(1799m)に到着しました。このあたりもまた、吹き飛ばされそうなほど激しい風が吹いていたので、来た道を引き返しました。

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 給水場から下り始めてすぐに、シラー(scilla)の花が咲いているところがありました。

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 冒頭のクロッカスの写真を撮った場所が近づいてくると、風の勢いが一気に増しました。夫が言うように、行きに比べて空や周囲を覆う砂がさらに増え、風もさらに強くなったように思います。

 風のあまりの激しさに不安になったときもあり、風景が砂に霞んではいましたが、久しぶりにシビッリーニ山脈を歩いて、美しい雪の山やクロッカスの花を見ることができて、うれしかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:今日いち「ハピネス」だった事
Commented by ciao66 at 2024-03-31 13:52
クロッカスの見事な群落にもびっくりですが!
残雪の山が砂に霞んでいるのはびっくりです。
飛ばされそうになりながら、登った甲斐が有りましたね♪
Commented by pothos9070 at 2024-03-31 18:30
こんばんわw
1枚目のお写真素晴らしいですね^^
とても空気感がいっぱいで清々しいです。
雪が残っている山も素敵。
砂で霞むのは難儀なのでしょうけど
それも情緒を掻き立ててくれます(^-^)
Commented by milletti_naoko at 2024-03-31 23:18
ciao66さん、山の上をはるか彼方まで砂が覆っていました。
今日も相変わらず、ペルージャ上空も砂に覆われています。
ありがとうございます。景色と花がきれいでした♪
Commented by milletti_naoko at 2024-03-31 23:22
ぽとすさん、こんにちは。ありがとうございます♪
この日は地上でも異常なほど気温が上がったのですが、
まだ雪が残る山も見られて、うれしかったです。
砂に雪山が霞むというのはあまり見られるまれなる光景ではないかと思いつつ、
風に吹き飛ばされないように必死で歩きました。

遠く離れた山の上でさえこうなのだから、いったいサハラ砂漠の嵐では
どれだけ砂が飛んでいるのだろうといぶかりながら……
Commented by sunandshadows2020 at 2024-04-01 01:13
日本では中国からの黄砂が飛びますが、そちらはサハラ砂漠からの黄砂なんですね。
春の強風、暴風はこちらの砂漠でも共通します。
特に今年の春は暴風が止まらないので大変です。
野の花を探しながらのトレッキングは楽しいでしょう。
景色が素晴らしくいつ拝見しても飽きる事なしです。
此方はそろそろ野の花も終わりかけて来ました。
そしてスフィンクス蛾の幼虫が花を食べ尽くし、その幼虫を目指して鷹が飛来します。
Commented by milletti_naoko at 2024-04-01 06:44
お転婆シニアさん、今の時期、日本では黄砂が飛んで大変だと知って
驚いています。なんとそちらでも強風、暴風が砂漠で吹いているとは!
やはり温暖化の影響もあるのでしょうか。こんなに長い間、こんなにたくさん
砂が飛ぶことはこれまでなかったような。

風景と花が歩いているときは本当に楽しみです。

そちらでも蛾の被害があるのですね。春になって暖かくなり、
小麦粉にたかる蛾が飛び始めたので、気をつけなければと考えている
ところです。
by milletti_naoko | 2024-03-31 07:17 | Marche | Comments(6)